ObsidianでClaude Codeを動かす — ノートアプリの中に「思考のパートナー」を住まわせる
はじめに
Claude Codeは元々ターミナルで動くコーディングエージェントですが、Claudian というObsidianのコミュニティプラグインを使うと、普段使っているVault(Obsidianのノート保管庫)の中で直接Claude Codeを呼び出せるようになります。
「ChatGPTやClaude.aiのブラウザ版で十分では?」と思うかもしれません。しかし、Vaultの中で動くことには決定的な違いがあります。Claudeが自分のノート・過去の会話ログ・プロジェクトファイルをファイルシステムとして直接読み書きできるのです。コピペでコンテキストを渡す必要がなく、Obsidianのリンク構造([[...]])ごとAIに渡せます。
この記事では、
- Claudianのセットアップ手順(実際にハマった箇所込み)
- 知っておくと便利な設定項目
- 実際に何ができるのか(特に「過去の自分の思考と対話し、発散したメモから新しい構造を発見する」という使い方)
を、実体験ベースでまとめます。
Claudianとは何か
Claudianは、ObsidianのVault内からエージェント型AI CLIを直接呼び出せるコミュニティプラグインです(プラグインID: realclaudian)。
特徴は大きく2つあります。
1. マルチプロバイダー対応
設定ファイル(claudian-settings.json)を見ると、Claudianは Claude だけでなく以下のプロバイダーに対応していることがわかります。
| プロバイダー | 用途イメージ |
|---|---|
| Claude (Claude Code) | メインで使う。コーディング〜ノート整理まで汎用 |
| Codex | OpenAI系のコーディングエージェント |
| Grok | xAI系モデル |
| OpenCode | OSSのコーディングエージェント基盤 |
| Pi | 別系統のエージェントCLI |
つまりClaudianは「Claude専用プラグイン」ではなく、「エージェント型AI CLIをObsidianに統合するためのハブ」という設計思想です。タスクの性質によってプロバイダーやモデルを切り替えられます。
2. Vaultがそのままワーキングディレクトリになる
Claude Codeが「今開いているVault」をカレントディレクトリとして認識するため、
- 開いているノートを直接編集
- Vault内の別ノートを横断的に検索・参照
- リンク構造(バックリンク)を維持したままファイル操作
といったことが、チャットで指示するだけで完結します。
セットアップ手順
Windows環境での実際のセットアップの流れです。筆者は途中でCLIパスの設定を間違えて詰まったので、その失敗も含めて書きます。
Step 0. claude.ai のアカウント作成 & 有料プランへの加入
先に claude.ai でアカウントを作り、Pro以上(Claude Codeをストレスなく使うなら Max 推奨)にアップグレードしておきます。これを先に済ませておくと、後述のCLI初回起動時にブラウザ認証だけで完了し、APIキーを別途管理する必要がありません。
Step 1. Node.jsのインストール
Claude CodeはNode.js上で動くCLIです。PowerShellから一撃で入れられます。
winget install OpenJS.NodeJS.LTS
インストール後、同じPowerShellウィンドウのままだとPATHが反映されていないことがあります。
node -v
# → 'node' は、コマンドレット、関数、... として認識されません
というエラーが出た場合は、PowerShellを一度閉じて開き直せば解決します。
node -v # v24.x.x のように表示されればOK
npm -v
Step 2. Claude Codeのインストールと認証
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude --version
claude
npm install -g の実行時に「このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため...」というPowerShellの実行ポリシーエラーが出ることがあります。その場合は以下を実行してから再試行してください。
Set-ExecutionPolicy -Scope CurrentUser RemoteSigned
最後に claude を実行するとブラウザが開き、claude.aiでログインすれば認証完了です。
Step 3. Obsidianのインストール & Vault作成
obsidian.md からダウンロードし、任意の場所にVaultを作成します(Documents 配下が無難です)。
Step 4. Claudianプラグインの有効化
Obsidian内で
設定 → コミュニティプラグイン → コミュニティプラグインを閲覧
→「Claudian」を検索 → インストール → 有効化
Step 5. Claude CLIパスの設定(一番ハマりやすい)
Claudianに、先ほどインストールしたClaude CodeのCLI実行ファイルの場所を教える必要があります。
Get-Command claude | Select-Object -ExpandProperty Source
ここで出てくるパスを Obsidianの 設定 → Claudian → Claude タブ → Claude CLI パス に貼り付けます。
筆者が実際にハマった点: Get-Command claude の結果が claude.ps1 になっている場合があります。これをそのまま貼り付けると、Claudianからの起動が失敗する(チャットを開いても無反応になる)ことがありました。
npmのグローバルインストールフォルダ(例: C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\npm)を直接確認すると、claude / claude.cmd / claude.ps1 の3つが存在します。この中の claude.cmd の方を指定すると正しく動作しました。
