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Cisco Workflows のプリメイドワークフローで実現する Meraki ネットワーク運用の自動化

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この記事はシスコの有志による Cisco Systems Japan Advent Calendar 2025 (1枚目) の 6 日目として投稿しています。他の記事や過去のカレンダーで様々なナレッジシェアが行われているので、興味のある方は下記のリンクからぜひご確認ください。

Meraki ダッシュボードのメニューにある「オートメーション」ってなに?

今年の10月より、Meraki ダッシュボードの左のメニューに「オートメーション」という新しい項目が追加されました。これは、同時期より正式リリースされた Cisco Workflows という新しいツールのメニューバーです。

image.png

Cisco Workflows とは、ネットワークの構築や運用を自動化するためのクラウドベースのツールです。Meraki ダッシュボード上にホストされていますが、Meraki デバイスのためだけの機能ではなく、Cisco Catalyst Center、Cisco SD-WAN、Cisco ISE、サードパーティツールなど、多くのプラットフォームを横断的に連携できるクロスドメイン仕様になっています。もはや、Meraki デバイスがなくても Meraki アカウントがあれば Cisco Workflows を利用することができます。

Cisco Workflows では、様々なプラットフォームの API を横断的に扱うことができ、これまでコードを書かなければ実現できなかった複雑なワークフローを Meraki ダッシュボード上で簡単に構築・実行できます。用途に合わせてイチからワークフローを作ることも可能ですが、オートメーションメニュー内の "Exchange" には、すでに作られたプリメイドワークフロー(シスコにより事前作成済みのワークフロー)もあるので、それらを活用してすぐにワークフローを試すことも可能です。ということで、本記事では Exchange にあるプリメイドワークフローを実際に動かしてみようと思います!

マルチOrg + タグ単位で Meraki ファームウェアアップグレードをオーケストレーションする

やりたいこと

Exchange 内にある「タグによるネットワークのファームウェアアップグレードのスケジュール」というプリメイドワークフローを使って、異なるオーガニゼーション配下にあるネットワークに登録されたアクセスポイントを、まとめて最新のファームウェアにアップグレードします。

「タグによるネットワークのファームウェアアップグレードのスケジュール」の内容

これまで、Meraki デバイスのファームウェアアップグレードをする際は、単一オーガニゼーション内のデバイスのみをアップグレードすることができました。(※ API などを活用しない場合)
しかし、このワークフローでは、自分がアクセスできる全てのオーガニゼーションを横断してデバイスのファームウェアアップグレードを設定することができます。その変更スコープとして「ネットワークタグ」を利用します。ネットワークタグさえ正しくつけておけば、オーガニゼーションを跨いで任意のネットワーク内にある任意のデバイスをまとめてアップグレードができます。

事前準備

1. オーガナイゼーション > 概要 より、任意のオーガニゼーション配下にある任意のネットワークに共通のタグをつけます。今回は、違うオーガニゼーション配下にある Home Lab 1 というネットワークと Default というネットワークにそれぞれ共通のタグをつけました。

image.png

2. オートメーション > Exhange より、「タグによるネットワークのファームウェアアップグレードのスケジュール」のワークフローをインストールします。そうすると オートメーション > Exhange の中にワークフローがインストールされます。

image.png

3. オートメーション > ターゲット より、ターゲットを作成します。ターゲットは「ワークフローが通信するシステム・リソース」のことです。今回のワークフローでは、ワークフローが Meraki デバイスとやりとりできる必要があるので、ターゲットとして Meraki Endpoint を選択し、また、Meraki API を登録する必要があります。

image.png

実行手順

1. ネットワークで利用可能なファームウェアを確認します。「ネットワークで利用可能なファームウェアを確認する」のワークフローを開き、右上の実行ボタンを押します。そして、事前作成済みのターゲット、確認対象のオーガニゼーション名・ネットワーク名を指定して実行ボタンを押します。

image.png

2. そうすると無事ワークフローの実行は成功し、実行結果として以下の出力が返ってきました。アクセスポイントが利用できる最新のファームウェアバージョンは、"MR 32.1.5" であり、当該バージョンの ID は "8607" であることがわかりました。

Wireless Current Version: MR 31.1.8 (ID:6603)
Wireless Available Version(s):
{
"availableVersions": [
{
"id": "8607",
"releaseType": "beta",
"shortName": "MR 32.1.5"
}
]
}

3. 上記を全てのオーガニゼーションで実施し、アップグレード先のバージョンおよび ID が確認できましたので、「タグによるネットワークのファームウェアアップグレードのスケジュール」のワークフローを使って、タグを持っているネットワーク("Home Lab 1" と "Default")配下にあるアクセスポイントを MR 32.1.5 にアップグレードします。

ワークフローを開き、右上の実行ボタンを押します。そして、事前作成済みのターゲット、アップグレード実行時間、MR ID、タグ名を指定して実行ボタンを押します。

image.png

4. そうすると無事ワークフローの実行が成功しました。

image.png

実行結果

オーガナイゼーション > ファームウェアアップグレード より、本当にファームウェアアップグレードがスケジュールされたか確認します。その結果、Home Lab 1 のネットワークと、Default のネットワークの両方において、MR 32.1.5 へのアップグレードが設定されていることを確認することができました。全ての設定を大体 6-7 分で終えることができました。

image.png

どんなユースケースで使える?

今回の検証では、少ないオーガニゼーション・少ないアクセスポイント台数で実施しましたが、オーガニゼーション・ネットワーク・デバイスが多い場合、これまでのファームウェアアップグレードと比較してとても楽になると思います。また、手動で大量のファームウェアアップグレードを実行しようとすると、選択漏れや選択ミスが起こる可能性もありますが、タグを変更スコープとして設定することで、タグさえ正しくつけておけば毎回同じロジックで安全にファームウェアアップグレードを回せる​というメリットもあります。

地域・国ごとに複数のオーガニゼーションを持っているユーザにとっては一括ファームウェアアップグレードを効率化することができると思います。また、複数顧客のオーガニゼーションを管理されているマネージドサービスプロバイダの方が、一括で最新バージョンを揃える際にも有効なワークフローかと思います。

おわりに

Cisco Workflows のプリメイドワークフローを活用すれば、コードを書くことなく、短時間で Meraki ネットワークの運用を自動化することができることをご紹介しました。もちろん、Meraki だけではなく Cisco のオンプレミスコントローラとも連携が可能ですし、それらを跨って横断的なワークフローも作成することができますし、クリエイティビティを発揮することで Cisco Workflows の可能性は無限大です。詳しい情報を知りたい方は以下の Cisco Workflows 公式ドキュメントおよび公式YouTubeもご確認ください!

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