ばっくばっくばく~ん
(謎挨拶)
ミーハーなのでOrcaが気になっている前田です。
ターミナル、何を使ってますか?
私はcmuxです。
年上の後輩におすすめされてから、cmux一本で戦ってます。
浮気しないので。
少し前まではGhosttyでした。
速いし、シンプルだし、ターミナルとしてかなり気に入っていました。
(即浮気しとるやないか!)
Ghosttyを使っていて、
Claude CodeとCodexを同時に回すようになってから、困るようになりました。
Tab 1 Claude Code
Tab 2 Codex
Tab 3 Claude Code
Tab 4 npm run dev
Tab 5 SSH
さて、今どれが私の入力を待っているでしょうか?
分かりません。1個ずつ開いて確認するしかありません。
しかも確認している間に、別のやつが終わっています。
モグラ叩きです。
昔のターミナル選びは、描画速度、起動速度、タブやSplitの使いやすさを見ればよかったです。
しかしエージェントを並列で走らせると、別のことが気になります。
- どれが作業中で、どれが入力待ちなのか
- エージェントごとにworktreeを分けられるか
- localhostをエージェント自身に確認させられるか
- UIを閉じても処理を続けられるか
- 出てきたdiffをその場でレビューできるか
使いやすさの方向性が変わってきました。
そこで、今使っているcmuxを基準に、Ghostty、Orca、Warp、Herdrがどこまで面倒を見てくれるのか整理してみました。
比べてみると、同じターミナル系に見えて役割はかなり違います。
Ghosttyは純粋なターミナル。
cmuxはそこにエージェント管理を足したもの。
OrcaとWarpはIDEや開発環境に近く、Herdrは既存のターミナルに追加して使うツールです。
結論
| Ghostty | cmux | Orca | Warp | Herdr | |
|---|---|---|---|---|---|
| 立ち位置 | ターミナルエミュレータ | エージェント向けターミナル | エージェントIDE | 開発環境(ADE) | エージェントランタイム |
| ターミナル実装 | libghostty | libghostty | xterm.js系 | 独自実装 | 描画しない |
| エージェント状態管理 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 複数エージェント並列 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| Git worktree統合 | × | ○ | ◎ | ◎ | △ |
| 内蔵Browser | × | ○ | ◎ | ○ | × |
| Browserをエージェントが操作 | × | ○ | ◎ | ○ | × |
| Diff / レビュー | × | ×〜△ | ◎ | ◎ | × |
| UIを閉じてもプロセス継続 | × | ○ ※local-tmux等 | ◎ | 機能依存 | ◎ ※server生存中 |
| macOS | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| Linux | ◎ | × | ◎ | ◎ | ◎ |
| Windows | × | × | ◎ | ◎ | ◎ |
| ライセンス | MIT | GPL-3.0-or-later | MIT | AGPLv3中心+一部MIT | Apache-2.0 |
どうやって選ぶかはこうなりました。
- ターミナルは自分で組みたい → Ghostty
- Macで複数のCLIエージェントを監督したい → cmux
- worktree、Browser、レビューまで一体化したい → Orca
- OSをまたいで開発環境を統合したい → Warp
- 今のターミナルに管理と永続化だけ足したい → Herdr
Ghostty ― 高性能な「ターミナルそのもの」
Ghosttyは高速なターミナルエミュレータです。
macOSではネイティブUIとMetal、LinuxではGTK4とOpenGLを使い、コアはlibghosttyとして独立しています。
良いところ
強みは、AI機能を載せず、PTYの向こう側に干渉しないことです。Claude Code、Codex、Neovim、tmuxなどを自由に組み合わせられ、AIツールの流行にも左右されません。
macOSネイティブのウィンドウ、タブ、Split、Quick Look、Secure Keyboard Entryなども使えます。Electron製の全部入りIDEとは違う、軽快な手触りがあります。
