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自宅のミニPCで「AIエージェントの会社」を月3,400円で動かしている話」

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Last updated at Posted at 2026-06-29

※この記事は、個人が自宅のミニPCに構築した自律型AIエージェント環境の設計と運用をまとめたものです。「AIに仕事を任せる仕組み」を、コストを抑えつつ安全に作りたい人向けの実例として書きました。

ai-company-sns-design.png

TL;DR

  • 自宅のミニPC(Ryzen 7 7735HS / 24GB / Windows 11)に、複数のAIエージェントを**「会社組織」**として動かしている
  • **秘書役のローカルLLM(Gemma2)**が依頼を判断して専門エージェントに振り分け、日々の進行は watcher(PM2)が自動で回す。**Claude Code(Opus)**は対話・ブラウザ操作が要るときだけ起動、最終承認は人間(私)、という役割分担
  • チケット駆動 → QA品質ゲート → 自動配置 → 承認 → git commitのパイプラインで、品質を担保しながら半自律で回る
  • 機密性の高いデータはローカルLLMで完結させ外部に出さない。全ツール呼び出しをフックで検査するゼロトラスト
  • ランニングコストは月約3,400円・消費電力35W(平均約18W)

なぜ作ったのか

「AIに作業を任せたい」と思ったとき、最初はClaudeやAntigravity(Googleのエージェント型AI開発環境)にその都度お願いしていました。でも、

  • 毎回コンテキストを説明し直すのが面倒
  • 機密を含むデータをクラウドに送りたくない作業がある
  • API利用料が積み上がる
  • 「言われたことだけやる」ので品質が安定しない

これらを解決するため、人間の会社組織を真似て、役割を持ったエージェントが連携して動く仕組みを自宅PCに作りました。


全体像:AIを「会社」として設計する

ポイントは、1つの万能AIに全部やらせるのではなく、役割を分けて連携させることです。

役割 担当 仕事
受付・振り分け(秘書) ローカルLLM(Gemma2:2b) 依頼を判断して専門エージェントへ振り分け+承認後の git commit
パイプライン管理 watcher(PM2で常駐) 作業中チケットの監視・エージェント実行・QA・段階移動を自動化
専門エージェント 各種 実作業。多くはローカルで完結(オフライン)
窓口・対話/ブラウザ操作 Claude Code(Opus) 人間対応と、対話・ブラウザ操作・Web検索が必要なタスクのときだけ起動
最終承認 人間(私) 成果物を確認して承認
裏方 監査・鮮度点検・アナリスト 品質・安全性・改善提案を定期実行

ポイントは2つです。

  • 判断(軽い処理)はローカルの小型LLMに任せ、難しい処理だけクラウドの高性能モデルを使う(コスト削減の肝)
  • 日々のパイプラインは watcher+ローカルLLMが自動で回す。資料作成・OCR・議事録などはClaudeを介さずローカル完結(議事録は完全ローカル)。クラウドのClaudeが起動するのは、ブラウザ操作やWeb検索など対話が要るタスクのときだけで、毎回介入するわけではありません

仕事の流れ:チケット駆動パイプライン

人間の会社で「依頼書 → 作業 → 検品 → 承認 → 記録」と流れるのと同じことを、フォルダとスクリプトで再現しています。

依頼(Webから)
  → 秘書(Gemma2)が判断・振り分け → チケットを doing/ に作成
  → 専門エージェントが実行
  → QA品質ゲート(成果物を実際に開いて検証)
  → 総務エージェントが成果物を適切なフォルダへ自動配置+索引化
  → waiting/(人間の承認待ち)
  → 承認されたら秘書が git commit

チケットは単なるフォルダ移動で管理しています。

workspace/tickets/
├── doing/     # 作業中(ここで起票して着手)
├── waiting/   # 承認待ち
└── done/      # 完了

失敗したら自分で直す(自己修正ループ)

エージェントの処理が失敗したら、エラーログをそのままAIに渡して原因診断・修正・再実行させています。無限ループを防ぐため上限3回で打ち切り、直らなければ人間に通知します。

品質ゲート(QA)

承認に回す前に、成果物をファイル種別ごとに実際に開いて検証します(xlsx/docx/pdf/jsonを開く、Pythonは構文チェック、など)。「テストを通った状態」になってから人間に回るので、承認がラクになります。


