DJレン:
こんばんは、真夜中のAIチューニングタイムへようこそ。DJレンです。
DJミオ:
DJミオです。今夜の「Midnight AI Groove」は、AINewsの「not much happened today」回をもとに、実際には全然“not much”じゃない、AI界の動きをまとめていきます。
DJレン:
タイトルは静かでも、中身はかなり濃い。対象期間は2026年5月26日から5月27日。
AINews側では12のサブレディット、544のTwitterアカウント、Discordは追加なしをチェックしたとあります。あと、AINewsは今やLatent Spaceの一部になっていて、配信頻度も選べると。
DJミオ:
ではまずは大きな流れから。今回の全体テーマを一言でいうと、
「性能競争が“モデルそのもの”から、“推論アーキテクチャ”“エージェント運用”“企業導入インフラ”へ移っている」、そんな印象でした。
1. AI Twitter Recap — 推論効率、サービング、価格競争
DJレン:
最初は推論効率まわり。ここ、かなり重要です。
まずEAGLE 3.1。これはspeculative decoding、つまり投機的デコーディングの堅牢性改善が中心です。
DJミオ:
ポイントは、単に速いだけじゃなくて、
hidden-state feedbackを安定化させて、深いデコード段階でのattention driftを減らすこと。
しかも、long-context時のacceptance lengthや実運用でのサービング信頼性をかなり意識しているんですよね。
DJレン:
そう。研究デモじゃなくて、本番運用の推論をどう安定させるか。
しかもチームはvLLMやTorchSpecとの協業にも触れていた。つまり、アルゴリズム単体ではなく、実際のServing Stackとの接続が進んでる。
DJミオ:
一方、もう少しシステム寄りの話では、Perplexityが再構築したUnigram tokenizerをオープンソース化。
これがCPU使用率を5〜6倍削減、そして514トークンで63マイクロ秒、ゼロheap allocationという話でした。
DJレン:
トークナイザ改善って地味に見えて、超効きます。
推論コストってGPUだけじゃなくて、前後のパイプラインも効いてくるので。
DJミオ:
さらにQwen3.5がTokenSpeed上でagentic workloadsにおいて580 tokens/sを達成したという報告もありました。
しかもこれは、Alibaba、LightSeek、NVIDIA、Mooncake、FlashAttention-4の貢献者による共同最適化の成果として語られている。
DJレン:
モデルの速さって、もう単独の研究室だけで出すものじゃないですね。
モデル設計、attention最適化、カーネル、Serving、ライブラリ、その全部乗せ。
DJミオ:
ライブラリ面ではMaxSim v2も改善。backprop対応に加えて、H200で10.33倍、A100で11.94倍、naïveなPyTorch比で高速化を報告しています。
2. API価格下落は“補助金”ではなく、構造変化
DJレン:
次、すごく面白い論点。
最近の中国系ラボのAPI価格引き下げ、あれは単なる赤字覚悟の値下げではなく、構造的に持続可能だという見方が強まっていると。
DJミオ:
その根拠がKV-cacheとattention設計の変化ですね。
特にDeepSeek V4-Pro。
@kimmonismus の要約では、Compressed Sparse AttentionとHeavily Compressed Attentionを組み合わせたhybrid attentionで、
100万トークンのKV cacheをV3.2比で約10%まで圧縮、
しかもsingle-token inference FLOPsを27%まで圧縮しつつ、
総計1.6Tパラメータ中49B active paramsをルーティングしている。
DJレン:
数字のインパクトがでかい。
長文コンテキストは「重いから高い」が常識だったけど、そのコスト構造自体が変わってきてる。
DJミオ:
同じ流れでXiaomiのMiMoも出てきます。
こちらはSWAとhierarchical cache managementでcache trafficを削減。
しかも @_LuoFuli が直接補足していて、
MiMoの最も深いinput-cache-hitでの値下げは、
cached token capacityが5倍、
caching costが約80%低下、
さらにFull:SWA = 1:7 の疎密比に由来すると説明しています。
DJレン:
つまり今の長文推論の経済性は、
安いGPUを待つ話ではなく、attention設計・cache hierarchy・routing設計の勝負になってきた。
DJミオ:
ここ、今回のTwitter Recap全体を貫くテーマのひとつでしたね。
3. Agents, Harnesses, Memory, Continual Learning
