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Final Cut Proのコマンドセット活用ガイド

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Final Cut Proのコマンドセット活用ガイド

Final Cut Proのキーボードショートカットは、一つひとつのキー割り当てを個別に持つのではなく、「コマンドセット」というまとまりで管理されている。この仕組みを理解しておくと、自分好みのキー配置を作るだけでなく、複数人で1台のMacを使い回したり、新しいMacに環境を引き継いだり、チーム全体でキー配置を揃えたりといったことが素直にできるようになる。ここではその一連の手順をまとめる。

目次

  1. コマンドセットとは
  2. ショートカットをカスタマイズする
  3. 編集者ごとに切り替える
  4. 新しいMacへ引き継ぐ
  5. チームでキー配置を揃える

1. コマンドセットとは

コマンドセットは、Final Cut Proの全コマンドとキーの対応表を一つのファイルにまとめたものである。拡張子は.commandsetで、実体はXML形式のプロパティリストになっている。保存先は次の場所。

~/Library/Application Support/Final Cut Pro/Command Sets/

出荷状態では「デフォルト」のセットだけが用意されている。メニューバーの Final Cut Pro > コマンドセット を開くと、デフォルトに加えて自分で作成・読み込んだセットが並び、選ぶだけで切り替わる。

ここで押さえておきたいのは、コマンドセットがライブラリやプロジェクトから完全に独立しているという点である。編集作業中にセットを切り替えても、開いているプロジェクトには何の影響もない。逆に言えば、プロジェクトを他人に渡してもキー配置は付いていかないので、揃えたければコマンドセット自体を配布する必要がある。

2. ショートカットをカスタマイズする

コマンドエディタを開く

Final Cut Pro > コマンドセット > カスタマイズ...、またはショートカットの Option + Command + K でコマンドエディタが開く。画面上部に仮想キーボードが表示され、修飾キーを押すとその組み合わせで何が割り当てられているかが一望できる。

キーを割り当てる

デフォルトのコマンドセットは保護されていて、そのままでは編集できない。何か変更しようとすると複製を作るよう促されるので、まず左上のポップアップメニューから 別名で保存... を選んで自分用のセットを作り、それに対して編集していく。

割り当て自体の手順は単純で、下部のコマンド一覧から目的の機能を探し、キーフィールドに使いたいキーを打ち込むだけである。すでに他のコマンドが使っているキーを入力すると衝突が表示されるので、元の割り当てを外すかどうかをその場で判断する。

何を変えるか

Final Cut Proのデフォルトはよく練られているので、いきなり全面的に組み替えるより、まず標準のキーを覚えてしまうほうが早い。編集作業の中心になるのは次のあたりである。

キー コマンド
E 追加(アペンド)
W 挿入(インサート)
D 上書き(オーバーライト)
Q 接続(コネクト)
B ブレード
M マーカーを追加
T トリムツール

カスタマイズが本当に効いてくるのは、標準では割り当てのないコマンド(特定のエフェクトの適用や、独自に作ったキーワードの付与など)にキーを振るときや、Avid Media Composerなど他のNLEから移ってきた編集者が手癖を活かしたいときである。

なお、割り当てたキーがmacOS側のショートカットと重なると、Final Cut Proまで届かないことがある。SpotlightやMission Control、日本語入力の切り替えあたりは特にぶつかりやすいので、動かないと感じたら システム設定 > キーボード > キーボードショートカット も確認するとよい。

3. 編集者ごとに切り替える

macOSのユーザーアカウントを人ごとに分けている場合、コマンドセットの保存先がホームディレクトリ配下にあるため、特別なことをしなくてもログインした人の設定が自動的に有効になる。

問題は同じアカウントを複数人で共有している場合だが、これも Final Cut Pro > コマンドセット メニューから選び直すだけで済む。あらかじめ各自のセットを作って読み込んでおけば、作業開始時に自分の名前を選ぶという運用になる。セット名には「田中」「アシスタント編集」のように、メニューで見て自分のものだと即座に分かる名前を付けておくとよい。

一人で使う場合でも、この切り替えは案件ごとに使い分ける用途で役に立つ。納品先ごとにワークフローが違い、多用するコマンドが変わるようなときは、案件名を冠したセットを用意しておくと切り替えが楽になる。

4. 新しいMacへ引き継ぐ

コマンドセットだけを持っていくなら、書き出して読み込むのが確実である。

旧Macで Final Cut Pro > コマンドセット > エクスポート... を選び、.commandsetファイルとして保存する。コマンドエディタを開いている場合は、左上のポップアップメニューからも同じ操作ができる。書き出したファイルをAirDropや外部ドライブで新しいMacに移したら、今度は Final Cut Pro > コマンドセット > インポート... で読み込み、最後にコマンドセットメニューからそれを選んで有効にする。

コマンドセットに限らずワークスペースのレイアウトなども含めて丸ごと移したい場合は、次のフォルダごとコピーする方法もある。

~/Library/Application Support/Final Cut Pro/

ただしこれは新しいMac側の既存の設定を上書きしてしまうので、必ずFinal Cut Proを終了させたうえで、コピー前に元のフォルダを退避しておくこと。またこのフォルダに入るのはコマンドセットやワークスペースであって、再生設定などのいわゆる環境設定は~/Library/Preferences/com.apple.FinalCut.plistという別のファイルにある。全部まとめて移行したいのであれば、そちらも合わせて扱う必要がある。

5. チームでキー配置を揃える

複数人で同じキー配置を使う場合は、基準となるコマンドセットを一つ決め、それを全員のMacに配って読み込ませる。手順は前章の移行と同じで、配布元で書き出し、各Macで読み込むだけである。

  1. 基準にするコマンドセットを決め、Final Cut Pro > コマンドセット > エクスポート... で書き出す
  2. 書き出した.commandsetファイルを、共有ストレージなど全員がアクセスできる場所に置く
  3. 各Macで Final Cut Pro > コマンドセット > インポート... を実行し、そのファイルを読み込む
  4. Final Cut Pro > コマンドセット メニューから読み込んだセットを選び、有効にする

配布したあとに内容を変更した場合、各Macの側は自動では更新されない。読み込み済みのセットと同じ名前で読み込み直すと上書きされるので、更新のたびに手順3と4をやり直す。どの版が配布中なのかを取り違えないよう、ファイル名に日付や版番号を入れておく(editing-standard-2026-09.commandsetなど)。

.commandsetはXML形式のテキストファイルなので、Gitなどのバージョン管理システムでそのまま管理でき、変更箇所を差分として確認できる。

参考資料


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