前回投稿した記事[AIとは何か ―「ののかちゃんのいぬのおまわりさん」で理解するTransformerとAttention]を書いたあと、ふと思いました。
「いや、これ一般の人には全然わかりにくいでしょ!!」
「テンソル」だの「ベクトル」だの「行列演算」だの……親しみやすい『いぬのおまわりさん』をタイトルに掲げておきながら、中身はゴリゴリの数学用語のオンパレード。これじゃあ子猫ちゃんどころか、読者が迷子になってしまいます。深く反省しました。
そこで今回は【第2弾】として、難しい数式や専門用語を完全にゼロにして、直感だけで「AIの頭の中で何が起きているのか」がわかるお話をしようと思います。
1. 4次元以上は「どこかにくっついている」と思えばいい
AI(Transformer)を理解しようとすると、必ず「高次元空間」という壁にぶつかります。
1次元:一本の線
2次元:平面(y = wx + b の世界)
3次元:僕たちが住んでいる立体(サイコロ)
ここまでは頭でイメージできます。でも「100次元空間」とか「1000次元空間」と言われたらどうでしょうか?
人間には目に見えないし、想像なんてできるわけがありません。
でも、難しく考える必要はないんです。
「3次元のサイコロの表面に、次の次元のサイコロがペタッとくっついて部屋が増えていく」
そう思い浮かべてみてください。
言葉の意味、感情、文脈、丁寧さ……見る角度(軸)が増えるたびに、サイコロの横へ横へと新しい部屋がペタペタと無限にくっついて広がっていく。高次元空間なんて、僕たちは「見えないけれど、サイコロのどこかに部屋がくっついて繋がっているんだな」と捉えるだけで十分なんです。
2. カラスに聞いてもわからない、スズメに聞いてもわからない
「じゃあ、その何千個も部屋がくっついた空間はどうやって計算しているの?」
……そんなこと、カラスに聞いてもわからないし、スズメに聞いてもわかりません。
そう、僕たち人間がそれを完璧に理解して計算しようとしなくていいんです。わからなくて当然なんですから。
だからこそ、「近くのおまわりさん(AI)」に任せるのです。
言葉の迷子になった子猫ちゃん(プロンプト)がやってきて、「困ってしまって ワンワン ワワ〜ン」と泣いている。
おまわりさんは、何千・何万と繋がった暗闇の空間の中から、子猫ちゃんが言いたい「一番近い部屋」を必死に探し回ります。
3. 1秒間に1兆〜10兆回走るおまわりさん
おまわりさんは、どれくらいの凄さで探しているのか?
なんと、1秒間に1兆回〜10兆回という凄まじいスピードで計算を叩き出し、果てしない空間を走り回っています。
「泣いてばかりで話せない」という子猫ちゃんの言葉に一番注目(Attention)し、無限に広がるサイコロの部屋の中から、
「カラスに聞いてもわからない」
「スズメに聞いてもわからない」
と情報を集め、1秒間に何兆回も走った末に、「よし、今は一緒にワンワンワワ〜ンと困ってあげるのが一番近い答えだ!」 とたどり着くのです。
4. なぜおまわりさんは何でも知っているのか?(1000億超の記憶)
そもそも、なぜこのおまわりさんは世界中の言葉や知識を知っているのでしょうか?
実はAIは、インターネット上にある膨大なテキストデータをあらかじめすべて数値(数字の並び)に変換し、それを計算したデータを1000億〜数兆個以上も頭の中に保持しているからなのです。
Webサイト、本、ニュース、論文……人間が一生かかっても読みきれない途途もない量の言葉が、すべて「数値のデータ」としておまわりさんの頭の中(空間)に記憶されています。
5. AIのカラクリ:一つ一つ計算して「くっつけているだけ」
こうして仕組みを見ていくと、AIの本当の姿が見えてきます。
AIは、人間のように意志を持って深く考えて返事を書いているわけではありません。
入力されたテキストデータを一つ一つ数値にして計算し、1000億以上のデータ空間の中から「一番近い結果(次の言葉)」を見つけ出し、それをもとに一つ一つ言葉をくっつけて回答を出しているだけなのです。
「意思を持って会話している」ように見えるのも、おまわりさんが1秒間に何兆回も爆速で「一番近い言葉」を計算して繋ぎ合わせているからこそ起きる、高度な計算の副産物に過ぎません。
まとめ:AIは「超巨大な記憶を持って爆走するおまわりさん」
AIの本質をまとめると、こうなります。
高次元なんて「サイコロの横に部屋がくっついている」イメージでOK(無理に理解しなくていい)。
難しい数学は「カラスやスズメに聞いてもわからない」と割り切っていい。
AIとは、ネット上の膨大な言葉を1000億以上の数値データとして記憶し、入力されたテキストから『一番近い結果』を一つ一つ計算してくっつけて出しているおまわりさんである。
前回の難しい数式だらけの記事は忘れて(笑)、この「爆走するおまわりさん」のイメージだけ持ち帰っていただければ幸いです!