DJレン:
次はエージェント。
今回のキーフレーズは、
“model quality”から“model-harness-memory fit”へ、です。
DJミオ:
まずLangChain。
Deep Agents v0.6を出して、Delta Channelsで200ターンのコーディングセッションのチェックポイント保存を5.3GBから129MBに削減。これはかなり実務的。
DJレン:
さらにFleetでcomputer use対応、そしてContext Hubでバージョン管理されたagent context/skillsを提供。
要するに、エージェントはモデル1発勝負じゃなくて、文脈・道具・記憶・再現性で戦う世界に入っている。
DJミオ:
LangSmith Engineもその文脈ですね。
eval → diagnosis → fixのループを自動化して、トレースから得たフィードバックをオンライン/オフライン評価器として再利用する価値が強調されていました。
DJレン:
そしてこの日の整理として特にクリアだったのが、@Vtrivedy10の主張。
“task-harness fit matters as much as model quality”。
つまり、モデルの地力だけでなく、その仕事専用に絞り込まれたツール、プロンプト、文脈設計のほうが効くことが多い。
DJミオ:
これは汎用エージェントへの反省でもありますよね。
何でもできる器より、縦に深い専用システムのほうが、現場では勝ちやすい。
4. Continual Learning が製品カテゴリ化
DJレン:
ここでさらに大きいのが、continual learningの再浮上。
研究テーマじゃなくて、プロダクトカテゴリとして動き始めている。
DJミオ:
象徴的だったのがTrajectoryのローンチ。
プロダクト利用シグナルやagent traceを使って、大規模エージェントモデルを継続的にpost-trainするプラットフォームですね。
しかも1500万ドル調達、デザインパートナーにはClay、Harvey、Decagon、Mercor、Rogo。
DJレン:
運用後に学習し続ける、つまり“デプロイ後の改善”がちゃんとインフラ化してきたわけだ。
DJミオ:
それを支える側としてBasetenが、FP8/NVFP4量子化とオートスケールするH100インフラを提供。
しかも397B parameter modelを一晩でデプロイしたという具体例つき。
DJレン:
オープン側でも流れは一致していて、
LangChain/LangGraphベースのmemory-centric agentが、
retrieval / storage / reasoning / learningの分離を明示している点で評価されている。
DJミオ:
それからRLMのminimal training harness。
これは8×A100で1日あればlong-context agentをRLチューニングできるという話で、小規模チームにも門戸が開きつつあることを示しています。
DJレン:
総括すると、
“post-deployment learning”が理想論から実務インフラへ移り始めた、これが重要ですね。
5. ベンチマーク、スケーリング則、学習法
DJミオ:
次はベンチマーク。
ここも今回かなり面白かったです。
新しいベンチマークはもう、きれいな問題集じゃなくて、長期・混沌・実務寄りになっている。
DJレン:
まずDeepSWE。
これはSWE/agent benchmarkで、5言語・91リポジトリ・113タスク。
特徴はbash-onlyのミニマルなハーネスと短めのプロンプトなのに、
SWE-Bench Proより平均で5.5倍多いコード量を扱い、
平均7ファイルに触れる必要がある点。
DJミオ:
“本物の作業”に近づいてますよね。
単一関数修正じゃなくて、複数ファイルをまたぐ変更が必要。
DJレン:
企業運用ではArtificial AnalysisとIBMによるITBench-AA。
これはKubernetesのインシデント対応を扱うSREベンチマークで、
なんと全フロンティアモデルが50%未満。
トップはClaude Opus 4.7で47%、次がGPT-5.5で46%、
オープンウェイトの首位はGLM-5.1 Reasoningで40%。
DJミオ:
つまり、現場のSRE対応みたいな複雑でノイジーな業務は、まだまだ難しい。
そこに関連してAgingBenchも紹介されていて、
配備済みエージェントの劣化を、compression、interference、memory updatesによる寿命問題として捉える視点が示されていました。
6. 学習効率研究 — DiffusionBlocks、ZoRRo、理論
DJレン:
学習効率研究も活発です。
今回とくに注目されたのがSakana AIのDiffusionBlocks。
DJミオ:
これはかなり技術的に面白い。
forward passをdiffusion的なdenoising stepとして再解釈して、
