はじめに
先日、Unity認定試験(Unity Certified Developer Exam)を受験し、無事に合格することができました。
Unity認定試験に関しては既に次のような素晴らしい体験記が公開されています。
ただ2017年10月から正式にスタートされたばかりということもあり、まだその数は多くありません。
Unity認定試験に合格しました | TECH Projin
【1940点】Unity開発者認定試験に合格しました。
この記事では特にUnity初心者に向けて、ごくざっくりとした試験対策を紹介します。
Unityに興味はあるけど試験となるとちょっと自信がない…といった方の挑戦の後押しになれば幸いです。
※タイトルは「初心者向け」としていますが、筆者はUnity4.5以前(試験範囲は5.x)にUnityを用いたアプリ開発をいくらか経験しているため、ブランクはありつつある程度の基礎知識は持っているところからのスタートでした。
Unity認定試験について
概要
ゲーム開発の現場において必要とされるUnityに関する知識と技能が一定水準に達している事をUnity Technologiesが認定するのがUnity認定試験です。
もっとも基本となるUnity開発者認定試験はプログラマのみならず、ゲームデザイナ、アーティストなどゲーム開発現場でUnityを触るすべての職種に向けて作られており、もちろん日本語で提供されます。
上記の通り、試験ではUnityを扱うにあたって関わるであろう広い分野の基礎知識を求められます。
情報処理技術者試験における基本情報、ITパスポートあたりのイメージでしょうか。
どこで受験できるの?
個人的にはこれが一番の難問でした。
Unite 2016 Tokyoで認定試験の予定が公開されてから、当時のプレサイトでニュースレターを登録したものの一向にそれらしき情報は届かず…(見逃していた可能性もあります)
私は今回、VRプロフェッショナルアカデミーでの受験を選びました。
Peatixから申し込みを受け付けており、コースウェアの入手も含めて手続きが一番少なそうだったからです。
これから受験される方向けに直近のイベントページはこちら。
コースウェアについては、申し込みから約3営業日後にメールで案内をいただきました。
Peatixから申し込んだ場合、Peatixに登録しているメールアドレスがそのままコースウェアと試験、および合格後のデジタルバッジのログイン情報に紐付くことになるようなので注意してください。
報道によると、現在その他に以下の4法人がUnity認定トレーニングパートナーとして試験を提供しているようです。
ちなみに、Unity開発者認定試験とは別にUnityエキスパート認定試験が全国のピアソンVUEテストセンターで受験可能となっています。
Unity 認定エキスパート試験は、数年の実務経験を持ちゲーム開発企業にて 2 本以上のタイトルリリースに関わるなど、実際の開発から多くの知見を納めた方を対象にしています。
とのことで、ベテランでもかなり手応えのあるレベルらしいですが、Unite Tokyo 2018への無料招待もあるのでそちらを目指してみるのも面白いかと思います。
試験対策
出題傾向
試験目的一覧(PDF)の「モジュール」チャプターごとに2〜12問が出題される
おそらく「サブトピック」ごとに設問がひとつないしは複数用意されていて、その中からランダムに出題されているのでは?と感じました。
全100問のうち70問以上正解で合格となります。
ひとつのチャプターが終わると正答率を示すページが挟まれますが、合否はあくまで全問で判定されるため、試験中に気にする必要はありません。
一度回答すると前の問題に戻れない、訂正も出来ない
ここは心構え的にかなり重要なポイントです。
試験時間は90分(1問あたりの配分が1分未満)で、だいたい40〜50分程度で終えられる方が多いようです。
いまいち自信がない問題はじっくり、自信がある問題も一旦見返すくらいのつもりで臨むのが良いと思います。
問題の形式は選択・組み合わせ・ホットスポットの3種類
選択: 4つの選択肢から択一。全体の8割ほど。複数選択はありません。
組み合わせ: 4×4の選択肢の組み合わせ。全体の1割未満。
ホットスポット: 画像の中から、問題文で示されたエリアを指定する問題。全体の1割未満。
学習方法
コースウェアをしっかりやっておけば大丈夫です。
身も蓋もありませんが…合格に向けては「Unity 認定開発者コースウェア」の内容、特にチャプターごとの自己評価(テスト問題)を抑えておくだけで十分でした。
気を付ける点として、コースウェアは動画だけで約20時間程度あるため計画的な学習が必要です。
私はあわてて倍速で進めましたがそれはそれでしんどいです。
また私の環境では、自己評価をリトライする際にマウスクリックが受け付けられない現象が発生しました。これはTabでフォーカス移動することで回避しました。
とにかくコースウェアにも癖があるので、早めに学習に着手することをおすすめします。
内容自体は入門レベルのチュートリアルとして非常に良いものです。
コースウェアを利用しない場合は、上記試験目的一覧の「認定の目的」に沿ってUnityマニュアルを読む方法が良いかと思います。
ただ、初心者からするとまずは俯瞰的にUnityの全体像を知りたくなると思いますので、公式チュートリアルをいくつか進めてみるのもおすすめです。
私の場合は次のような進め方で1週間、おおむね20時間を学習に費やしました。
- コースウェアの動画を一通り閲覧
- コースウェアの自己評価をテキストに書き起こして復習
- 理解度に不安がある部分はマニュアルで調べて補足(特にTransition、Rigidbodyのプロパティ周り)
注意すべきポイント
プログラミング問題
現在Unityが対応しているプログラミング言語はC#とJavaScript(正確にはUnityScript)の2種類で、試験ではC#の問題のみ出てきます。
C#もJavaScriptも実開発でバリバリ使ってるし、言語仕様だけなら余裕すぎるでしょ と油断してかかったところ、正答率が一番低いチャプターになってしまいました…。
Camera APIやMonoBehavior APIの仕様はちゃんと抑えておきましょう。
問題文・選択肢の翻訳
試験中、文章に不自然さを感じて手を止めることが多少ありました。
問題の大部分がコースウェアと同一の内容なのですが、別々に翻訳されているようで、同じ意図の問題であっても表現が異なります。
コースウェアを利用する場合も、機械的な丸暗記はむずかしいということを覚えておきましょう。
試験後
試験を最後まで進めると、その場で点数のサマリーおよび合否が表示されます。
100問×20点で2000点満点、私は正答率90%ほど、約1800点で合格でした!
合格の場合はそのまま証明書(PDF)もダウンロード可能です。(当日のみ?)
また、数日後にAcclaimからデジタルバッジ付与のお知らせがメールで届きます。
総じて、試験については既にUnityに慣れ親しんでいる方の腕試しにはなり得ず、むしろこれからはじめたい初心者や、自分のようにブランクがある方にこそ向いた内容と感じました。
Unityは年々進歩を続けており、今後ゲーム分野にかぎらずさらに有用なツールとなっていくと思います。
むずかしいことは抜きで、まずはダウンロードしてさわってみるだけでも十分です。
さらに興味が湧いたら資格へのチャレンジも考えてみてください。楽しみましょう!
受験に関してのご質問がありましたらお気軽にコメントください。できる範囲で情報提供させていただきます