この記事は Medley Advent Calendar 2025 の14日目の記事です![]()
1. はじめに
こんにちは!株式会社メドレーでQAエンジニアをしている岡崎です。
医療業界未経験で今年9月にメドレーへ入社し、調剤薬局の薬歴システムのQAとして働いています。
みなさんは「AI活用」といわれるとどのようなイメージをお持ちでしょうか?
正直に言うと、私はこう思っていました。
「AI活用って……つまりなに? 普通に会話や指示ベースで使うだけじゃダメなの?」
つまり、そこまで深く理解できていない「AI初心者」です。
この記事では、そんなAI初心者のQAがAI活用を通して学んだ、難しい技術の話ではない 「日常業務を楽にするためのAIへの頼り方」 をお伝えできればと思います。
2. なにがあったか / 背景
転職による環境の変化
前述したように私は医療業界未経験です。
入社直後から、初めて見る専門用語や、システム・業界・ユーザーへの理解不足に直面しました。加えて、厚生労働省などが発行している仕様書は非常に難解で…。
直面した課題:テストデータ作成の手作業が辛かった
QAとしての第一歩を踏み出すためには、プロジェクトに参加し、テスト設計〜実施に入らなければなりません。
チームからのサポートはあるものの、テストデータの作成には思っている以上に時間がかかりそうなことが判明しました。
「スケジュール的にも、自分でやるしかない! でも知識が追いつかない! どうしよう!!」
と、完全に板挟み状態でした。
友人への相談
そんな時にAIについて詳しそうな友人に相談し、教わった「AIへの指示の構成」が、まさに私の状況でも応用できそうだと感じました。
そこで、AIを活用してテストデータを作成する仕組みを構築しました。実際にどのようなツールや構成で作ったのかを次で詳しくご紹介します。
3. 作成したもの
下記2つの仕組みを作成しました!
- AIテストデータ作成
- AIテスト設計
- ※テスト設計については簡易版のため深く触れません
使用したツール
- テキストエディタ:Visual Studio Code
- AIコーディングツール:Claude Code
- Claude Codeについて気になる方は Claude Code Docs をご参照ください
- ※たまたま業務で使用することが多かったため選定しましたが、他のツールでも代替可能です(精度に差は出るかもしれません)
AIテストデータ作成
とっても簡単シンプル構造で作成しています!
構成
ざっくりとした構成は以下の通りです。
オン資テストデータ/
├── input/
│ ├── ナレッジ/ # AIに参照させる知識・成功パターン
│ │ ├── NSIPS.md
│ │ ├── オンライン資格確認.md
│ │ └── オンライン資格確認薬剤情報.md
│ │
│ └── フォーマット/ # 仕様書や出力レイアウト定義
│ ├── NSIPS.md
│ ├── NSIPS仕様書Ver1.06.03.pdf
│ ├── オンライン資格確認.md
│ ├── 別紙3-2_XMLレイアウト...
│ └── 薬剤情報.md
│
├── output/ # 生成されたデータ(日付_氏名などで管理)
│ ├── 20251021_資格八葉/
│ ├── 20251022_資格五郎/
│ ├── 成功ファイル/
│ └── ... (生成されたフォルダが蓄積される)
│
└── MasterPrompt # ここに指示プロンプトを記述
フォルダの格納内容
-
input:AIに読み込んでもらいたいファイルを格納しています
- ナレッジ:フォーマットや仕様書には書いていないが、データ作成をする上で必要な情報を格納しています
- フォーマット:作成するときのフォーマットや仕様が格納されており、必要があればmdファイルにして読み込みやすくしています
- output:AIが作成した成果物を格納します
- MasterPrompt:指示文章を記載しています(※成功例を含めるとスムーズな生成ができます)
使用方法
- Visual Studio Code内のターミナルでClaude Codeを起動します
- MasterPromptの内容をコピーし、今回作成したいデータに合わせて書き換えます
- 書き換えた内容をClaude Codeに貼り付けて実行!