deep netsを1ブロックずつ学習できるようにする。
結果としてメモリを大きく減らしながら、end-to-end学習と同等性能を達成したという主張です。
DJレン:
しかも適用先が広い。
ViTs、DiTs、masked diffusion、autoregressive transformers、recurrent-depth transformersまで含む。
DJミオ:
RLシステム側ではSnowflakeのZoRRo。
冗長なrollout計算を削減することで、
long-context RLを最大3.5倍高速化、
さらにコンテキスト窓を3.2倍長くできるとしています。
加えてArctic-Text2SQL-R2という、企業向けSQLモデルも発表。
DJレン:
理論面では、
Tiberiu Musatのプレプリントが、
固定精度ネットワークにおいてminimum neural weight normがminimum program lengthと対数因子まで一致すると主張。
そしてUnified Neural Scaling Lawは、
従来より正確に外挿できることを狙った多変量のスケーリング関数形を提案しています。
7. モデル/モダリティ新作 — 生物、ビジョン、OCR、組み込みAI
DJミオ:
次はモデルとモダリティの新作群。
この日の“科学リリースの主役”はESMFold2でした。
DJレン:
はい。これはタンパク質構造予測と設計のオープン科学エンジン。
protein interactionsやantibodiesで強い結果を報告していて、
さらに68億のタンパク質と11億の予測構造を含むアトラスも同時公開。
DJミオ:
実用面では、
5つの治療標的に対するminiprotein bindersやsingle-chain antibodiesの設計成果を強調。
加えて、創発したタンパク質表現のメカニスティックな解釈可能性にも触れていました。
DJレン:
そして**@proteinroshも反応、@cgeorgiawはこのアトラスがAlphaFold DBを規模で上回る**と位置づけていました。
DJミオ:
マルチモーダルや実用系の小粒だけど重要なリリースも多かったですね。
まずGoogle DeepMindのGemini Embedding 2のホワイトペーパー。
これはテキスト・画像・音声・動画をまたぐ統一表現を扱う、ネイティブなmultimodal embedding model。
DJレン:
NVIDIAのLocateAnythingも面白い。
Qwen2.5-3B + Moon-ViTを組み合わせて、高速なgroundingを実現し、
dense object detectionで10倍高速化をうたっています。
DJミオ:
さらにHugging FaceがRoboflowのRF-DETRを統合。
リアルタイムの検出/セグメンテーションで、YOLO系より優れる位置づけ。
DJレン:
文書処理ではSurya OCR 2。
650Mモデルで、OLMOCRベンチ83.3%、
内部の91言語ベンチで87%、
さらにRTX 5090で毎秒5ページ。
DJミオ:
そしてLiteParse v2はRustで全面書き直し。
最大100倍高速化、さらにWASM経由でエッジ/ブラウザ展開も可能に。
DJレン:
オンデバイスAIでは、Googleの新しいCoral boardも話題に。
ローカルの音声・ビジョン・制御デモ向けですね。
8. 開発者プラットフォーム、企業制御、コーディングエージェント製品化
DJミオ:
ここからは開発者向けプラットフォームとエンタープライズ統制。
コーディングエージェントが単体機能ではなく“製品スタック”になってきたという話です。
DJレン:
まずOpenAI / Codex。
GPT-5.2とGPT-5.3-CodexはCodex内で終了し、GPT-5.5に統合される方向。
加えて企業機能として、
outbound-only HTTPS上のprivate MCP接続、
Workload Identity Federation、
それからspend alerts、allowlists、retention policies、hosted tool managementを含むAdmin API強化が出ました。
DJミオ:
つまり、勝負が“賢いモデル”から“企業が安心して導入できる統制面”にも移っている。
OpenAIは税務エージェントのself-improving case studyも公開していて、
レビュアー修正をトレースしてevalやfixへ戻す仕組みを示していました。
DJレン:
競争相手側も当然動いています。
Claude Codeは信頼性・パフォーマンス改善とバグ報告の取り込み改善を発表。
GitHubはCopilot Dev DaysやMCPポジショニングを通じて、agentized IDE路線を継続。
DJミオ:
そして最大の商業ニュースはCognition。
10億ドル超を調達、評価額260億ドル、enterprise usageは年初来10倍超、run-rate revenueは4億9200万ドル。
