こんにちは、menu株式会社(以下、menu)のバックエンドエンジニアの土肥です。
2025年6月6日(金)にmenu主催の「Vibe codingしようぜの会」が開催されました。
本記事では、当日のセッションの全体的なレポートと、その中でも特に興味深かった内容を紹介したいと思います。
最高にアツい!「Vibe codingしようぜの会」ってどんなイベント?
この会は、生成AIをどのように仕事で役立てているか、という点に重きを置いて、menuから5人のメンバーが登壇し、生成AIを活用した開発事例について発表を行いました
今回は、この「vibe codingしようぜの会」での熱い発表の様子をお伝えします。

みんなのLTが熱すぎた!発表内容&感じたこと
松崎さん(menuフロントエンドエンジニア): AI進化の歴史と“人間×AI”の新しい関係性に迫る!
松崎さんからは、生成AIの歴史から始まり、CursorやMCP (Model Context Protocol)といった開発ツールの進化について深い洞察が語られました。AIの「作業単位」がGitHub Copilotのコードスニペットから→Cursorのワークスペース単位→さらにはDevinのようなタスク単位へと大規模化しているという話は非常に興味深かったです。
しかし、その一方で「AIって、なかなか自分の指示通りに動いてくれないんだよな…」という悩みにどう向き合うか、という現実的な課題も提起されました。 特に印象的だったのは、「LLM(モデル)はなんでも知ってる。でも、君の事情(コンテキスト)は知らない。」 という言葉です。これを解決するために生まれたMCPは、SlackやJira、Figmaといった人間が日常的に使うツールに残された「人間の事情」と大規模言語モデルを繋ぐ画期的な方法だと感じました。
松崎さんは、Figmaのデザインと既存のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の仕様がある中で、4ヶ月見積もりの40画面分の実装を、たった2ヶ月で一人でやり遂げたというから驚きです!Cursorに「Cursor Rules」という指示書をしっかり作ってあげて、AIが人間にとって分かりやすいコードを書くように誘導したことが成功の秘訣だそうです。AIを盲目的に使うのではなく、「AIを正しい解決策に導くプロフェッショナル(人間)であれ!」 というメッセージは、AI時代のエンジニアの役割を明確に示すもので、深く心に響きました。
新田さん(menuサーバーサイドエンジニア): “自分で1行も書かずにタスク完了”の衝撃!AIの本気を見た
新田さんの発表は、まさに衝撃の連続でした。なんと、「1行も自分でコードを書かずにタスクを完了した話」 というテーマで、MCPを使ってConfluence(コンフルエンス)にあるコーディングのルールをAIに読ませ、Jiraのチケットに「このバグを直して」と一言書くだけで、AIが自分で修正方法を見つけて実装してくれたそうです。ユニットテストまで含めてわずか2分で実装が終わったという話には、会場全体からどよめきが起こりました。
さらに、menuの配達員さん(クルーさん)の移動状況を調べる時に、クルーさんの位置情報が入ったCSVファイルを確認して、「位置情報を時系列に表示するアニメーションを作るプログラムを書いて」とAIに頼んだ話も、とても面白かったです。人間がやるとものすごく時間がかかるような「可視化」の作業をAIが一瞬でやってくれたおかげで、問題解決がスムーズに進んだそうです。これは、AIが調査段階でとても役立つことを示していますね。
新田さんの「小さい0から1(何もないところから何かを少しだけ作り出すこと)が得意だから、使い捨てのシミュレーターなどを作らせるとぴったりはまる」というまとめは、AIの得意なことを理解して、それに合わせて活用することの大切さを教えてくれました。
AIの使い方がうますぎる!
