G 検定は範囲が広く、覚える項目の数そのものが苦痛です。私もそこで一度つまずきました。
第 3 回(2026 年)に合格しましたが、途中まで単語帳のように覚えようとして、
翌週には抜けている、を繰り返していました。
うまくいったのは、覚える項目を減らすやり方でした。
減らすといっても範囲を捨てるのではありません。バラバラの項目を 1 本の線に繋いで、
端だけ覚えれば残りが導けるようにするという意味です。
この記事では、その「線」を 4 本紹介します。
(前の記事で扱った数字の話と内容は重なりません。あちらは「なぜそうなるか」、こちらは「どう覚えるか」です)
線 1:AI の歴史は年号でなく「行き止まりと、その答え」で並ぶ
よくある覚え方
第 1 次ブーム(1950〜60 年代)は探索と推論。冬。
第 2 次ブーム(1980 年代)は知識。冬。
第 3 次ブーム(2010 年代〜)は機械学習・深層学習。
これを 3 つの独立した事実として覚えると、どのブームが何で終わったかが必ず混ざります。
繋げて覚える
各ブームは、前のブームの行き止まりへの答えとして始まっています。
| 何ができた | 何で行き止まったか | その答えが次のブーム |
|---|---|---|
| 探索・推論で迷路やパズルを解いた | 決められた盤面しか解けない(トイプロブレム) | → 現実の知識を機械に入れよう |
| 専門家の知識をルールとして書いた | 書き出せない知識がある(暗黙知)。ルールの保守も破綻 | → 人が書かずにデータから学ばせよう |
| データから学ぶ(深層学習) | ※ここは現在進行形 |
この形にすると、「冬の理由」は覚える項目ではなく、次のブームの動機から逆算できます。
第 2 次の冬を聞かれたら「次が『データから学ぶ』なら、その前は『人が書いていた』のが限界だったはず」
と辿れる。逆も同じです。
私はこの並びを掴むために、歴史の順に読めるマンガを自分で作りました。
順番が物語として入っていると、試験中に思い出す速度がまるで違います。
線 2:人名は「何をしたか」でなく「どちら側に立ったか」で覚える
人名は一番ばらけやすい項目です。ここは 「記号(ルールを書く)側」か「結合(学ばせる)側」か
の 2 択に落とすと整理できます。
| 人物 | 側 | 引っかかり |
|---|---|---|
| ローゼンブラット | 結合 | パーセプトロン。1958 年 7 月 8 日の NYT が 「NEW NAVY DEVICE LEARNS BY DOING」と報じた |
| ミンスキー | 両方 | ← ここが引っかけ |
| ファイゲンバウム | 記号 | エキスパートシステムの父。MYCIN |
| レナト | 記号 | Cyc。常識を全部書き下そうとした |
| ヒントン | 結合 | 誤差逆伝播を広め、深層学習へ |
ミンスキーが両側にいるのがポイントです。
- 1951 年、24 歳のときに SNARC(40 個の真空管ニューロン)を組んだ。
世界初の学習機械で、これは完全に結合主義の側です - ところが 1969 年、パパートとの『パーセプトロンズ』で XOR の限界(どちらか一方だけ 1 のとき 1 を出す論理式が、直線 1 本で分けられない)を突きつけ、
結合主義の冬のきっかけを作った側にもなる
「ニューラルネットの祖の一人が、ニューラルネットを止めた」という矛盾として覚えると、
ミンスキー関連の設問はまとめて取れます。人名を 1 つずつ覚えるより、
この 1 つの引っかかりを覚えるほうが安いです。
線 3:活性化関数は「微分の最大値」1 列で足りる
活性化関数は種類が多く見えますが、試験で問われるのは
「なぜそれを使うか/何が問題か」です。それは微分の形で決まります。
| 関数 | 微分の最大値 | そこから出る帰結 |
|---|---|---|
| シグモイド | 0.25 | 層を重ねると 0.25 の累乗で勾配が消える |
| tanh | 1.0 | シグモイドより勾配は残るが、端では 0 に近づく |
| ReLU | 1(x>0)/0(x<0) | 正側は消えない。負側は勾配 0 で素子が死ぬ |
import numpy as np
xs = np.linspace(-8, 8, 200001)
sig = lambda x: 1 / (1 + np.exp(-x))
print((sig(xs) * (1 - sig(xs))).max()) # 0.25
print((1 - np.tanh(xs) ** 2).max()) # 1.0
この 1 列を覚えておくと、次が全部そこから出ます。
- なぜシグモイドから ReLU に移ったか → 0.25 と 1 の差
- ReLU の弱点は → 負側が 0(dying ReLU)
- その対策は → 負側に傾きを残す(Leaky ReLU)
- なぜ tanh はシグモイドよりましと言われるか → 最大値が 4 倍
4 項目が、1 列の数字から導けます。
線 4:手法の分類は「何を人が決めるか」の 1 軸で並ぶ
ここが一番効きます。記号主義/機械学習/深層学習/特徴量エンジニアリング/表現学習…と
バラバラに覚えている項目は、1 本の軸に乗ります。
人が決める範囲が、どこまで狭くなったか
| ルール | 特徴量 | 判断 | |
|---|---|---|---|
| 記号主義(エキスパートシステム) | 人 | 人 | 機械 |
| 従来の機械学習 | 機械 | 人(特徴量エンジニアリング) | 機械 |
| 深層学習 | 機械 | 機械(表現学習) | 機械 |
左から順に、人の仕事が 1 つずつ機械に移っています。
この表があると、こういう問いが表を読むだけで答えられます。
- 深層学習が従来の機械学習と決定的に違う点は → 特徴量を人が設計しない
- 表現学習とは → 特徴量そのものを学習すること(表の右下)
- エキスパートシステムの限界は → 一番左、ルールを人が書くことの限界(=暗黙知)
- なぜ大量のデータが要るようになったか → 特徴量を人が与えないぶん、データから見つけさせるから
覚える項目は「人の仕事が右へ移動していく」という1 つの動きだけです。
まとめ:覚える量はこれだけに減る
| 線 | 覚えるのは | そこから導けるもの |
|---|---|---|
| 1 | 行き止まり → 次の動機 | ブームの順番、冬の理由 |
| 2 | ミンスキーが両側にいる矛盾 | 人名と立場の対応 |
| 3 | 0.25 / 1.0 / 1 か 0 | 活性化関数の選択理由と弱点と対策 |
| 4 | 人の仕事が右へ移動 | 手法の分類、表現学習、データ量の話 |
4 つです。ここから枝が生えるので、単語帳で 40 項目覚えるより、こちらのほうが速くて残ります。
もちろんこれで全範囲は覆えません。法規・倫理まわりは素直に覚えるしかない部分が多いです。
ただ、技術の項目はほぼこの 4 本に吊るせます。
付記
私はこの「線」を頭に入れるために、歴史の順に読めるマンガと、
パラメータを動かせる図解を作りました。線 3 の 0.25 や、線 1 の行き止まりは、
実際に動かすと 1 回で入ります。
- 図解(重みを動かすと誤差が落ちる、ルールが 1 歩ずつ発火する など)
https://manga-epoch.pages.dev/pub/epoch/arc1/figures - 本編(第 1 巻は全編無料・登録不要)
https://manga-epoch.pages.dev/
第 6 回は 11 月 6〜7 日、申込は 10 月 29 日締切です。まだ十分に間に合います。