15
10

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

DBAサバイバルガイド~「pg_stats_reporterで性能トラブルを洗い出せ」

Last updated at Posted at 2017-01-21
1 / 55

2017-01-21 第34回 PostgreSQL 勉強会

自己紹介

  • 増田和弘 Twitter: @masudakz
  • 所属:株式会社ジャストシステム
  • 中途入社で一太郎Ver.4開発中(1987)から
  • 当時の主力機 NEC PC-9801VX
    5インチFDD、80286/8MHz+V30/10MHzを搭載。VX4(SASI HDD、容量20MB)

PostgreSQL歴

  • 2000年代初めのエンタープライズ製品での利用から接触
  • 実装・運用経験は2013年から :baby_chick: :baby_symbol:
  • PostgresSQL 9.2〜
  • CentOS on AWS

本日の内容紹介

  • ユーザ視点の事例発表

株式会社ジャストシステムのWebサービスはスマイルゼミをはじめとしてほとんどがPostgreSQLを使っています。 Webサービスのヘルスチェックにpg_stats_reporterを利用しているので、その活用状況や社内でのノウハウ共有状況について話します。
pg_stats_reporterについて、参加者同士でノウハウ交換したい。


たとえばこんなサービス

smilezemi.png
cocoal.png
fastask.png
bonne.png


pg_stats_reporter以前

Apache Log, Postgres Log を grep して Slow API, Slow Queryを探してた

例:100msec から 10secまで

grep -E "期間: [0-9]{3,5}\.[0-9]"

[4182]: [429-1]: [53ed53fc.1056]: [u=xxxxxxxx]: [v=4/24062]: [x=0]:
 [r=10.243.232.16(35970)]: LOG:  期間: 171.143 ミリ秒

サービスが無事テイクオフすると

  • 日銭が入ってくる
  • 継続的開発が可能
  • 追加機能要求・変更要求
  • 増え続けるAPIとSQL

DBAはやってられない

  • 毎月(毎週)なんかしら新機能がデプロイされる
  • コードレビューも性能テストも受けていないSQLが次々運用環境へ
  • 障害対応が後手後手
  • 原因究明・対策に時間がかかる

PGFouine?

2014にPostgreSQLスケールアウト問題で、Instagram の tech blog読んでたら

Postgres Query Log の分析には PGFouineがよかったぞ

でも、blogが古くて情報として古そう


中国地方DB勉強会in岡山2014

第4回 中国地方DB勉強会 in 岡山


pg_statsinfoが紹介された


喜田さんin岡山2014のまとめ:pray:

まずやっとく PostgreSQLのチューニング

  • DBチューニング
  • SQLチューニング
  • pg_statsinfoの紹介
  • PostgreSQL 9.4 betaの話

pg_stats_reporter

  • PGFouineは開発止まってた
  • pgBadgerはサービスのログの量が膨大すぎて、うまくいかなかった

「pg_statsinfoがいいらしいよ」
当社インフラチームに相談
→ pg_stats_reporterもいれましょう :thumbsup:


現代的だ :tada:

デモ環境

  • Create new report
  • 1/15 11:00 - 1/15 15:00

※勉強会終了時点で閉じます


御利益1:運用作業時間減少

Web可視化

  • server に login しなくていいんだ
  • 監査観点でもloginは避けたい
  • log grep しなくていいんだ
  • 作業時間減って監視密度は上がる

御利益2:性能障害検出機会

  • ステージングで普通に使うだけでいいんだ
  • UnitTestくらいはみんなしてくれるけど
  • 性能テストまでは手が回ってない

導入後は

  • ステージングで1回でも通せばSlow Queryが可視化される

御利益3:デプロイ直後の検出機会

  • ステージングで見過ごしても…
  • 運用デプロイしてアクセスピークが来る前にヤバイSQLが可視化される
  • ヤバイと思ったらピーク前にロールバック

御利益4:予防対策

  • 予防対策がうてる
  • 今は性能余裕がまだあるけど、会員増えるとヤバいぞ
  • 今は小さな負荷だけど seq. scan だからデータ成長とともにヤバくなるぞ

例:応答時間 5sec 〜 17sec APIがチラチラ

  • Long Transactions
  • SQL特定
  • Heavily Accessed Tables
  • seq_tup_read でインデックスの利いてないTABLE
  • SQLチューニングへ

改善結果

Munin


まとめ1

  • 中国地方DB勉強会は控えめにいって最高
  • pg_stats_reporter入れたらサービスの性能リスク減るよ
  • 楽に減るよ
  • 作った人、イベントした人、講演した人、ありがとうございます :pray:

