※注意※
当記事に出てくる「アマゾンの森林破壊」についてはあくまでも説明のための例ですので、
数値的根拠や情報のソースなどの裏付けを一切取っていません。その旨をご了承ください。
はじめに
人に伝える、それはとても奥深くて難しいことだと思います。
実際、仕事をしていても「伝わらない」という瞬間が多くある。
この記事では、伝えるというありふれた行為について振り返り、
そこにある技術について、改めて自分なりの考えをまとめてみたいと思います。
第1章 伝えたいことは何か?
表題となるトピックを決める
ここで大事にしているのは、
自分が本当に伝えたいことを話すにあたって表題の大きさは適切かということ。
例えば、
「アマゾンの森林伐採は、牛肉が高く売れるから牧草を広げようって動きのせいなんだよ」
ということを伝えたい時に「資本主義の歴史が生んだ森林破壊」という表題をつけるとします。
すると、その文脈には中世ヨーロッパから続く資本主義の歴史を書く必要が出てきて、それは
相当な文章量になる。その結果、一番伝えたい「アマゾンと牛肉の関係」が大量の歴史の情報に
埋もれて、ぼやけてしまうわけです。
私はこの作業は、カメラの画角を決める作業に似ているなと思います。
「切り取りたい景色はなんだろう?」
「どの範囲を切り取れば、一番見せたいものが引き立つのだろう?」
それを考え、話が大きすぎて要点がわからない、話が詳細すぎて全体像がわからない
なんて事のないように気をつけます。
この例だと、「牛肉がアマゾンを破壊する」なんてタイトルだと興味を引くし、
本当に伝えたいところが際立つのではないかと思います。
第2章 構成を考える
フレームワークを選ぶ
伝える時は、最初に選ぶ構成が大事。
フレームワークには得意苦手があるので、各フレームワークの特徴を理解し、
伝えたい勘所を際立たせるものを選択するよう心がけています。
いろんなフレームワーク
【SDS法】
一番シンプルなので、伝えたいことが簡潔で情報量が少ない時に有効。と感じてます。
ニュースなどはこの構成で作成されることが多いらしい。
SDSは、以下の構成で文章を組み立てます。
- Summary = 全体の概要
- Details = 詳細の説明
- Summary = 全体のまとめ
以下、実際にSDSの構成で組み立てた文章です。(ニュース原稿風にしてみました)
【Summary】
本日は、なぜ牛肉がアマゾンの森林破壊につながるのか? についてお伝えします。
【Details】
現在、牛肉の価格は高騰を続けています。
牧畜による収入はアマゾンにおいて、重要な収入源となっているわけです。
すると、人々はより一層、牧草地を広く拡大させようとします。
そういった理由から、森林の伐採が加速しているのです。
【Summary】
以上から、牛肉の価格高騰がアマゾンの森林伐採につながっている
という社会問題についてお伝えしました。
全体的な印象として、短時間、少ない情報量で重要なところが飛び込んでくる感じがします。
ですが情報量の少なさゆえに、書いてある事の根拠が乏しくて説得力に欠ける印象もあります。
発表時間の短いプレゼンやエレベーターピッチといったケースに使えそうです。
【PREP法】
結論に重点を置いた構成。結論に説得力をもたせたい時に有効。
根拠や例を示す事で、情報量が増え、結論に論拠が生まれます。
- Point = ポイント・結論
- Reason = 理由
- Example = 実例・事例・具体例
- Point = ポイント・結論を繰り返す
PREPは、以下の構成で文章を組み立てます。
【Point】
私は、アマゾンの森林伐採が牛肉の価格高騰により引き起こされているということを知って欲しいです。
【Reason】
なぜなら、このままではアマゾンの環境破壊が取り返しのつかないところまで来てしまうからです。
【Example】
事実、牛肉の卸値価格は近年向上し続けています。