また、コアのlibghosttyは他の製品から利用できます。その代表例がcmuxです。
つまりcmuxはGhosttyの単純なライバルというより、Ghosttyのエンジンを積んだ別の車です。
弱いところ
一方、タブをいくつ並べてもエージェントの状態は管理してくれません。入力待ちの把握やプロセスの永続化は、tmux、Zellij、Herdrなどで補う必要があります。
ウィンドウやタブの復元と、プロセスが生き続けることも別です。Ghosttyを終了したあともClaude Codeがそのまま走る、という仕組みではありません。
向いている人: ターミナルを部品として使い、自分で環境を組みたい人。
cmux ― Ghosttyに管制塔を追加
cmuxはlibghosttyを使ったmacOSネイティブのターミナルです。サイドバーにGitブランチ、cwd、ポート、通知などを表示し、Claude CodeやCodexが入力待ちになったことも把握できます。
良いところ
一番大きいのは、「今どれが待っているか」が分かることです。
Ghosttyでは同じに見えていたターミナルも、cmuxではエージェントの状態が見えるようになります。
冒頭のモグラ叩き対策にバッチリですね。
さらに、CLI / Socket APIから次の操作ができます。
- ワークスペースの作成
- paneの分割やキー入力
- 通知の送信
- 内蔵Browserの操作
普通のターミナルではpaneの中に閉じ込められていたエージェントが、cmuxでは箱の外にも手を出せるわけです。ターミナルの横にlocalhostを表示し、エージェント自身にsnapshot、click、fillなどを実行させられます。
弱いところ
ただし、レイアウトやセッションの「復元」と、生きたプロセスの「永続化」は別です。cmux終了後も処理を続けるにはlocal-tmuxなどが必要です。またmacOS専用で、Ghostty単体より機能も重くなります。
内蔵BrowserはmacOSのWKWebView系なので、Chromium + CDPを前提とした自動操作と同じではありません。複雑なフロントエンドを深く操作させるなら、Orcaのほうが踏み込んでいます。
また、描画にlibghosttyを使っていても、アプリ全体がGhosttyと同じ軽さになるわけではありません。サイドバー、Browser、通知、ワークスペース管理のぶん、当然ながら役割は増えています。
向いている人: MacでCLIエージェントを並列実行し、ターミナル文化を保ったまま管理を楽にしたい人。
Orca ― タスク単位で完結するエージェントIDE
Orcaはターミナルではなく、複数のAIコーディングエージェントを動かすデスクトップIDEです。
Orcaはシャチなんですね。
私も飼育員だったような気がしますから、今はトレーナーな気もしなくはないんですが...
(何の話や)
良いところ
中心にあるのは「1タスク=1 worktree」という設計です。
Task A
└─ worktree A
├─ Claude Code
├─ Editor
├─ Browser
└─ Diff
各タスクに独立した環境を持たせるため、複数エージェントが同じworking treeを触り、片方の変更をもう片方が壊す事故を防げます。
cmuxが既存のターミナル作業に管理機能を足すのに対し、Orcaはワークフロー自体をエージェント前提に作り直しているのが大きな違いです。
Chromium系Browserをエージェントが操作でき、コードを書く→dev serverを起動→画面を確認→修正する、という流れが環境内で完結します。diffへの行コメント、Stage、Commit、Pushも統合されています。
PTYはdaemonが保持するため、UIを閉じても処理を継続して再attachできます。「UIを閉じる」と「プロセスを止める」が分離されているのは便利です。
弱いところ
Electron / React、xterm.js系ターミナル、エディタ、Browser、Git、worktree、daemonをまとめた全部入りです。軽くshellを1個開くだけなら完全にオーバースペックです。
worktree中心の流れが不要な人にとっては、Orca最大の強みがそのまま制約にもなります。なお、Ghosttyのテーマは利用できますが、ターミナルエンジンはlibghosttyではありません。
向いている人: 複数エージェントをタスク単位で分離し、実装からレビューまで一元管理したい人。
Warp ― ターミナルから開発環境へ
Warpは現在、自らをAgentic Development Environment(ADE)と呼んでいます。
良いところ
自前のエージェントに加え、Claude Code、Codex、OpenCodeなどのCLIエージェントにも対応。状態管理、Vertical Tab、Git / worktree / PR情報、コードレビューを一つのアプリにまとめています。