顧客リストも広がり、Exaのようなユーザーから強い支持もある。
DJレン:
さらに裾野の拡大も見えます。
Cua Driver for WindowsでWindows上のbackground computer use、
Cloudflareのagent platformはfractional computing economicsで高評価、
Grok Buildはworktree supportでrepo規模のmulti-agent code swarmsを狙っている。
9. Top Tweets by Engagement
DJミオ:
ここで、エンゲージメントの高かったツイート群も整理しておきましょう。
DJレン:
まずはやっぱりCognitionの急拡大。
10億ドル超調達、260億ドル評価、4億9200万ドルrun-rate revenueという数字は、
コーディングエージェントが大型エンタープライズ事業に変わりつつあることを示す強いシグナル。
DJミオ:
次にClaude Codeの信頼性改善。
パフォーマンスやレスポンスだけでなく、フィードバック収集を改善していて、
今の競争軸が品質と信頼にあることを示しています。
DJレン:
そしてSakana AIのDiffusionBlocks。
ブロック単位学習でメモリ大幅削減、それでもend-to-end性能に匹敵、この発想の新しさが注目を集めた。
DJミオ:
ESMFold2も大きかったですね。
オープンなタンパク質モデリングがアトラス級スケールで出てきた意義はかなり大きい。
DJレン:
最後にOpenAIのenterprise controls + MCP。
フロンティアAPIの競争が、まさに大企業導入のための管理・接続・統制機能へ広がっていることを象徴していました。
10. AI Reddit Recap — LocalLlama / localLLM
10-1. Low-Bit Local AI on Consumer Hardware
DJミオ:
ではReddit編。まずは**/r/LocalLlamaと/r/localLLM**から。
最初の大きな話題は、PrismMLのBinary and Ternary Bonsai Image 4B。
DJレン:
これは1-bit/ternaryのtext-to-image diffusion transformerで、
約3GBのチェックポイント、Apache-2.0、さらにWebGPUでブラウザ完全ローカル実行デモあり。
比較対象としてFLUX.2 Klein 4Bの約16GBが挙げられていました。
DJミオ:
ただし、話題の中心は性能だけじゃなくて帰属表示の問題でした。
トップコメントでは、これは新規ベースモデルというより、
FLUX.2 Klein 4Bを量子化・追加学習した派生物ではないか、
それなのに元モデルや元チームへのクレジットが薄いという批判が出ています。
DJレン:
つまり技術よりも、branding / attribution / open model etiquetteが争点になった。
また、ブラウザWebGPU版でもダウンロードサイズが約2GB必要という実用上の注意もあった。
DJミオ:
そして別スレでは、
4GB GPUでOOMに疲れたのでRustのbare-metal engineを書いたという投稿。
主張としては、RTX 3050 4GBでBitNet 1.58bの4Bモデルを66.8 tokens/s、
Gemma/Qwen 4B系でも30〜33 TPS、
しかもdynamic KV-cache managementでOOMなし。
DJレン:
ただしここ、コメント欄はかなり懐疑的。
再現可能なrepoやベンチマークがない、
“direct-to-silicon”“bare-metal engine”みたいな表現がマーケティングっぽい、
実際は**AOTネイティブコンパイル程度では?**というツッコミも強かった。
DJミオ:
さらに、
「それ、llama.cppの適切な設定で解ける問題では?」
という指摘も重要でした。
つまり新エンジンの価値を主張するには、既存ツールとの比較と再現性が必要だと。
10-2. Qwen 3.5/3.6 のローカルモデルとコーディング性能
DJレン:
次はQwen系。
まず非常に長いタイトルの投稿、
Qwen3.5-35B-A3B uncensored heretic Native MTP Preserved。
DJミオ:
中身としては、Qwen3.5-35B-A3Bに対して、
Heretic v1.3.0 / Magnitude-Preserving Orthogonal Ablation系の編集を加え、
attn.o_proj, attn.out_proj, mlp.down_projなどを対象にデセンソリングしつつ、
785個すべてのnative MTP tensorを保持した派生モデルです。
DJレン:
モデルカードによると、
refusalが100件中92件から14件に減少、
