前の記事でフェイスシールドについて調べてみましたが、この情報を書いていたら動き始めました。Budman フェイスシールドのマッチングサイトをみた方が連絡をくれて、フェイスシールドを量産(最初は100個を目標)することにしました。ここで、急遽作成することになり、Prusa のモデルを採用し量産体制に入りました(といってもずっとただ印刷するだけですけど)。そこで、Prusa が公開している情報をもとに必要なことをまとめておきたいと思います。
1. なぜ Prusa モデルを採用したのか
公開されているフェイスシールドは世界中にいろいろあります。今回は、あまり試行錯誤をしている時間がないので以下のことを優先しました。
- モデルのバージョンが安定している
- 印刷時間が短い
- 老若男女だれでも安全に快適に着用できる
2. Prusa のモデルバージョンと印刷時間
Prusaのモデルは大きく分かれてヨーロッパ版とアメリカ版、各々にRC1, RC2, RC3 と存在しています。
EU版とアメリカ版の違い
一般的に入手できる部品で作ることを目指しているので、若干バージョンに違いが出ています。例えば、アメリカでは穴あけパンチは3つ穴、インチが一般的な単位であるに対して、EU版は二つ穴でセンチメートルがよくつかわれる単位です。日本で作成するのであれば、EU版を採用するのがよいでしょう。
RC1型
最初に開発されたモデルで、カチューシャのような円に近い形をしています。コンパクトですがフィットしやすいですが、ちょっと頭の大きな人に試したところ「痛い」と言っていました。小さく見えるので印刷時間は短そうですが、横からみると全面に穴が開いている凝ったデザインなので意外と時間がかかりました。
RC2型
頭の幅を大きくして「誰でも快適に装着できるように」改良されています。なかなかこの弧が絶妙な角度と長さでゴムバンドを付けたときに邪魔にならずぴったりフィットするデザインです。
RC3型
RC2の改良版で、よりはやく印刷できて複数枚印刷できるスタック対応用に改善されています。一枚印刷するのに標準であれば2時間40分程度で安定して印刷ができました。スタック印刷を行うと一枚1時間20分程度まで時間が短縮できますが、私の環境では品質が安定するのが少し難しいので悩ましいところ(まだいろいろ混ぜながら試行錯誤中)。
各モデルのダウンロードサイト:
全ファイルのダウンロード
https://www.prusaprinters.org/social/16-prusa-research/collections/17041
ヨーロッパ版のダウンロード
https://www.prusaprinters.org/prints/25857-prusa-face-shield
3Dプリンタで印刷すべき部品
- フェイスシールド部分(必須)
- ボトム部分(顎のところ。あった方がいい)
- バイザー部分(上からの飛沫をふぜぐ屋根部分。オプション)
別途そろえる必要がある部品
- フロントパネル プラ板。A4もしくはそれ以上でアルコール消毒につよい素材が望ましい。
- バンド 後ろのゴム。1.5 - 2.0 mmのものが望ましい。私は穴が開いてる「ボタンホールゴム」を使っています。例:アマゾンのボタンホールゴム
その他あるとよい工具
- 3Dプリンタ(もちろん)
- 2つ穴あけパンチ
- コーナーカッター必須じゃないけどプロっぽくなる!
- はさみ
フロントパネルの穴をあけるときに穴の位置はこちらを参照のこと:https://prusa3d.com/downloads/others/COVID19_SHIELD_FOIL.pdf
そして大事なことは、3D プリンタのフィラメントはアルコール消毒に強いものを使いましょう。おすすめはPETGです。また、PETGで最適化された印刷用のファイルも数多く存在するのでその恩恵を受けられることは間違いありません。
3.実際に制作してみて
やればやるほど、さすがPrusaと感心することばかり。とても丈夫で海外で数多くの医療機関で使われ繰り返し改良されていただけのことがある!少し適当に作っても同着感はばっちり。外れてしまうことはありません。そして子供から大人まで装着可能です。命を守るためのシールドとして、実績と信頼が積み重ねられています。
4. おまけ
もし、ここを読んでからプリントマニュアルを読めばだいぶわかりやすいと思います。もし、プリントマニュアルの日本語化希望者がいればご連絡ください。(需要があれば日本語化してもいいかな、と思っています。が、どうなのかなあ....)