はじめに
戦略編では、
- タイプバランス
- メタゲーム
- バトル管理
- ルールセット
を整理してきました。
しかし、ここで重要な疑問があります。
そもそも、エンジニアの強さとは何なのか?
現場ではよく、
- あの人は優秀
- 技術力が高い
- 地頭が良い
などと言われます。
しかし、同じ人でも、
- 活躍する現場
- 苦戦する現場
があります。
これはポケモンでいう「種族値」の違いに似ています。
今回は、
- 得意分野
- 向いている役割
- なぜ優秀さの評価が分かれるのか
- なぜ万能型が少ないのか
を、ポケモンの「種族値」として整理します。
種族値とは
ポケモンには、
- HP
- 攻撃
- 防御
- 特攻
- 特防
- 素早さ
といった「種族値」があります。
重要なのは、「全員が同じ能力ではない」ということです。
- 攻撃特化
- 耐久特化
- 素早さ特化
など、得意分野が違います。
これはエンジニアでも同じです。
エンジニアの種族値
エンジニアの能力を分類すると、
- HP(継戦能力)
- 体力
- 集中力
- 持久力
- 攻撃(実行力)
- 行動力
- 推進力
- 成果創出力
- 防御(安定性)
- 慎重さ
- 品質意識
- 再発防止力
- 特攻(設計力)
- 抽象化
- 構造化
- 問題分解
- 特防(問題解決力)
- 分析力
- 障害対応力
- リスク対応力
- 素早さ(適応力)
- 学習速度
- 判断速度
- 変化対応力
のように考えられます。
得意分野
攻撃型エンジニア
「高火力・低耐久アタッカー」に近いです。
短期戦では強いですが、長期戦では反動が来ます。
特徴
- 実装が速い
- 突破力が高い
- 短期成果を出しやすい
強み
- MVP開発
- スタートアップ
- 緊急対応
- PoC
弱み
- ドキュメント不足
- 品質不足
- 保守性低下
耐久型エンジニア
「受けポケモン」に近いです。
安定感はありますが、火力不足になることがあります。
特徴
- 品質重視
- 障害を起こしにくい
- 長期運用へ強い
強み
- 基幹システム
- 金融
- インフラ
- 大規模運用
弱み
- 開発速度低下
- 意思決定遅延
- 保守的思考
素早さ型エンジニア
「高速アタッカー」に近いです。
特徴
- キャッチアップが速い
- 新技術へ強い
- 変化対応が速い
強み
- AI活用
- 新技術導入
- 技術選定
- 環境変化対応
弱み
- 深堀り不足
- 継続力不足
- 浅く広くになりやすい
特攻型エンジニア
「特殊アタッカー」に近いです。
特徴
- 抽象化が得意
- 構造化が得意
- 設計力が高い
強み
- アーキテクチャ設計
- ドメイン設計
- 技術戦略
- 問題分解
弱み
- 実装速度が遅い
- 細部実装が苦手
- 抽象寄りになりすぎる
向いている役割
さらに重要なのは、「環境によって強い種族値が変わる」ことです。
オンプレ時代
- 防御
- 特防
- HP
が強かったです。
安定運用が重要だったからです。
Webサービス時代
- 攻撃
- 素早さ
が強くなりました。
高速リリースが重要だったからです。
AI時代
- 特攻
- 特防
- 素早さ
の価値が上がっています。
「大量実装」だけでは差別化しづらくなっているからです。
向いている役割
ここで重要なのは、種族値は「優劣」ではなく「特性」だということです。
ポケモンでも、
- 高火力低耐久
- 低火力高耐久
- 高速低火力
など、役割が違います。
同じようにエンジニアも、
- 実装型
- 設計型
- 高速型
など、それぞれ強みが違います。
つまり重要なのは、「最強を目指すこと」ではなく、
- 自分の種族値を理解する
- 役割を理解する
- 相性を理解する
ことです。
例えば、
- 設計型なのに実装量だけ求められる
- 実装型なのに調整業務ばかり
- 高速型なのに承認文化へ投入される
などになると、苦しくなります。
能力不足ではなく、「役割との相性問題」が発生している可能性があります。
なぜ優秀さの評価が分かれるのか
現場ではよく、
- 実装速い人が最強
- 設計できる人が最強
- 品質重視こそ正義
- 新技術強い人が優秀
みたいな話になります。
しかし実際には、見ている「種族値」が違うだけです。
「誰が最強か」は簡単には決まりません。
なぜ万能型が少ないのか
ポケモンにも種族値の合計が高いポケモンはいます。
しかし、多くのポケモンは
- 攻撃が高い代わりに防御が低い
- 素早い代わりに耐久が低い
- 耐久が高い代わりに火力が低い
という形で能力が配分されています。
エンジニアも似ています。
- 実装経験を積めば実装力は伸びる
- 設計経験を積めば設計力は伸びる
- マネジメント経験を積めば調整力は伸びる
一方で、時間は有限です。
ある能力を伸ばすということは、別の能力へ投資する時間を減らすことでもあります。
そのため、
- 実装特化
- 設計特化
- ドメイン特化
- マネジメント特化
のような人が自然に生まれます。
もちろん中には、
- 実装できる
- 設計できる
- 顧客対応できる
- マネジメントできる
という高種族値の人もいます。
しかし、そのような人は非常に希少です。
そして重要なのは、「万能型が最強」とは限らないことです。
ポケモン対戦でも、種族値が平均的に高いポケモンより、役割が明確なポケモンの方が活躍することがあります。
システム開発でも同じです。
組織は万能な人を探すより、
- 攻撃型
- 耐久型
- 素早さ型
- 特攻型
を組み合わせた方が強くなります。
つまり組織の強さは、個人の万能性ではなく「役割分担」で生まれるのです。
おわりに
エンジニアにも「種族値」があります。
そして重要なのは「全能力が高いこと」ではありません。
- どの能力が高いか
- どの環境へ強いか
- どんな役割へ向いているか
を理解することです。
強い組織ほど、個人の種族値を理解し、適切な役割へ配置しています。
つまり、「強い人を集める」のではなく「種族値を活かせる構成を作る」ことが重要なのです。
次回予告
次回は、
- なぜ同じ種族値でも活躍が変わるのか
- エンジニアの個性とは何か
- 特性が活きる環境
- 特性と成長の関係
について整理します。