セッションはVertical Tabに並び、どのブランチで何を動かしているかを切り替えながら確認できます。エージェントが出した変更も同じアプリ内でdiffを見てレビューできるため、ターミナルと別のGitクライアントを往復せずに済みます。
cmuxが「既存のターミナル作業を拡張する」方向なら、Warpは「開発環境全体を統合する」方向です。WindowsとLinuxにも対応するため、OSが混在するチームでも導入しやすいのが利点です。
弱いところ
反面、Block UIやエージェント機能が深く統合されており、素朴なUnixターミナルを好む人には合わない可能性があります。
また、オープンソース化は進んでいますが、すべてがMITという単純な構成ではありません。公開リポジトリはAGPLv3中心で、一部のUIライブラリがMITです。このあたりは導入前に確認したほうがよさそうです。
向いている人: OSをまたいで、ターミナル・エージェント・レビューを一つに寄せたい人。
Herdr ― 好きなターミナルに足すランタイム
Herdrはターミナルエミュレータではありません。Ghostty、WezTerm、iTerm2などの中で動くエージェントランタイム / マルチプレクサです。
良いところ
Claude Code、Codex、OpenCodeなどを認識し、working、blocked、idle、doneといった状態を管理します。serverがセッションを保持するため、clientを閉じても処理を続け、あとから再attachできます。
CLI / APIでエージェントの起動、出力取得、入力、状態待ちも可能です。つまり、tmux的な永続化にエージェント認識と自動化を加えたものです。
ターミナルのタブではなく、その中で動いているエージェントを管理するのが主目的です。別のエージェントから操作することもできるため、単なるセッション管理を超えてオーケストレーション基盤としても使えます。
Ghosttyと組み合わせると、役割は明快です。
Ghostty ← 描画とUI
└─ Herdr ← 状態管理と永続化
├─ Claude Code
├─ Codex
└─ OpenCode
cmuxは一体型、Ghostty + Herdrは責務を分けたUnix的な構成です。
弱いところ
エディタ、Browser、Diff Viewerはありません。「全部入り」が欲しいならOrcaやWarpの領域です。
逆に言えば、今のターミナルを変えずに、管理と永続化だけ追加できるのがHerdrの魅力でもあります。
向いている人: GhosttyやWezTermを使い続けながら、複数エージェントを管理したい人。
位置関係
厳密な進化関係ではなく、製品側がワークフローをどこまで引き受けるかのイメージです。左ほど自分で組めて、右ほど面倒を見てもらえます。
比べるべきは描画速度だけではない
5製品では「速さ」の意味が違います。
- Ghostty: 描画、入力、スクロールの速さ
- cmux: 入力待ちのエージェントを見つける速さ
- Orca: 複数タスクの実装とレビューを終える速さ
- Warp: 開発フロー全体を一つの環境で進める速さ
- Herdr: セッションを維持し、再開・自動化する速さ
ターミナル自体の性能と、エージェント開発の生産性は別の指標になりました。
まとめ
- Ghosttyはターミナルを磨く。
- cmuxはエージェントを監督する。
- Orcaは仕事をタスク単位に組み直す。
- Warpはターミナルを開発環境に広げる。
- Herdrは既存ターミナルにランタイムを足す。
どれが最強かではなく、どこまで製品側に任せたいかで選ぶのがよさそうです。
入力待ちの把握は、今のcmuxで解決しています。
ただ、エージェントごとにworktreeを用意して切り替えたり、出てきたdiffを別のツールでレビューしたりする手間は残っています。
並列で動かす本数が増えるほど、面倒になります。
Orcaならタスクを作る時点でworktreeが分かれ、Browserでの確認とdiffレビューまで同じ場所でできます。
これを機にOrcaへ鞍替えしようと思います。
浮気しないという初志を貫こうということですね。
シャチだし!
ごちそうさまでした
(謎挨拶)
参考
- Ghostty Features / GitHub
- cmux GitHub / CLI・Socket API
- Orca Documentation / GitHub
- Warp Documentation / GitHub
- Herdr / Agent Detection / GitHub
画像は各製品の公式GitHubリポジトリおよび公式サイトのものを使用しています。



