「AI分析で分かった トップ5%社員の習慣」
越川慎司 著
現クロスリバーCEO
https://cross-river.co.jp/
週休3日、副業必須、完全リモートワークの働き方コンサルティング企業
元マイクロソフト役員の著者がクライアント企業の計18,000人から集めたデータを
AIと専門家により分析し、デキるビジネスパーソンの習慣を明文化しています。
本書の要点と結論で述べられている5原則について、それぞれ要約して解説します。
まずそもそもトップ5%の定義ってなんだよとツッコミたくなりますが、
日本で年収1,000万を超えている人達がおおよそ全体の5%と言われているので
この人たちってことにしておきます。
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【データ分析の流れ】
データ収集(デスクに定点カメラ、ICレコーダー、センサー、ヒアリング)を行い、行動や発言を分析
↓
5%社員の共通点と、95%社員との違いを「成功ルール」とした
↓
クライアント企業以外でも実証実験を行い効果検証→効果がみられた
【要点】
・「5%は成果に、95%は完了に充実感を得る」
つまり、「仕事はやりきるものだ」と考えているようでは
トップ5%に到達するのは難しいですよということですね。
本書では、資料作成と課題解決を例に挙げています。
資料作成の例で言えば、従業員800人以上のクライアント企業における、1時間程度の社内会議のために、
70時間以上をかけて資料が作られ、うち利用されたのは77%だった。
更にこれらの資料が再利用されたのはわずか7%だったという。
日本企業に存在している有象無象はこの生産性のない資料作りに多くの時間を費やし、
「完了」したことに充実感を得て、酒の肴にしているのだ。
トップ5%は違う。その資料が何かしらの成果に繋がった時に充実感を感じている。
そもそも成果を出すことを目的に置いて資料を作るだろうから、
「会議があるから作っている」、「成果を出すために作っている」という点で同じ資料作成でも
やっている内容は全く違うのである。
課題解決の例では、95%は目先のタスク処理に注力し、本質を解決できないままで、問題を再発させる。
トップ5%は再現性のある課題解決方法を蓄積しているという。
筆者によるとこれは「デザイン思考」に似ている。ユーザーの要望を理解し、問題の発生原因に仮説をたて、
ヒアリングをもとに改良していく。
また、彼らは完璧は目指さない。
「完璧な準備」をすることよりも「初動の遅れ」を取らないようにする。
6割で作業を開始し、修正しながら進む。完璧を捨てて行動量を増やすことに重きを置いているのだ。
↑の手法は自分も意識している。
本筋を捉えて大枠を作っていき、細かい点は後から詰めていく。
大枠をさっさと作ったほうが、結果作業時間は短く済むし、残りの作業も楽だ。
大筋から逸脱した枠組みを作ると取り返しのつかない遅れが出ることには注意したいが。
目先の課題解決ではなく、まず分析をすることで、トップ5%の課題処理能力に近づける。
「チーズはどこへ消えた?」ではチーズが消えた原因を探り続けた小人達は
結局ネズミに大きく遅れをとったのだが...
https://qiita.com/mashioo/items/0d21366b950f84782100
まとめると、
①蓄積された解決法を基に問題に仮説を立てる(6割くらいで)
②課題解決に取り組む
③細かな修正を繰り返す
④「解決法」として蓄積する(①に戻る)
要するにPDCAを爆速で回すのだ。この場合、最後のAは蓄積を意味するaccumulationだ。
・「解放感よりも、達成感に幸せを感じる」
幸せを感じる時間はいつか?