KL divergenceはベース比0.0487、
MMLUは84.12%から83.72%へ軽微な低下、
そして配布形式はSafetensors、GGUF、NVFP4、NVFP4 GGUF、GPTQ-Int4。
DJミオ:
コメントでは、特にNVFP4 GGUFの提供が珍しいと評価されていました。
「Unslothですらあまり見ない」という声もありましたね。
DJレン:
そして作者は、
Qwen3.5とQwen3.6は同じqwen35アーキテクチャだが、調整の方向性が違う、
3.5は汎用支援寄り、3.6はagentic/coding寄りと説明。
コメントでも「3.6は全面進化版というより“3.5 coder+”」という受け止めが出ていました。
DJミオ:
もう一つの話題は、
Qwen 27Bが一発でかなり完成度の高いHTML5 Breakout風ゲームを作れたという体験談。
console API、gamepad controls、TypeScript shaderの3つの参照ファイルから、
ほぼそのまま遊べるゲームをワンショット生成。
操作、音、メタデータ、save/stat/heartbeat API連携まで動いて、
必要だったのはカスタマイズ1回とバグ修正1回程度。
DJレン:
かなり強い評価でしたね。
しかもコメントでは、MTP/speculative decodingを2〜3 draft tokensで有効化すると速い、という実運用Tipsも出ていた。
DJミオ:
ただし長文には注意。
ヘビーユーザーの報告では、
64K以下がベスト、
64Kを超えると劣化が目立ち、
128Kを超えるとかなり落ちる。
長いagentic codingでは、
定期的に要約をファイルに落としてセッションを再起動し、再読込するのが有効という話でした。
DJレン:
つまり、ローカルで強いモデルは出てきてるけど、
コンテキスト管理そのものが性能管理になっているわけです。
11. Less Technical AI Subreddit Recap
11-1. Claude CodeとVibe Coding実践
DJミオ:
次は、より一般寄りのAIサブレディットまとめ。
最初のテーマはClaude Codeのvibe coding。
DJレン:
まず印象的だったのが、
**「Claudeで作ったものは他人には役に立たない。でもそこに意味がある」**という投稿。
健康データ相関ツール、Garminアーカイブ、店固有の買い物ソーター、ニッチなバイオインフォパイプライン、端末エラー解説など、
超個別化されたソフトウェアこそ価値があるという主張ですね。
DJミオ:
そのうえで、公開するときはコードそのものより、
どんな摩擦があって、既存ツールがなぜ合わず、どう問題設定したかを説明したほうが、他人に転用可能だという。
コメントではこれを**“ソフトウェア開発の3Dプリンティング化”**になぞらえる声もありました。
DJレン:
また、別のコメントでは、AIによって技術文書作成が10倍品質向上、1/100の時間になったという話もありました。
“以前は始めることすらできなかった文書作業に着手できるようになった”という点も大きい。
DJミオ:
次の投稿は、
「もし今ゼロからClaude Codeでアプリ開発を学ぶなら」という、10年選手のソフトウェアエンジニアの提案。
結論は、初心者ほどトップダウンでアーキテクチャを学べということ。
DJレン:
つまり典型的なweb appなら、
frontend + backend + database + plumbing。
そして“plumbing”には、
API、ホスティング/DNS/デプロイ、環境変数/シークレット、認証と認可、バックアップ、Git/バージョン管理、テスト、監視/エラートラッキング、分析まで含まれる。
DJミオ:
ただしコメントでは、
これはwebサービス中心の世界観であって普遍ではないという反論もありました。
組み込み、シミュレーション、科学技術計算、産業制御、防衛、光学、FEAなどは、
そもそもfrontend/backend/databaseの分割がないことも多い。
DJレン:
その一方で、
1万行規模に近づくと設計ミスが“Byzantine”な結合になって後戻り困難になる、
という警告には広く共感が集まっていた。
Netflixでも電力網でも、規模は違っても**“抜本修正できない構造問題”**に陥る点は似ていると。
DJミオ:
さらに実務的な注意として、Claude Codeの課金罠も共有されていました。
もしシェル環境や.envからANTHROPIC_API_KEYが見えていると、
Maxプランの枠ではなくAPI課金に流れることがある。
cronやsubprocessのclaude -p runにも影響するので、
サブプロセス環境からキーを外し、OAuth認証にフォールバックさせるのが対策です。
DJレン:
あと、ほっこり系の成功例として、
コーディング初心者がClaude Codeで作ったQuestboard。
家族向けのRPG風お手伝いボードで、
