はじめに
前回までのキャリア編では、
- ジムバッジ
- 四天王
- チャンピオン
- ランクマッチ
を通して、エンジニアの成長とキャリアについて整理してきました。
しかし、ポケモンには少し特殊な文化があります。
それが「廃人育成」です。
- 個体値を揃える
- 努力値を振る
- 性格を厳選する
- 技構成を考える
ために、膨大な時間を費やす人がいます。
外から見ると、「そこまでやる必要ある?」と思われることもあります。
しかし当人たちは本気です。
エンジニアの世界にも似たような文化があります。
今回は、
- エンジニアにとっての廃人育成とは
- なぜ人はそこまで学習するのか
- 成長への執着が生まれる理由
- 廃人育成のメリットと危険性
を、ポケモンの「廃人育成」として整理します。
廃人育成とは
ポケモン対戦では、
- 個体値
- 努力値
- 性格
- 技構成
を最適化することで、同じポケモンでも強さが変わります。
そのため対戦勢は、
- 理想個体を作る
- 最適な努力値配分を探す
- 環境に合わせて調整する
ことを繰り返します。
時には何十時間、何百時間も費やします。
効率だけ考えれば過剰かもしれません。
しかし、本気で勝ちたい人にとっては必要な準備なのです。
エンジニアにも似たような人たちがいます。
エンジニアにとっての廃人育成とは
例えば、
- 毎日技術書を読む
- 休日に個人開発をする
- OSSへ貢献する
- 技術検証を続ける
人たちです。
仕事で求められているわけではありません。
しかし、自ら学び続けます。
周囲からは、「そこまでやらなくてもいいのでは?」と言われることもあります。
それでも続けます。
なぜでしょうか。
それは単なる勉強ではなく、成長そのものが楽しくなっているからです。
なぜ人はそこまで学習するのか
新人の頃は、
- 仕事で必要だから学ぶ
- 怒られたくないから学ぶ
- 評価されたいから学ぶ
ことが多いです。
しかし、ある段階を超えると変わります。
学習が義務ではなくなります。
新しい技術を知ることが楽しい。
仕組みを理解することが面白い。
作れなかったものが作れるようになることが嬉しい。
ゲームでレベル上げをする感覚に近いかもしれません。
だから誰にも言われなくても続けられるのです。
成長への執着が生まれる理由
エンジニアは知れば知るほど、自分の知らないことへ気付きます。
例えば、
- データベースを学ぶ
- ネットワークを学ぶ
- セキュリティを学ぶ
と、まだ知らないことが大量にあることを理解します。
すると、
- もっと知りたい
- もっと上手くなりたい
- もっと深く理解したい
という気持ちが生まれます。
これは向上心でもありますが、ある意味では終わらない欲求でもあります。
ポケモンの厳選が終わらないように、学習にも終わりがありません。
廃人育成のメリットと危険性
成長速度が速い
当然ですが、学習量が多い人ほど成長は速くなります。
同じ5年の経験でも、
- 業務だけの5年
- 業務+継続学習の5年
では大きな差が生まれることがあります。
長期的には大きな武器になります。
環境変化に強い
技術の世界は変化が激しいです。
しかし普段から学習している人は、
- 新技術
- 新しい開発手法
- 新しい考え方
へ適応しやすくなります。
ランクマッチ編で紹介した「環境適応力」にも繋がります。
学ぶこと自体が武器になる
技術は陳腐化します。
しかし、
- 調べる力
- 学ぶ力
- 吸収する力
は残ります。
長く活躍する人ほど、知識よりも学習能力が高いことがあります。
成長が目的になる
ここで注意が必要です。
レベル上げが楽しくなりすぎると、
- 学ぶこと
- 資格を取ること
- 新技術を触ること
自体が目的になることがあります。
しかし本来の目的は、
- 課題を解決すること
- 価値を提供すること
です。
成長は手段であって目的ではありません。
他人へ同じ努力を求めてしまう
自分が努力していると、「なぜ勉強しないの?」と思うことがあります。
しかし価値観は人それぞれです。
全員がチャンピオンを目指しているわけではありません。
仕事と家庭を大切にする人もいます。
趣味を優先する人もいます。
自分の育成方針を他人へ押し付けないことも重要です。
燃え尽きることがある
常に全力で走り続けると疲れます。
- 睡眠不足
- 休日消失
- 過度な自己投資
が続くと、心身へ負荷がかかります。
どれだけ強いポケモンでも、HPが0になれば戦えません。
状態異常編でも触れましたが、継続できることが最も重要です。
本当に強い人とは
若い頃は、
- 勉強時間
- 資格数
- 技術力
ばかりに目が向きます。
しかし長く活躍している人を見ると少し違います。
彼らは、
- 学び続ける
- 働き続ける
- 楽しみ続ける
ことができます。
短距離走ではなく、長距離走なのです。
本当に強い人とは、一時的に頑張れる人ではなく、何十年も続けられる人なのかもしれません。
おわりに
廃人育成とは、強さを追求する文化です。
その結果として、
- 高い技術力
- 深い知識
- 優れた適応力
を手に入れることができます。
しかし同時に、
- 燃え尽き
- 視野の狭さ
- 成長依存
という危険性もあります。
重要なのは、強くなることだけではありません。
長く楽しく冒険を続けることです。
エンジニアのキャリアも同じです。
成長への情熱を持ちながら、無理なく続けること。
それこそが、本当の意味での「育成」なのかもしれません。
次回予告
次回は、
- エンジニアにとっての厳選とは
- なぜ設計は終わらないのか
- 完璧主義が生まれる理由
- 品質と効率のバランス
について整理します。