はじめに
本記事は、Googleデータアナリティクスのプロフェッショナル認定証のプログラムより、参照させて頂いています。興味を持った方は、是非受講してみてください。

正しい問いかけ
今日、さまざまな業界で多くの企業が、急速な変化と不確実性に対処しています。老舗の企業でさえも、新しいことを取り入れ、次に何が起こるかを見極める必要に迫られているのです。そのために必要なのが「問いかけ」です。正しい問いかけをすることで、多くの企業が望む革新的なアイデアにつなげることができます。
データ分析も同じです。どんなに多くの情報を持っていても、どんなに高度なツールを使っていても、正しい問いかけから始めなければ、データは多くを語ってはくれません。いわば大量の証拠を持っている刑事が、重要な容疑者にそのことについて尋ねないようなものです。
ここでは、効果的な問いかけの方法と、避けたい問いかけについてもご紹介します。
高い効果が見込める問いかけを作るための「SMART フレームワーク」

具体的な問いかけ
これは、シンプルで重要な、 1 つのトピック、または密接に関連する いくつかのアイデアに焦点を当てたものです。 これにより、調べたいことに関連した 情報を収集することができます。 1 つの要素に絞って問いかけてみましょう。
- NG:「最近の子どもたちは十分に運動をしていますか?」
- OK:「推奨されているとおり 週に 5 日 60 分以上の運動をしている 子供の割合はどのくらいか?」
測定可能な問いかけ
これは、 その結果を数値化して評価することができます。
- NG:「なぜ最近投稿したこの動画は流行ったのか?」
- OK:「その動画を投稿した最初の週に、 ソーシャルチャンネルで何回共有されたか?」
行動指向の問いかけ
これは、変化を促します。 課題解決とは、現在の状態を見て、 それを理想の未来の状態に変える方法を 考えることだと覚えておくとよいでしょう。 行動指向の問いかけは、理想の未来に 到達するためのステップなのです。
- NG:「どうすればお客様に 製品パッケージをリサイクルしてもらえるか?」
- OK: 「どのようなデザインにすれば、 よりリサイクルしやすくなるか?」
関連する問いかけ
これは、 解決しようとしている課題にとって重要であり、 意義があるものを指します。 例えば、絶滅危惧種のカエルに関する課題に 取り組んでいるとしましょう。
- NG:「なぜパインバレンズのアマガエルが消え始めた ことが課題なのか?」
- OK: 「1983 年から 2004 年の間に ノースカロライナ州ダーラムで どのような環境要因が変化し、 サンドヒルズ地域からパインバレンズの アマガエルがいなくなったのか?」
時間制約な問いかけ
これは、 調査対象期間を指定します。 ここでの調査期間は、 1983 年から 2004 年までです。 これにより、可能性の幅が狭まり、 データ アナリストは関連するデータに 集中することができます。
避けたい問いかけとは
誘導尋問のような問いかけ:回答者が特定の回答しかできない
- 例: この商品は高いと思いますよね?
このような問いかけは質問の中に答えを示唆しているため、誘導尋問といえます。より良い問いかけの例としては「この製品に関するあなたの意見をお聞かせください 」などが挙げられます。こうすることで価格だけでなく、使い勝手、機能、付属品、色、信頼性、人気など、より多くの回答が得られるでしょう。課題が価格に焦点を当てているのであれば
- 「この製品の価格(または価格帯)がいくらくらいなら購入したいですか?」
といった問いかけもできるでしょう。このような問いかけであれば、測定可能かつさまざまな回答が得られます。
クローズドエンド(選択式)の問いかけ:一言または簡潔な回答しか得られない
- 例:トライアルには満足していただけましたか?
このような問いかけは、回答に広がりのないクローズドエンド型の問いかけといえます。これでは回答者からは一言しか得られず、あまり有益な情報にはなりません。より良い問いかけの例としては
- 「トライアルしてみて、この製品についてどんなことを感じましたか」***
などが挙げられます。こうすることで「よかった」以外の詳細な情報を提供してもらうことができます。
漠然とした問いかけ:具体的でない、またはコンテキストがわからない
- 例:このツールはあなたに合っていますか?
この問いかけは、コンテキストがなく漠然としすぎています。ねらいは、新しいツールとそれに代わるものを比較することでしょうか?これだけではわかりません。改善例としては、
- 「データ入力に関して、新しいツールは古いツールと比較して速いですか、遅いですか、それとも同じぐらいですか?もし速い場合、どれくらいの時間が節約できましたか?遅い場合、どれだけの時間をロスしましたか?」
などが挙げられます。これらの問いかけは、データ入力という文脈があるうえ、かかった時間という測定可能な回答も得ることができます。
公平性
公正さとは、問いかけが偏見を生んだり、 助長したりしないかを指します。
- 例えば、ある科学館を訪れた人に 満足度調査を行うとします。 そのアンケートで「私たちの展示物の中で 最も気に入っているものは?」と聞くと 展示物を気に入った前提になってしまいます。 そうかどうか、わかりませんよね。
公平性とは、 誰もが納得できる問いかけをすることです。 問いかけの内容は、明確で、 誰にでもわかりやすい 表現であることが重要です。 不公平な問いかけをすると、データアナリスト としての仕事がやりにくくなります。 信頼できるフィードバックが得られず、 本当に価値のあるインサイトを 得る機会を逃してしまうのです。