真夜中までに家事を終えるとゴールド獲得、失敗するとモンスターが反撃、
ゴールドは家族で決めたご褒美ショップで使える。
技術的には重くないけど、AI支援コーディングの実生活ユースケースとして非常に象徴的でした。
11-2. Enterprise AI Tool Spend and Governance
DJミオ:
次は企業でのAI利用コストと統制。
ここ、かなり現実味のある話が並びました。
DJレン:
まずは、
**「会社がClaude Code Sonnet 4.6を全員に無制限で配ったうえ、週次で“誰が一番トークンを燃やしたか”ランキングを出している」**という投稿。
完全に利用量のゲーミフィケーションですね。
DJミオ:
トップの技術的コメントは意外とまともで、
Claudeをオーケストレーター/プロダクトマネージャー役にして、バックログを並列タスクへ分解し、複数のSonnetエージェントへ配るという提案でした。
つまり、ただトークンを燃やすのではなく、監査可能な成果物に結びつく使い方をしろという話。
DJレン:
関連して、RampStack Claude Skillsというオープンソースのskills repoも紹介されていました。
痛点やバックログを与えると、Claudeにスプリント計画・委譲・要約までさせる発想ですね。
DJミオ:
逆に、完全に“燃やす”方向ではOrdinath/tokenburnなるツールも共有されていましたが、
もちろん実装詳細や効率評価は特にありません。
DJレン:
次は、
MicrosoftがClaude Codeのライセンスを取り消し始めたという話。
コメントでは、これはAI離れというより、
GitHub Copilotへ社内標準を一本化する動きではないかという解釈が有力でした。
DJミオ:
しかもCopilotの新しい価格・利用枠では、
あるユーザーの感覚だと現在40ドル相当の使い方が600ドル級になる、
あるいは企業内許容量が6分の1程度に減るかもしれない、という懸念も出ていました。
つまり、定額に見えていたものが本当の推論コストに引き戻されつつある。
DJレン:
その流れと重なるのが、
Uberが2026年のAI予算を最初の4か月で使い切ったという話。
COO Andrew Macdonaldの発言として、
Claude Codeのトークン消費増加が、価値ある消費者向け機能の増加に比例しているとはまだ言えないという文脈でした。
DJミオ:
コメントでは、
企業が“AI everywhere”で導入を煽ったのに、
ユーザー側にコスト最適化インセンティブを持たせていないことが問題だという指摘がありました。
実際、ある会社では月100ドル、必要なら250ドルまで拡張可能という個人予算制に移ったけれど、
通常業務でも1日で100ドル使えるという声もあった。
DJレン:
つまり企業導入の次の論点は、
モデルルーティング、トークン予算、どの業務にどのモデルを使うかのガバナンスですね。
“使えるかどうか”ではなく、“どう制御するか”に話が移っている。
12. AI Discords
DJミオ:
最後にDiscordですが、ここはちょっと節目の話でした。
Discord側のアクセスが停止され、この形式では再開しない、その代わり新しいAINewsを出す予定とのこと。
DJレン:
長く続いた形式の一区切りですね。
今回は“a quiet day”と書きつつ、実際には業界の重心移動がはっきり見えた回でもありました。
13. まとめ
DJミオ:
今夜の総まとめ、いきましょう。
今回の回から見える大きな流れは、まず第一に、
推論コスト削減の主戦場が、GPU単価ではなく、attention設計・KV cache・routing・tokenization・serving stackへ移ったこと。
DJレン:
第二に、
エージェントはモデル単体の性能競争ではなく、harness、memory、context管理、eval loop、post-deployment learningの総合戦になっている。
DJミオ:
第三に、
ベンチマークが現実寄りになり、しかもまだ難しい。
SWEもSREも、長期で messy な仕事では、フロンティアモデルですら簡単には勝てない。
DJレン:
第四に、
コーディングエージェントは完全にエンタープライズ製品市場へ入った。
その結果、勝負はモデルの知能だけじゃなく、
信頼性、管理機能、セキュリティ、MCP接続、監査、コスト統制へ広がっている。
DJミオ:
そしてReddit側からは、
ローカル実行・低ビット化・Qwen系の実用性・vibe coding・企業内のAI支出管理という、
現場感のある話題がたくさん見えました。
DJレン:
“not much happened today”どころか、
AIが研究トレンドから本格的な運用工学へ移行している、そんな1日だったかもしれません。
DJミオ:
というわけで今夜の「Midnight AI Groove」はここまで。
DJミオでした。
DJレン:
DJレンでした。
また次の深夜、AIの波形で会いましょう。
おやすみなさい。