内田さん(menuフロントエンドエンジニア): “1000ファイル超え”のカオスをAIで一刀両断!ドキュメント生成&オンボーディング革命
内田さんからは、Cursorを活用した二つの実践的な事例が紹介されました。一つは「Cursorにコードを読ませて仕様のドキュメントを書いてもらう」というもの。既存コードの複雑さ、そして1000を超えるファイルにどのように立ち向かっていくか悩まされていた中、Geminiにプロンプト作成の壁打ちを依頼し、フェーズに分けてコードの概要から詳細なフローチャートまでドキュメント化を進めたそうです。
特にCursorのMaxモードを使って約2時間弱で大量のドキュメントを作成したという話は、AIによるドキュメント生成の可能性を強く感じさせました。もちろん人の目による確認は必要とのことでしたが、膨大な作業への「とっかかり」を作れたことが大きな成果だと語っていました。もう一つは、「Confluenceと繋げてmenuフロントエンドチームのオンボーディングを助けるツールを作る」という試み。チームで取り組んでいるドキュメント整理の成果をCursorに読み込ませ、オンボーディングの問題作成や、細かなルール解説までAIが行うという話は、日々の業務におけるAIの活用の幅広さを示していました。AIがチームの知識を学習し、チームのメンバーしか知らないような細かいルールまで解説してくれるのは、新しいメンバーが早く仕事に慣れるのに大きく役立つでしょう。
窪田さん(menu MOAチーム): Slackで開発完結!? “中央線駆動開発”の未来感がヤバい
窪田さんからは、Devinという完全自立型AIエージェントの紹介と、そのDevinをSlack上で活用する 「中央線駆動開発』 というユニークな試みが発表されました。「中央線駆動開発」というのは、通勤電車に乗っている間に実装が全部終わってしまう、という夢のような話です。GithubやSlackと接続し、Slack上でDevinにリクエストを投げるだけで実装、さらにはプルリクエストまで出してくれるという話は、まさに夢のような開発体験です。
窪田さんは、他の人の発表を聞きながら、ある機能に関してDevinとSlackを通してコーディング実装を進めていたというエピソードを披露。オニオンアーキテクチャでコードを書いてくれたり、テストの実行結果まで返してくれたり、最終的にはマイグレーションまで通してくれたという話は、Devinの自律性の高さに驚かされました。計14ファイルのコードが生成され、マージできるレベルまで進んだという実績は、「本当に中央線駆動開発ができそう!」という期待感を高めてくれました。
午菴さん(menuフロントエンドエンジニア): Figma×CursorでUI自動実装!“10日→2日”の爆速体験
午菴さんからは、CursorによるUI新規実装の自動化への挑戦が語られました。FigmaとMCPを組み合わせてUIを生成する試みでは、グリッドUIを一瞬で期待通りに実装できた成功体験と、期待と異なるUIになることもあるという課題の両面が共有されました。
印象的だったのは、この課題に対して午菴さんが行った改善策です。タスクの細分化やCursor rulesの活用はもちろんのこと、AIがタスクを完了したりMCPツールを実行する直前に通知を出すというルールを追加した話は、人間とAIの協調作業において、AIの状況を把握することの重要性を示唆していました。タスクが完了したり、mcpを使うときはユーザーの操作が必要なので、下記のrulesを追加すると便利だったそうです。
タスクが完了してしたら、ターミナルで、osascript -e 'display notification "タスクを完了しました" with title "Cursor"'を実行してください。
MCP toolsを実行する直前毎回必ずターミナルでosascript -e 'display notification "MCP toolsの実行が必要です" with title "Cursor"'を実行してください。
結果的に、工数を10日から2日に圧縮できたという成果は、AIによるUI実装の自動化が現実的な選択肢になりつつあることを示しています。AIがエラーを自律的に検知・修正してくれるという話もあり、AIの進化が開発プロセスにもたらす変革を強く感じさせる発表でした。
みんなで食べて語って盛り上がる!イベント全体のVibesまとめ
このイベントは、menu事業部のエンジニアたちが生成AIを積極的に活用し、新しい開発スタイルを模索している様子が伝わってくる会でした。
特に印象的だったのは、発表会の合間にmenuアプリで注文したデリバリーをみんなで食べながら、AIの活用方法について熱い議論が交わされたことです。

このような和やかな雰囲気の中でも、各エンジニアのAIに対する真摯な取り組みと、その成果に対する熱意が伝わってきました。
各発表者からは、AIを単なるツールとしてではなく、「いかにパートナーとして活用するか」 という視点に立った、実践的で示唆に富む話が次々と飛び出しました。
今回のイベント全体を通して、生成AIが私たちの仕事に劇的な変化をもたらし、生産性を飛躍的に向上させる可能性を肌で感じました。しかし同時に、AIを最大限に活用するためには、AIの特性を理解し、適切に指示を与え、最終的な判断を下す人間の役割の重要性も強く認識させられました。
私たちはAIを使いこなす「プロフェッショナル」として、AIとともに新たな「当たり前」を創造していくフェーズにいるのだと確信しました。
採用情報
レアゾン・ホールディングスは、「世界一の企業へ」というビジョンを掲げ、「新しい"当たり前"を作り続ける」というミッションを推進しています。 現在、エンジニア採用を積極的に行っておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ下記リンクからご応募ください。