この問いに、95%のサラリーマンは土曜の朝に幸せを感じ、
5%社員は金曜の夜だという回答が多かったそうだ。
日々タスクをこなすことに精を出している普通の労働者は仕事のない休日に解放感を感じるのだろう。
トップ5%はそうではなく、その週の目標を達成した金曜日の夜に幸せを感じるのだ。
ここで自分の意見を言わせてもらうと、月曜日の朝に一番幸せを感じる。
仕事ができ、成果を出すチャンスがありふれた一週間の始りこそ幸せを感じる。
トップ5%に物申すわけではないが、華金という言葉が自分は大嫌いだ。
解放されることを喜びだと感じるような仕事をなぜ、みんなやっているのだろうと感じる。
本当に自分のやりたいことを仕事にしている人は少なくとも華金なんて言葉出てこないのではないか。
日本中に「華月」が溢れて欲しいと祈るばかりである。
・「摩擦を恐れない」
トップ5%社員は摩擦を恐れない。なぜか
それはいつだってイノベーションは摩擦から生まれることを知っているからだ。
「〜すべき」と自分の意見を押し通すわけではない。トップ5%は常に周囲への配慮や感謝を忘れず、
メンバーに協力し丁寧なコミュニケーションを心掛けている。
だから大事な時に周囲の賛同を集め、プロジェクトで結果を出して見せるのだ。
会議中の話で言えば、トップ5%社員は以下の特徴があった。
・発言回数が他より22%多い
・文字数が27%少ない
・発言時間は24%少ない
これはつまり、提案の際は「質」より「量」、発言は端的にストレートであるということ。
加えて反論すべきところではしっかりNOを言う。
更に会議の中で、「〜しよう」「〜やってみよう」などのレッツ表現がかなり使われていた。
意思決定により会議を前向きに締めるいいアクションである。
・「自席におらず、動き回る」
5%社員は自席にいることはほとんどない。多くの会議で意思決定者となり、
社内外多くの人とコミュニケーションを取っているからだ。
データ分析ではトップ5%社員は95%社員よりも14%歩数が多かった。
(近年リモートの企業が増加していることもあり、歩数は今後あまり関係してこなくなるように感じるが)
更にトップ5%社員の自席での作業時間は1日のうち2割未満であった。
夜遅くまで必死にデスクに向かっていても、トップ5%は遠のくばかりなのかもしれない。
・「新しいもの好きで、飽きっぽい」
トップ5%社員は好奇心に従順で新しいものが大好きだ。常にあらゆるメディアに対してアンテナを張り、
自分にはないものを取り入れる姿勢を取っている。
その分同じことを突き詰め、深く掘り下げることは苦手という人が多かったそうだ。
プロフェッショナルやスペシャリストというよりは、
ゼネラリストやオールラウンダーと言った方が良いのだろうか。
「取り入れる」ことに関して、彼はアウトプットをまず意識してからインプットします。
人間の脳はそんな便利にできていないので、やたら滅多にインプットをしても頭に入りません。
入るのは天才だけです。
アウトプットによってどう成果を出すか、
具体的なアクションを考えてからインプットし、実際に成果を出します。
それらは彼らの「引き出し」として永久に頭に定着するのです。
・「期限を厳守する」
トップ5%社員は、業務終了5分前に明日のスケジュールやタスクを確認する。
翌日に良いスタートを切れるように、毎日タスクを整理する。
仕事を受けた時も、納期・関係者の状況を踏まえ綿密にシュミレーションし、見積りを出す。
前もって予想されることは全て相談している。
更に見積りと実際にかかった時間のギャップを振り返り次回に繋げることも忘れない。
どこからそんな時間湧いてくるんだとツッコみたくなるが、そんな次元で彼らは働いていないのだろう。
一方95%社員はもらったタスクに対し何かアクションを起こすでもなく、そのまま開始する。
不測の事態に対応できず、闇雲に納期を伸ばし迷惑を周囲に撒き散らかすのだ。
5%社員は不測の事態が起きた段階で報告し、リカバリーする。無理なら周囲にヘルプを出す。
え?そんな都合よく周りが助けてくれる訳ないって?
