はじめに
今回の勉強会は、Power Platform の経験がまだ少ないメンバーに向けて、
実案件をベースに知見や進め方を共有し、今後のスキルアップにつなげてもらうことを目的に実施しました。
Power Platformは、画面上の操作自体は比較的イメージしやすい一方で、 実際の案件では、要件の整理や構成の考え方、進め方まで含めて捉えないと、全体像が見えにくいこともあります。
そのため今回は、実際に担当した業務改善案件を題材に、Power Platform の機能そのものだけでなく、実案件ではどのような考え方で進めるのか という点もあわせて学べる勉強会として構成しました。
この勉強会で重視したのは、単に機能や操作を覚えることではなく、
要件をどう整理し、どのように構成を考え、どう実装につなげるか を学ぶことです。
本記事では、勉強会の背景・目的・進め方・学んでほしかったことを中心に、
なぜこの形で勉強会を設計したのか を整理して紹介します。
この記事で分かること
- 実案件ベースの Power Platform 勉強会をどのように設計したか
- 操作学習ではなく、案件の進め方を学ぶ場にするために意識したこと
- 設計・構成・運用も含めて学ぶ勉強会にするための考え方
背景
Power Platform は比較的短期間で仕組みを形にしやすい一方で、
実案件では単に「動くものを作る」だけでは不十分です。
実際には、以下のような観点が重要になります。
- 要件をどう整理するか
- どの機能をどのツールで実現するか
- データをどこで持つか
- 複数のフローやアプリをどう連携させるか
- 運用しやすい構成にできているか
特に学習段階では、「まずは作ってみる」ことに意識が向きやすいですが、
案件ではその一歩先の 設計・構成・運用まで含めた全体像の理解 が求められます。
そのため今回の勉強会では、ツールの個別操作を学ぶこと以上に、
実案件を題材にしながら“どう考えて仕組みを作るか”を学ぶこと を重視しました。
勉強会の目的
今回の勉強会の目的は、大きく2つあります。
1. Power Platform 案件のスピード感・進め方を共有すること
Power Platform 案件では、短いサイクルで要件整理・試作・修正を進めることが多くあります。そのため、「何をどの順番で決めるか」「どこから作り始めるか」といった進め方そのものが重要です。
勉強会では、実際の案件をベースにしながら、要件に対して、以下のような観点を参加者と一緒に整理しました。
- まず何を整理すべきか
- どこを最小構成として作るか
- 要件を実現するために、どのようなツールや機能をつかってアプローチしていくか
2. Power Platform の技術的なスキルを向上させること
もちろん、最終的には Power Automate / データ設計などの実装力も必要です。
ただし今回は、単発の機能紹介やTipsの共有ではなく、
要件から構成に落とし込み、実装までつなげる流れの中で技術を学ぶ ことを狙いました。
体制
今回の勉強会は、以下のような体制で進めました。
- ファシリテーター:1名
- 参加メンバー:2名
- サポート担当:1名
ファシリテーターが最初から完成形を提示するのではなく、 参加メンバー同士で
- この要件なら何が必要か
- どの機能を使うべきか
- どこにデータを持たせるべきか
を考えながら進める形を意識しました。
勉強会の進め方
実案件をベースに進める
題材として選んだのは、直近で担当した業務改善案件です。
実案件として進めた内容をそのまま見せるのではなく、
当時どのように考えて構成を決めたかを追体験できるようにする ことを意識しました。
この進め方には、次のようなメリットがあります。
- サンプル題材よりも要件のリアリティがある
- 「なぜこの設計にしたのか」を説明しやすい
- 実案件で起こる悩みどころを共有しやすい
最初から完成形は渡さない
勉強会では、最初から完成済みの答えを渡すことはしませんでした。
代わりに、要件に対して必要な仕組みを参加者と一緒に整理しながら、少しずつ形にしていく進め方にしました。
例えば、以下のような問いを起点に考えます。
- この要件を実現するには、何を自動化する必要があるか
- 人が判断する部分と、システムが処理する部分をどう分けるか
- データはどこで持つのが適切か
- フローを1本で作るべきか、役割ごとに分けるべきか
このように、 「作り方を覚える」よりも「考え方を身につける」 ことを優先しました。
毎週数時間、約1か月で形にする
勉強会は、毎週数時間集まる時間を作り、約1か月かけて段階的にシステムを形にしていく進め方にしました。
短期集中で進めたことで、
- 前回の内容を忘れにくい
- 毎回ゴールを持って進めやすい
- 実案件に近いスピード感で議論できる
といった効果もありました。
この勉強会で特に学んでほしかったこと
今回、特に重視したのは以下の4点です。
1. 要件に対して必要な仕組みを整理する考え方
Power Platform は比較的スピーディーに形にできる分、
実装前に考えるべきことを飛ばしてしまいやすい側面があります。
だからこそ、実装の前に
- 何を実現したいのか
- どこまでを今回のスコープにするのか
- どの情報が必要なのか
を整理する力が重要になります。
2. 複数のフローがどのように連携して動くか
実案件では、1本のフローだけで完結するとは限りません。
受付、加工、通知、更新といった処理が分かれ、
複数のフローが役割分担しながら連携する ケースも多くあります。
そのため、個々のアクションの使い方だけでなく、
全体としてどのようにつながるかを意識してもらうことを重視しました。
この勉強会を通じて目指したこと
今回の勉強会で目指したのは、 参加者が単に Power Platform の操作を覚えることではありません。
むしろ、
- 要件を見て必要な仕組みを考えられる
- どのサービスや機能を使うべきか判断できる
- フローやデータのつながりを設計できる
- 実案件の進め方をイメージできる
といった、案件対応に必要な“考え方の土台”を身につけること を目標にしました。
Power Platform は学び始めやすい一方で、
実際の案件では「何をどう組み合わせるか」を考える力がとても重要です。
今回の勉強会は、その部分にフォーカスした取り組みでした。
関連記事
本記事では、勉強会の背景や目的、進め方を中心に紹介しました。
勉強会の中で作成した各クラウドフローについては、以下の記事でそれぞれ詳しく解説しています。
- Power Automate × AI Builder × Dataverse で実現する PDF 取込フローの全体構成
- Dataverse の未転記データを Excel に出力する 2 つの Power Automate フロー
まとめ
今回の Power Platform 勉強会では、 実案件を題材にしながら、約1か月かけてシステムを形にしていく取り組みを行いました。
特に重視したのは、次のような点です。
- 操作方法ではなく、案件の進め方・考え方を学ぶ
- 要件に対して必要な仕組みを整理する
- フロー同士の連携やデータ設計を考える
- 実装だけでなく、設計・構成・運用まで含めて捉える
Power Platform を学ぶ機会は多いですが、
実案件の視点で「どう考えて作るか」に踏み込む機会は意外と多くありません。
この記事が、これから社内勉強会を企画する方や、
Power Platform の学び方を見直したい方の参考になれば幸いです。