はじめに
Office 2019 以降は ISO などのメディアからではなく、Office 展開ツール (以下、ODT と記述) を使用してインストールします。
ODT はコマンドライン ツールのため、Office 2016 までのように setup.exe をダブルクリックしてもインストールすることができません。
XML で製品の指定やインストールするアプリケーションを設定する必要があります。
本記事では、Office 展開ツール (以降、ODT と表記) をインストールした時のサンプルにある設定を読み解きます。
前提
ODT は、随時更新されています。今後、Office LTSC 2024 がリリースされる際には、ODT も更新されることが想定されます。
更新に伴い、添付されるサンプルが変わる可能性があります。
本記事では、執筆時点でダウンロードできる「officedeploymenttool_17531-20046.exe」を使用します。
ODT のインストール
1. ODT のダウンロード
ここ からダウンロードすることができます。
Download ボタンより、任意のパスにダウンロードします。
なお、ODT 自体は、日本語版はありませんが、日本語版の Office をインストールすることは可能です。
2. ODT のインストール
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールします。
ファイル名は、ODT のバージョンが付与されます。
本記事のファイル名と完全に一致しなくても問題ありません。
インストール時に、以下のようなユーザー アカウント制御画面が表示されることがあります。
この場合、[はい] ボタンをクリック (必要に応じて管理者権限の情報を入力) します。
その後、利用許諾画面が表示されるので、チェックボックスにチェックを入れたのち、[Continue] ボタンをクリックします。
なお、画面タイトルに「Office 2016」と表記されていますが、Office 2019 以降はすべて使用できるので気にしなくて大丈夫です。
ODT を展開するパスを指定します。
任意のフォルダーを選択し、[OK] ボタンをクリックします。
以下の画面が表示されれば、ODT のインストールは完了です。
ODT をインストールしたパスを見ると、以下のようなファイルがあることを確認できます。
サンプルにある XML ファイルの中身
長くなるので、コメントアウトされている部分や空行を消した XML を抜粋します。
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="64" Channel="Current">
<Product ID="O365ProPlusRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="VisioProRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="32" Channel="Current">
<Product ID="O365ProPlusRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="VisioProRetail">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="64" Channel="PerpetualVL2019">
<Product ID="ProPlus2019Volume">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="VisioPro2019Volume">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="ProjectPro2019Volume">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
</Configuration>
<Configuration>
<Add OfficeClientEdition="64" Channel="PerpetualVL2021">
<Product ID="ProPlus2021Volume">
<Language ID="en-us" />
<ExcludeApp ID="Lync" />
</Product>
<Product ID="VisioPro2021Volume">
<Language ID="en-us" />
</Product>
<Product ID="ProjectPro2021Volume">
<Language ID="en-us" />
</Product>
</Add>
<Remove All="True" />
</Configuration>
具体的な設定値は以下の通りです。
| 要素 | 属性 | XML での設定値 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Add 要素 | OfficeClientRdition 属性 | 64 | 64 ビット版 の Office をインストールする指定です。 |
| 32 | 32 ビット版 の Office をインストールする指定です。 | ||
| Channel 属性 | current | 更新チャネルとして最新チャネルを指定します。Microsoft 365 Apps をインストールする場合にのみ設定可能です。 | |
| PerpetualVL2019 | 更新チャネルとして ボリューム ライセンスの Office 2019 専用のチャネルを指定します。 | ||
| PerpetualVL2021 | 更新チャネルとして ボリューム ライセンスの Office LTSC 2021 専用のチャネルを指定します。 | ||
| Product 要素 | ID 属性 | O365ProPlusRetail | Microsoft 365 Apps for Enterprise をインストールする指定です。 |
| O365ProPlusRetail | Microsoft 365 の Visio Professional をインストールする指定です。 | ||
| ProPlus2019Volume | ボリューム ライセンス版の Office Professional Plus 2019 をインストールする指定です。 | ||
| VisioPro2019Volume | ボリューム ライセンス版の Visio Professional 2019 をインストールする指定です。 | ||
| ProjectPro2019Volume | ボリューム ライセンス版の Project Professional 2019 をインストールする指定です。 | ||
| ProPlus2021Volume | ボリューム ライセンス版の Office LTSC Professional Plus 2021 をインストールする指定です。 | ||
| VisioPro2021Volume | ボリューム ライセンス版の Visio LTSC Professional 2021 をインストールする指定です。 | ||
| ProjectPro2021Volume | ボリューム ライセンス版の Project LTSC Professional 2021 をインストールする指定です。 | ||
| Language 要素 | ID 属性 | en-us | 指定した製品の英語版をインストールする指定です。 |
最低限のインストールであれば、サンプルのままインストールすることが可能です。
サンプルをベースに、少し設定を変えて、Office LTSC 2021 をインストールする方法は、以下の記事に記載しているので、興味あれば参照してみてください。
最後に
ODT で設定できる項目は多岐にわたります。
設定項目の説明は、以下の資料に記載されています。
また、XML ファイルを一から手書きすると、ミスが発生することもあります。
Web に OCT ツールがあるので、そちらを使用したほうがスムーズかと思います。