さっきも言ったでしょう。トップ5%は常に周囲と丁寧にコミュニケーションを取り信頼を築いているのです。
彼らの頼みを周囲は快く受け入れてくれるでしょう。トップ5%は至る所に解決策を持っているのです。
・「週一回、15分の内省タイムを持つ」
彼らは1人の時間を必ず作り、失敗成功問わず、その結果を客観的に評価し教訓を得ることを怠らない。
調査では、この「内省」をする時間、実に95%社員の9倍であった。
「15分/週の内省」の時間を作り、クライアント企業の社員に数回内省を行ってもらったところ、
8%の労働時間削減という効果が出たそうだ。
・
【結論】
トップ5%社員の5原則
①目的のことだけを考える
人は失敗した時、多くの人は「過程」に囚われる。頑張ったから、とか時間をかけたから、とか。
大事なのはそこではなく、「なぜこの結果になったのか」である。結果にコミットしよう。とことん。
②弱みを見せる
これは相手との関係を築くテクニックである。
無駄なプライドは捨て相手に弱みを曝け出すことで、
相手と親密な関係を構築できる、心理学的な話である。
実際トップ5%社員は雑談から入り、関係を構築していく段階では弱みを出すようにしていたという。
③「挑戦」を「実験」と捉える
挑戦と言われるとハードルは高いが、
実験と言われると途端にハードルが下がるように感じないだろうか。
学生の時にやっていた多くの実験はなんのためにやっていたのか思い出してほしい。
それは学びのためであり、「だって」「でも」なんて言葉は出てこないはずだ。
実験には大体「目的」があって、その目的を達成するためのプロセスを考え実行する。
一方で挑戦は、先の見えないものに立ち向かっていくようなイメージがあるかも知れないが、
これを実験に置き換えるだけでかなりハードルが下がり、行動に移しやすくなる。
今まで会員制の高級焼肉店に見えていたその建物は、自分が勝手に作った幻で実際は牛丼屋なのだ。
新しいラーメン屋ができたらすぐ行くでしょう、皆さん。物は試し、実験です。
このように、トップ5%は物事の多くを実験と捉え
圧倒的な行動量を発生させ成果を出し、そこから多くを学んでいる。
④意識改革はしない
簡単に意識は変わらない。意識を変えるのは行動なのだ。
これがトップ5%の考えである。「三子の魂百までも」
人の意識は変えようと思っても簡単に変わらない。
では、どう意識にアプローチするのか。それが彼らの持つ圧倒的な行動力である。
とりあえず行動し、結果から得られた知見から意外と人の意識は変わるものだ。
食わず嫌いがいい例かなと思う。食え食えと言われても(意識に直接訴える)中々食べられないが、
とりあえず食ってみる(行動してみる)と意外と美味しかったりするのだ。
その「食う」っていう行動ができねえんだよって聞こえてきそうなので別の例えも出しておくが、
自分のやっているスポーツを乗り気じゃない友人に半ば無理やりやってもらった結果
自分より上手くなってたみたいな経験ある人おられるのではないだろうか。それである。
意識に直接アプローチしてもその固いATフィールドは破れないが、
行動という名のロンギヌスの槍によって得られる結果の力は想像よりも偉大だ。
©︎https://www.khara.co.jp/
⑤常にギャップから考える
5原則の最後は、ギャップをスタート地点にするということである。
先に述べた要旨の部分と重なるが、現時点から最終地点に行くまでのコストをまず考える。
95%社員は闇雲に課題にアタックするか、
準備に時間をかけすぎて多くの時間を浪費する。
トップ5%社員はギャップから必要事項を簡単に洗い出し早過ぎず、遅過ぎずスタートダッシュを切る。
皆さんは今メジャーリーグで宇宙人に揶揄されるような活躍をしている選手をご存知だろうか。
彼の名は大谷翔平である。
LA.エンゼルスに移籍しここ数年は歴史に名を刻む活躍をしており、その名をご存知の方も多いと思う。
私はプロ野球が大好きなので彼が日本にいる頃からよくテレビで観させてもらっていたが、
彼は、闇雲に野球をやり「投手」と「打者」の両方でトップレベルの成績を残せるに至ったわけではない。
がむしゃらに投打の練習をしても体を壊すだけであり、どちらも中途半端に終わるのが関の山である。
これだけ有名になるずっと前から二刀流で活躍するというゴールを設定し、そのギャップから課題を設定し
トップクラスの球を打ち返し、トップクラスの打者を捩じ伏せ、今メジャーの舞台で輝いているのだ。
大谷選手が高校時代使っていたマンダラチャートという目標達成シートはご存知だろうか。
詳細は下記サイトで紹介されているので、ぜひ足を運んで見に行ってほしい
https://www.kaonavi.jp/dictionary/otanishohei_mokuhyosetteisheet/
ビジネスでも活用できるので、取り入れてはいかがだろうか。
©︎https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD060600W2A001C2000000/
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以上、自分の考えも所々に挟みましたが、要約は以上になります。
なんか、やる気が出てきた方も見受けられますが、
誰でもなれるわけじゃないから「5%」であることも忘れないでいただきたいと思います。
庶民のわたしたちはまず、本書で紹介されていることを少しずつ実践し、
少しずつ自分の%を上昇させ、高みを目指していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。