はじめに
私は20年以上メカ設計に携わってきました。
最近、品質部門へ異動することになりました。
異動前の私は、
品質部門 = 品質を管理する部署
という程度の認識しか持っていませんでした。
「品質とは何か」
「品質を管理するとはどういうことか」
もよく理解しておらず、品質部門が実際に何をしている部署なのか、ほとんど知りませんでした。
また、品質とは
- 故障しないこと
- 性能を満たすこと
- 不具合が少ないこと
のような、製品そのものの性質だと考えていました。
また私自身の経験では、品質部門という独立した組織は比較的規模の大きな企業で目にすることが多く、小規模な組織では設計や製造部門が市場対応や品質保証業務を兼務していることも珍しくありません。
そのため、
なぜ品質部門という独立した組織が必要なのか
について考えたこともありませんでした。
しかし実際に異動してみると、想像していた仕事とはかなり違っていました。
品質部門の仕事を整理してみる
異動してまず感じたのは、品質部門で議論される内容が、私が想像していた「品質」とは少し違っていたことです。
設計者だった頃の私は、品質とは製品そのものの話だと思っていたのですが、品質の議論の多くは製品そのものだけでなく、
- お客様へどのような影響が出ているのか
- 同じ問題を繰り返さないためには何が必要か
- 会社としてどのリスクを優先して対応するべきか
といった内容でした。
そのため現在は、
品質とは製品だけで決まるものではなく、市場やお客様への影響まで含めて考えるものなのかもしれない
と感じています。
そんな中、私なりに品質部門の仕事を整理すると、大きく次の3つに分類できるように思います。
① 市場を見る
品質部門は市場で何が起きているかを把握します。
例えば、
- 市場情報の収集
- 顧客対応の支援
- サービス部門との連携
などです。
設計部門にいた頃は、不具合情報は必要に応じて入ってくるものでした。
しかし品質部門では、市場で発生している問題を継続的に把握し続けること自体が重要な仕事になります。
② 社内を動かす
異動して最も意外だったのがこの部分でした。
品質部門の主な役割は設計そのものではなく、組織全体を動かす役割を担っています。
例えば、
- 課題の整理
- 優先順位付け
- 関係部門との調整
- 再発防止活動の推進
などです。
設計者だった頃は、製品やモジュールの設計を担当し、品質・コスト・納期(QCD)のバランスを取りながら設計を進めていました。
もちろん技術課題の解決も重要な仕事でしたが、基本的には自分が担当する製品や機能を成立させることが主な役割でした。
しかし品質部門では、そもそも何を優先して取り組むべきかを考える必要があります。
市場課題は常に多数存在します。
一方で人員や時間は限られています。
そのため、
どの課題を優先して取り組むべきかを整理し、関係者と共有すること
が重要になります。
③ 経営に繋ぐ
品質問題は技術的な問題であると同時に、経営課題でもあります。
市場で発生した問題は、
- 顧客満足度
- ブランド
- 対策費用
- 事業採算
にも影響します。
そのため品質部門では、
- 品質リスクの共有
- 重要課題の報告
- 経営判断に必要な情報提供
も行います。
設計者時代には、
品質問題を技術課題として捉えることがほとんどでした。
しかし品質部門では、
同じ問題であっても、
- お客様への影響
- 市場全体への影響
- 事業への影響
という視点で整理する必要があります。
技術的な内容を経営視点で整理することも、
品質部門の重要な役割の一つだと感じています。
品質部門は品質を管理する部署ではなかった
異動前の私は、
品質部門は品質を管理する部署
だと思っていました。
しかし実際には、品質そのものを管理するというより、
市場と社内、そして経営を繋ぎながら、組織として品質問題に対応できる状態を作る部署
と言った方が近いように感じています。
もちろん企業によって業務内容は異なると思います。
それでも、品質部門が市場と社内を繋ぐ役割を担っている点は、多くの企業に共通するのではないかと思います。
おわりに
異動前、私は品質部門のことをほとんど理解していませんでした。
品質を管理する部署だろう
という漠然としたイメージしか持っていなかったのです。
しかし実際には、
私が想像していた以上に幅広い役割を担っていました。
品質とは製品の性能や不具合だけでなく、市場やお客様への影響まで含めて考えるもの
だと感じています。
さらに、以前は
「品質部門は本当に必要なのだろうか」
と考えたこともありませんでした。
しかし実際に業務を経験してみると、
品質問題は設計だけで解決できるものでも、
市場だけで完結するものでもありません。
- 市場で起きていることを把握する
- 関係部門と連携する
- 必要な情報を経営へ伝える
という役割を誰かが担わなければ、
組織全体として品質問題に対応することは難しいのかもしれません。
これが、品質部門という独立した組織が存在する理由の一つなのかもしれません。