次のお題

みんなで幸せになろうよ


社内根回し

  • ステージングの事前検出
  • デプロイ後の障害対策
  • 「pg_stats_reporterによると」と枕詞をつけて、Redmine/全社サービス障害分析会 に分析見解書いては対策してた
  • インフラチームの目にも入っていた
    「活用できてるやん」
  • pg_stats_reporter 他でも使おう

技術内閣

  • ファ? DB大臣? なにそれ 2016-01-27
  • 事業部越えて直接貢献(設計品質・効率化提案)
  • スキルアップ施策、情報共有、技術戦略

事業が多様になると、事業ごとに使う技術もバラバラになり、組織は縦割りになっていきます。そのような環境の中で、どう全社的に横連携するか。

cabinet.png


横連携成果の一発目

2016-03

  • 某サービスの SQL statement のログが大きくなりすぎ
  • リリース直後はよかったがDAUが上がってきて破綻寸前
  • サーバ大臣+インフラ大臣+DB大臣
  • 設定のはまりどころ、実績ありの設定値を共有

snapshot_interval

pg_statsinfo.snapshot_interval = 30min
  • Report にするには snapshot が 2つは必要
  • 本導入前の調査で、いろいろ試すには30minはちと長い。
  • デプロイ直後の状況も早く反映したい。
pg_statsinfo.snapshot_interval = 5min

Query Activity - Statements が空

  • 複数サーバで繰り返し失敗した。はまりどころ?
  • 導入時に下記を忘れるとSlow Query Reportだけが出ない
CREATE EXTENSION pg_stat_statements;

ログ出し過ぎ

  • 負荷テストで毎分200MB超増大した
  • 1GB/4分 = 15GB/h = 360GB/day!
log_min_duration_statement = 10
log_connections = off
log_disconnections = off
log_duration = off
log_statement = 'none'

10msec以下のを切り捨てた。


ログを切り捨てて負荷正常化

27152.png


stat_statements_exclude_users

  • postgres user が statsrepo schema を操作する分を出力抑制
pg_statsinfo.stat_statements_exclude_users = ‘postgres'

スクリーンショット 2017-01-19 16.43.40.png


stat_statements_max

  • Query Activity - Statementsにはデフォールトで30個までしか出ない
  • 期間中のcalls上位30件だけ表示
  • 低頻度のSlowQueryがあると表示されない!
  • tup_seq_scan とかには出てくる
  • 2016 Advent Calendar 12/23のネタにしました   
pg_statsinfo.stat_statements_max = 1000

まとめ2:オレオレ設定ポイント

log_min_duration_statement = 10
log_statement = 'none'
pg_statsinfo.snapshot_interval = 5min
pg_statsinfo.stat_statements_exclude_users = ‘postgres'
pg_statsinfo.stat_statements_max = 1000
CREATE EXTENSION pg_stat_statements;

Excuse

オレオレ設定=サービス・アプリの特性次第

当社サービスの基本特性

  • 有料会員制サービス
  • 時間帯・暦日で負荷予想しやすい
  • × 長時間つかってもらいたい
  • ○ なるべく速く用が済む
  • 負荷変動が大きいのは、不特定多数向けのLPくらい
  • なんでもかんでも集める戦略はない。CV率重視

次のお題

みんなでもっと幸せになろうよ


DB大臣SOS :sos:

2016-05

  • 「このサービスの性能問題なんとかなりませんか」
  • 「30分だけでも相談時間を」
  • 予備知識なしのDB大臣に助言してくれというムリゲー

読める、読めるぞ :map:

  • ムリゲーじゃなかった
  • サーバ大臣とサービスDBAがpg_stats_reporter画面を見せながらブリーフィング
  • pg_stats_reporterあると、問題点がどこか探しやすい
  • サービスDBAへの質問も最小限で、30分で次の一手の方向決めてお持ち帰り
  • 実装コード1行も読まずに

DB大臣の横連携施策 :bulb:

  • DBA集めてpg_stats_reporter見よう
  • DB読影会

zenki_02w.jpg
©富山大学


DB読影会のススメ

  • みんな事前準備不要
  • ふだん監視している画面をさらすだけ
  • pg_stats_reporter
  • munin / zabbix
  • 問題発生時のsnapshotがあるとよい
  • 技能向上の即効性
  • そこを見るのか
  • これヤバかった?

DB読影会の様子1

  • 開いたときのデフォールトのレポート期間が使いにくい
  • 深夜の分析・保存用pg_dump が入っていて、負荷を跳ね上げてるので、実需ピークがわからない
  • Create New Reportでスコープを限定する
  • スマゼミだと前日12:00-24:00とか

DB読影会の様子2

  • え、なにこれ? 5/9 に2本の負荷スパイクがあるじゃないの
  • スパイクのところだけに snap_begin, snap_end を狭めて犯人捜し
  • "Long Transactions" で犯人みつかった
  • client address から事務局ツールの中に犯人
  • "Heavily Accessed Tables" も某TABLEの seq_tup_read がダントツ。58万行の seq.scan を10万回。
  • INDEX未設置だったので、追加する

DB読影会の様子3

  • "Heavily Updated Tables" に database:postgres, schema:statsrepo のtableが上位に複数出てくる。pg_stats_report はそれなりの記録負荷がかかるもの。
  • このサービスは postgres ユーザを使っていてStatementからstat_statements_exclude_usersで除外できない!