Get-ChildItem "C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\npm" -Filter "claude*"
で存在を確認し、...\npm\claude.cmd のフルパスをClaudianに設定するのが確実です。
Step 6. 動作確認
Obsidian上で Ctrl + Shift + C を押すとClaudianのチャットパネルが開きます。「こんにちは」と送って返答が来れば、セットアップ完了です。
知っておくと便利な設定項目
claudian-settings.json の中身を見ながら、実用上おさえておきたい項目を紹介します。
permissionMode(権限モード)
Claudeがファイルの編集やコマンド実行をどこまで自動で行ってよいかを決める設定です。
-
default/acceptEdits: 編集は自動、破壊的操作は都度確認 -
yolo: ほぼ全ての操作を確認なしで自動実行
yolo は快適ですが、意図しないファイル削除・上書きのリスクもあります。個人のメモVaultで、かつGit等でバージョン管理している場合に限って使うのが安全です。重要なプロジェクトのVaultでは acceptEdits 程度に留めるのがおすすめです。
model / effortLevel / thinkingBudget
-
model: 使うモデル(Sonnet / Opus / Haikuなど) -
effortLevel: 思考の深さ(highにすると精度重視、時間はかかる) -
thinkingBudget: 拡張思考にどれだけトークンを使うか
軽いノート整理は軽量モデル、複雑な設計相談やコード実装は上位モデル・高effortという使い分けが有効です。
chatViewPlacement / enableDualPane
チャットパネルをサイドバーに固定表示したり、デュアルペイン(ノートとチャットを並べて表示)にできます。ノートを見ながらAIと相談する、という使い方に向いています。
sharedEnvironmentVariables / envSnippets
APIキーなど、複数のプロバイダー間で共有したい環境変数をここにまとめて登録できます。
実際に何ができるのか
① ノートの要約・構造化支援
散らかったメモをClaudeに渡して、見出し構造・箇条書きに整理してもらう、frontmatterのタグを提案してもらう、といった基本的な使い方です。
② ★過去の自分の思考と対話し、発散したメモから新しい構造を発見する
これがVault内でAIを動かす最大の価値だと感じています。
Obsidianを日常的に使っていると、仕事の相談・雑談的なアイデアメモ・日記のようなものまで、テーマも粒度もバラバラなノートが何十件、何百件と溜まっていきます。人間が読み返して構造化するのは現実的ではありませんが、Claudeにディレクトリごと横断的に読ませると、自分では気づいていなかった思考の共通パターンを言語化してくれることがあります。
筆者の場合、数か月分・100件を超える会話ログをまとめて分析させたところ、一見バラバラに見えるいくつかの活動テーマ(仕事の課題整理、事業アイデア、対人関係の悩みなど)に共通する「思考のクセ」が言語化されました。ジャンルを問わず「未整理の情報を放置できず、必ず分解・構造化してしまう」という一つの傾向が根底にある、という指摘です。自分では意識していなかった行動パターンを、蓄積されたテキストという一次データから抽出してもらえたわけです。
ポイントは、この分析結果をObsidianのリンクとしてそのままノート化できることです。
## 発見されたパターン
[[2026-06-XX_メモA]] と [[2026-07-XX_メモB]] は
一見別ジャンルだが、根底にある考え方は同じ
こうして生成したパターン分析ノートは、それ自体がVaultの新しいハブ(MOC: Map of Content)になり、以後の会話でもAIが参照できるコンテキストとして蓄積されていきます。発散した思考が、リンクという形で構造化されたグラフに収束していくイメージです。
分析対象にする会話ログやメモには、当然ながらプライベートな内容も含まれます。Vault全体をAIに渡す場合は、公開・共有しない前提のローカルVaultであることを確認した上で行いましょう。
③ Vault横断のリンク提案・バックリンク整合性チェック
新しいノートを書いたときに「関連しそうな既存ノート」をClaudeに探してもらい、[[...]] リンクを提案・挿入してもらえます。Obsidian標準のバックリンク機能と組み合わせることで、双方向リンクの整合性も保ちやすくなります。
④ プロバイダー切り替えによるタスクの使い分け
前述の通りClaudianはマルチプロバイダー対応なので、
- ノート整理・壁打ち: Claude(Sonnet, 中〜高effort)
- 軽い質問応答: Haikuなど軽量モデル
- 別系統のコーディングタスク: Codex/Grok/OpenCodeへ切り替え
といった運用も同じUI内で完結します。
運用Tips・注意点
-
バージョン管理を前提にする:
yoloモードで運用するなら、Vault全体をGit管理下に置き、いつでも差分を戻せるようにしておくと安心です。 - モデルの使い分けでコストと速度を最適化する: 何でも最上位モデル・高effortにする必要はありません。ノートの整形程度なら軽量モデルで十分です。
- セキュリティに関する公式の注意: Claude Codeの初回起動時に表示される通り、「Claudeは誤りうる」「信頼できるコード・データに対してのみ使う」という前提を忘れないようにしましょう。特にVault内に外部から取り込んだファイル(メールの転記やWebクリップなど)がある場合、プロンプトインジェクションのリスクにも注意が必要です。
まとめ
ObsidianとClaude Codeを組み合わせると、AIが「毎回コンテキストを説明しなければいけない相手」から、「自分のノートを前提知識として持っている相棒」に変わります。特に、蓄積されたメモや会話ログを横断的に読ませて構造を発見させ、その結果をリンクとしてVaultに還元していくという使い方は、単体のチャットAIツールにはない、ノートアプリならではの価値だと感じています。
セットアップ自体は決して難しくありませんが、CLIパスの指定(.cmd を使う)など細かい落とし穴があるので、この記事がこれから試す方の参考になれば幸いです。