プロンプトの例
NSIPSのテストデータ作成をしてください
【参照ファイル】NSIPS textファイルを作成
- ナレッジ:/xxxx/xxxx/オン資テストデータ/input/ナレッジ/NSIPS.md
- 成功例:/xxxx/xxxx/オン資テストデータ/output/20251113_検証太郎/U00202511130020000001.txt
- 仕様書:/xxxx/xxxx/オン資テストデータ/input/フォーマット/NSIPS.md
【患者情報】
- 氏名: テスト太郎(カナ: テストタロウ)
- 生年月日: 2000-01-01
- 保険情報: 任意
【データパターン】
- 3回以上の過去来局歴あり、薬剤データは任意
【出力先】
/xxxx/xxxx/オン資テストデータ/outputに[YYYYMMDD_【患者情報】]と言う名称のフォルダを作成し、その中に作成したファイルを保存してください
あとはAIの応答を待つだけです!
AIは指定されたナレッジ・成功例・仕様書を参照し、outputに自動でフォルダとファイルを生成してくれます。
そして、出力されたファイルをインポートし、確認対象機能やシステム側で期待通りに表示されていれば成功です!
これにより私の場合は17,000字程度のXMLファイルの作成に、手作業で30分〜1時間かかっていたところ、およそ3分で作成ができるようになりました![]()
AIテスト設計
弊社にはもっと性能の良いAIテスト設計ツールがありますが(詳しくはこちらをご参照ください)、今回は個人がサクッと使う用途として作成しました!
ですが構成と使用方法は基本的に同じであり、メインはテストデータ作成なので説明は割愛させていただきます。
4. どのように作ったのか
友人に教えてもらった方法から、この構成の肝は下記であることがわかりました。
- 情報の過不足をなくす:AIが出力するために必要な情報をすべて伝える
- 差分を明確にする:ベースのデータに対して「何を変えて、何を変えてはいけないか」を伝える
- ナレッジを育てる:成功した例を蓄積する
上記1の例として、当初はtextファイルの作成を指示していたのですが、なぜかインポートが一向にできないという状態でした。
原因を調査したところ、文字コードの情報が足りておらず、その情報を伝えることでインポートができる正しい形式でのデータ作成ができるようになりました。
作業フローとしては、ひたすら input を増やして、まずはインポートが成功し、目的通りのデータ作成ができるようにすること。
その後にデータ内容の変更があっても正しいファイルが作成できるようにする、という流れを意識しました。
精度と試行錯誤
初期は作成したファイルのインポートエラーが頻発しました。(構成不正・値不正など)
その場合はAIになぜエラーとなったのか分析をしてもらい、再度フォーマットを読み直してもらうことでエラー解消を行っていました。
それでもエラーの解消ができない場合は仕様理解も深めつつ、QA以外の方々にもご協力いただきながらAIの精度を上げていきました。
「AIを使うにしても、知識・仕様理解は重要」 です。
精度を上げるためにしたこと
エラーを乗り越え、正しく作成できたファイルが増えてからは、精度向上のために以下を行いました。
-
プロンプトの更新:AIがよりスムーズに作成できる適切なプロンプトへブラッシュアップ
- AIに「どのようなプロンプトであればスムーズか」も聞いてみました
- 参照データの拡充:参照してもらう情報を、よりデータ量の多いファイルに変更していく
- 自己学習(ナレッジ更新)の指示:AIに対して「成功したら、そのポイントをナレッジファイルに書き足して」と指示し、AI自身にナレッジを育てさせた
5. おわりに
プロジェクトのスケジュールは間に合った?
当初予定していたテスト期間に対してテストデータ作成もスムーズにでき、無事間に合わせることができました!
そして、ドメインエキスパートの方が詳細なデータを作成してくださったこともあり、そのデータをAIに読み込ませることで、別途アドホックテストとして作成したい複雑なテストデータなども作成できるようになりました。
作成してみた感想
AI活用は「高度な技術」というより、「優秀な新人への教育」に近い印象を持ちました。
最初は仕様やナレッジを理解しておらずエラーも出しますが、正しい資料を渡し、ルールを教え込み、フィードバックをすることで精度が確実に上がります。
また、それを踏まえて自分の作業スピードが上がったこと、知識が乏しく手のつけられなかったタスクにも一歩踏み出せるようになったことが大きな収穫です。
今後やっていきたいこと
ドメイン知識への偏りがあるチームでは、きっと私のようにデータ作成に困っている人がいるはず…!
今回の知見を整理して、チーム全体でも使えるように配布・展開していきたいと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました!
この記事が少しでも日常業務を楽にするためのAIへの頼り方のヒントになれば幸いです。
Medley Advent Calendar 2025、明日は oginoshikibu さんの記事です!お楽しみに![]()
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