DB読影会の様子3b

  • "Heavily Accessed Tables" で一番注目しているのは"seq_tup_read":シーケンシャルスキャンによって読みとられた行数
  • tup_per_seq が大きくてもアドホックなSQLによる単発なら性能問題にはならない。セキュリティ案件にはなるかも。
  • ※2016-12には低頻度SQLが性能障害を引き起こすようになった

DB読影会の様子4

  • "Statements"
  • 最初に見るのは "total time"降順
  • 次に time/call 降順でスロークエリ。今の某サービスは top でも 20msec。

DB読影会の様子5

  • "Statements"
  • 認可のための契約状態確認のSQL数がダントツで、total time でも上位に出てきた。認可に今のままのSQLを使うのはそろそろ限界。KVSにするか?

DB読影会の様子6

  • 1週間のレンジで見ると、やはり 0:00, 4:00 のpg_dump のスパイクがじゃま
  • 実需の長期傾向がスパイクの影に隠れて読めなくなってしまう
  • 5/16 だけスパイクが3本?
  • 09:05 ですね。誰か何かやった?
  • メンテ前の手順としてのpg_dumpでした

DB読影会の様子7

  • Heavily Accessed Tables
  • Top 2 が user_info と member の TABLE
  • メンテ・分析専用カラムだったはずの update_at をビジネスロジックがSQLに取り込んでしまった。INDEX追加するよりは、ロジック修正する方向。
  • "Statetemts"の call の回数と seq_scan 回数がほぼ一致しているので、要修正のSQLはこの2つ

DB読影会の様子8

  • レンジを 5/17 14:00-16:00 にすると別の現象が見える
  • pg_dump以外の負荷の山ができているところ
  • Disk Read のパイチャートが job TABLE 99%
  • seq_tup_read も user_info/memberを上回る job の圧勝
  • ”Statements” の Top 2 も job の SELECT
  • たぶん job TABLE に何かINDEXが不足している

DB読影会の様子9

  • バックヤードアカウントテーブルを繰り返し全件scanしている!
  • 内部犯行のブルートフォースアタック?
  • 誰?
  • 正規管理者の通常管理業務でした。
  • 実装の作りが悪くて導出テーブル使わずに相関サブクエリーで計算量膨らませていた
  • TABLEが小さいのでINDEXつけていなかった

DB読影会の様子10

  • 交差テーブル作ってindexもあるのに遅いんですよ
  • Heavily Accessed Tables みると seq. scanになってる
  • Information - SchemaInformation - Index
  • TABLE item_group_item_image
  • 主キー (image_id, group_id)
  • group_idで検索してるじゃないですか。単キーindexも必要。
  • group, item というカラム名からすると、主キーとしての順序は、(group, item) になるのが普通の感覚です。普通じゃない設計や前提なら、どこかに意図を書いておくか、名前を考え直したほうがよかったと思います。
  • 主キー定義を間違って作った可能性も微レ存
  • 実装途中で交差テーブルの列順入れ替えたときに、主キー作り直しを忘れてました!

オレオレ分析優先順位


困りごと1:RDSでどうしよう

  • RDS for PostgreSQLの正式リリース後は新規サービスはRDSへ
  • 既存サービスもRDS移行検討・実施

困りごと2:Instagram way

  • PostgreSQLスケールアウトパターン Instagram way
  • 小さく多数の論理shardを、少数の物理shard サーバーに mapする
  • 物理Shard = Postgres データベースクラスタ(≒ DB Server)
  • 論理Shard = Postgres の schema
  • 急成長サービスは何度も再分割する=再分配が不要なやり方

Using PostgreSQL in Tantan - From 0 to 350bn rows in 2 years
Victor Blomqvist, Tantan (探探)
December 2, PGConf Asia 2016 in Tokyo
スクリーンショット 2017-01-19 23.08.39.png


困りごと2:Instagram wayでのStatement

  • 引数違いのSQLは同一視して、Statementに統計してくれる
  • しかしschema違いの同型SQLは?
  • DBServerあたり最大8192個のschemaがある

まとめ

  • JPUGは控えめにいって最高
  • pg_stats_reporter入れたらサービスの性能リスク減るよ
  • オレオレ設定
  • DB読影会のススメ
  • オレオレ分析優先順位
15
10
2

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
15
10

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?