コストを抑える鍵:ローカルLLMで判断を回す

処理を難易度でレベル分けし、軽いものほどローカルで処理します。

レベル 処理内容 担当
L1 軽量・判断・分類 Gemma2(ローカル・無料)
L2 機密を含む画像/文書のOCR ローカルのビジョンLLM(無料)
L3 標準的なコード生成・推論 クラウドの標準モデル
L4 最重要の意思決定 クラウドの最上位モデル

ほとんどの「振り分け・分類・機密処理」がローカルで完結するので、クラウドAPIの課金は本当に必要なときだけになります。


セキュリティ:AIに権限を渡す前提の「ゼロトラスト」

AIエージェントにファイル操作やコマンド実行を任せる以上、「暴走したらどうするか」を最初に設計する必要があります。

  • 全ツール呼び出しをフックで検査:エージェントが何か操作する前に、フックが内容を検査し、危険な操作はブロック、すべてを監査ログに記録する
  • 機密はローカル完結:機密性の高い文書・画像・音声の処理はローカルLLMで行い、クラウドへ送らない
  • 権限の物理的な遮断.env など秘密情報の読み込みや、機密の外部送信は、設定(permissions)で物理的に禁止
  • 破壊的操作の予防:削除の禁止、上書き前のバックアップ、全成果物のGit管理

※具体的な検知ルールや自宅環境の詳細は、攻撃面になり得るのでこの記事では伏せています。考え方だけ共有します。


ナレッジが勝手に貯まる仕組み(Obsidian)

エージェントを動かしっぱなしにすると、知見が散逸します。そこで:

  • 会話ログを定期的に自動でWiki化(一定間隔+セッション終了時)
  • 概念ノート(MOC)を抽出して相互リンク+要約まで自動生成
  • 決定事項はMEMORY.mdに蓄積し、セッション開始時に文脈を自動復元

これで「前回の続きから」が本当に効くようになり、属人的なメモが勝手に構造化されていきます。


"真似できる粒":CLAUDE.md という発想

このシステムの土台は、AIに渡す「就業規則」=CLAUDE.md です。これはAIエージェント(Claude Code)が毎回読み込む指示書で、ここに

  • パスや環境変数の扱い方
  • 役割分担とワークフロー
  • やってはいけないこと(削除禁止・機密の外部送信禁止 など)
  • 成果物の保存ルール

を書いておくと、エージェントが一貫した振る舞いをするようになります。「AIに毎回説明する」のをやめて、規則として一度書く——これが安定運用の第一歩でした。


ハマったところ(正直な失敗談)

きれいに動くまでには事故もありました。

  • BIOSのメモリ設定(UMA)をいじってWindowsが起動しなくなった:ローカルLLMにメモリを割り当てようとしてBIOSを変更したら起動不能に。ハード・ファーム設定は安易に触らないこと、を痛感しました
  • 小型LLMにJSONを出させると壊れる:Gemma2:2bのような小型モデルは構造化出力が苦手。素直に「見出し+箇条書き」で出させて正規表現でパースする方が安定しました
  • ローカルLLMのRAM不足:大きめのモデルはメモリに載りきらず、モデルサイズと実装メモリの兼ね合いの調整が必要でした

ハードウェアとコスト

ハードウェア

項目 内容
マシン ミニPC Ryzen 7 7735HS / 24GB / 512GB SSD
OS Windows 11 Pro
消費電力 約35W(TDP)/平均約18W・24時間稼働
ローカルLLM Ollama(Gemma2 など)

月額コストの内訳

項目 金額 備考
クラウドAPI 約3,000円 使用量による。難しい処理のときだけ
電気代 約400円 平均約18W × 24h × 30日 × 約31円/kWh
ローカルLLM 0円 Ollamaでローカル実行(無料)
合計 約3,400円/月

まとめ

  • AIエージェントは「1体の万能AI」より「役割を分けた会社組織」として設計すると、品質・コスト・安全性を同時に扱いやすい
  • 判断はローカル小型LLM、難所だけクラウドでコストを抑える
  • ローカルLLMだけで構成すれば(ブラウザ操作やWeb検索などクラウド依存の処理を使わなければ)完全オフラインでの運用も可能。機密重視・ネット不通でも止まらない環境にできる
  • チケット駆動+QA+自己修正ループで、半自律でも品質が安定する
  • AIに権限を渡すなら**ゼロトラスト(全操作の検査・ローカル完結)**を最初に設計する
  • 土台はCLAUDE.mdという「AIへの就業規則」

自宅PCとローカルLLM中心でも、ここまで作れます。同じように「AIに仕事を任せたい」人の参考になれば幸いです。質問・ツッコミ歓迎です。

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