また、アマゾンに生きる人の実に多くの割合が酪農によって生計を立てており、
その出荷量も増えています。
これらの増加の曲線に合わせるように、牧草地の面積が増え、森林の面積が減っているのです。
【Point】
以上から、私は、アマゾンの森林伐採が牛肉の価格高騰により引き起こされているということをみんなが周知し、
反対の声を上げていくことが重要だと思います。
【穴埋め文章作成テンプレート】
以下の項目を埋めるようにして文章を作成する手法です。
大まかな構成はPREP法と似ていますが、
こちらはより物語性が高く、共感を大事にするシーンに向いていると感じます。
Catch:読者の興味を引く
- オープニング(つかみ)
主題に繋がるニュースや冗談、日常のエピソードで読み手に興味を持ってもらう。 - テーマ(主題)
テーマは何かを明確に示す。主題を簡潔に伝えることで、話の方向性を示す。
Me:私(作者)が読み手に与えるものを提示する
- ベネフィット(相手が得すること)
この文章を読むことで、どんな良いことがあるのかということを書く。 - プレミス(自説)
主題の中で、一番伝えたい意見(持論、主張)を書く。
続くIfでは、ここで述べた内容に根拠を持たせていく。
If:論拠を書き、説得力を与える
- バックグラウンド(背景)
自説に至った背景(経験や体験)を伝えることで、さらに共感を深める。 - プルーフ(論拠)
ベネフィットやプレミスに対して、納得材料(証拠)を示す。
You:再度、Meの内容を伝える
- コンクルージョン(結論)
プレミスと同じことを繰り返す。 - ベネフィット(相手が得すること)
ベネフィットと同じことを繰り返す。
Can:文章で与えた知識を使ってもらう
- ベイビーステップ(はじめの一歩)
自分の伝えたことが、相手の役に立つよう手助けをする。
活用方法のヒントなど、伝え方は様々ある。
第3章 相手を知る
実際に文章を書き始める前に考えることがあります。それは、伝える相手はどんな人か。
それにはまず、自分が「誰に」伝えたいのかを明確にします。
そして、伝えたい人が「どんな人か」を掘り下げていきます。
日常生活でも、話す相手によって、選ぶ話題や用語を変える事はよくありますよね。
具体的には、どういったことに興味があるか、どんな知識を持っているか、
本人が気づいていない需要はないかなど、考えることは表題によって変わってきますが、
思いつく限り掘り下げて、明確化する意識が大切だと思います。
同じことを伝えるにしても、主婦相手なら「スーパーの牛肉の価格」から、経営者相手なら
「アマゾンの経済成長」から、話題をシフトすれば興味を引きやすいのではないでしょうか。
また、専門家相手には専門用語を使っても伝わりますが、一般人に伝える時にはより、
一般的な言葉選びが求められます。
自分の言葉選び、話題選びに理由づけをして、伝えて、伝わらなかったらなぜかを考える。
前提条件にしていたターゲット(誰に)が間違えてた?メリットがうまく伝わらなかった?
試行錯誤することで、明確化の観点もより洗練されていくと思います。
第4章 言葉を磨く
あとは考えた構成、伝えたい対象に届くワードを使って文章を書きます。
文章を書く時、私は以下の順番で文章を磨いています。
- とりあえず、構成に沿って一気に書き切る
- 同じ単語を使ってる場所がないか確認し、可能なら削除する
- 用語はターゲットにあったものを使っているかを見直す
- 長すぎる文章はないか確認する(1呼吸、2呼吸くらいで言える長さにする)
- 句読点(、や。)が多くてテンポが悪くなっていないか確認する
- 語尾を揃える(です・ます/だ・である のどちらかに統一する)
終わりに
一通り、伝える技術について書いてみましたが、伝えるということに正解はないと思います。
実際に使ってみて、自分なりにカスタマイズしていくことで本当の技術になると。
たくさん伝えて、自分だけの伝える技術というものを確立させていきたいと思います。