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PrivateLTE
sXGP

免許不要の通信方式sXGPに関する情報まとめ

はじめに

モバイルキャリアの設備を利用せず、自営の設備でLTE網を実現するプライベートLTEの導入が海外を中心に広がりつつあります。実際にこれらプライベートLTE設備を構築する際には、以下の3つの設備が必要となります。
1. LTE無線基地局設備(eNodeB)
2. LTEコア網設備(Evolved Packet Core:EPC)
3. 基地局に対応した端末(User Equipment:UE)

【参考】:Nadeem, Muhammad Aamir, Muhammad Anwaar Saeed, and Imran Ali Khan. "A Survey on Current Repertoire for 5G." (2017). Fig.3. EPC Architecture
LTEのアーキテクチャ

EPC設備についてはOpen Air Interface, NextEPC, srsLTEなど様々なOSS が開発され、Raspberry Piのような小型PC環境下で容易に構築することが可能となってきつつあります(参考記事:Raspberry Pi 3上にLTEコア網(Evolved Packet Core:EPC)機能を構築してみた(Raspberry Pi 3+ubuntu16.04 LTS+NextEPC)。

一方で、LTE無線基地局設備(eNodeB)は周波数免許等の法的な課題もあり手軽に環境を構築することはできませんでした。2018年09月現在、日本国内でこれら法的な課題を解決して環境を構築するには、今回記事にした「sXGP」対応のLTE無線基地局を用意することが唯一の選択肢となっています。

「sXGP」はアンライセンスバンド(免許不要の周波数帯)で実現される方式であり、「sXGP」に関する技適を取得済みの基地局であれば、免許等を取得することなくWiFi機器のような手軽さで環境を構築することが可能です。また、「sXGP」方式のLTE無線基地局を用意できれば、この基地局とEPC設備を連携することでプライベートLTE の環境を自営で構築可能となります。

今回の記事では、「sXGP」規格に関する概要と「sXGP」に対応する基地局・端末について情報をまとめてみました。

※自分用のメモなので説明が不足している点等もあるかと思います。何かありましたらコメント頂ければ幸いです。

sXGPの概要

shared eXtended Global Platform(sXGP)とは、PHSの標準化等を実施していたXGPフォーラムが自営通信用向けとして規格した方式です。規定されているsXGPの周波数帯はこれまで自営PHSで使用されていた帯域(1893.5 ~ 1906.1MHz:1.9GHz帯)であり、自営PHSの需要減で使用率が低下している周波数帯を有効活用するために規格化されたようです。また、sXGPは3GPPのTD‐LTE方式(参考記事:第476回:TD-LTE とは)に準拠しており、プライベートLTEの無線基地局として利用することが可能です。

【特徴】

  • アンライセンスバンド:免許不要で使用可能
  • 利用可能な端末の多さ:本来は基地局だけでなく、端末側(スマートフォンetc.)もsXGPに対応する必要があります。ただ、sXGPはLTEの国際周波数帯の1つであるBand39(1880.0 〜 1920.0 MHz)に包含されているため、Band39対応の端末であれば特に端末側で特別な設定を実施することなく使用可能です。また、中国のキャリアであるChina MobileがBand39でサービスを提供していたため、多くのグローバルモデルのスマートフォンはBand39に対応しています。

【性能 (参考:1.9GHz帯における新⾃営システムの提案について(sXGP⽅式))】

  • 下り(64QAM方式):約8Mbps
  • 上り(64QAM方式):約1Mbps

【ユースケース】

  • 既存の構内PHSシステムの代替
  • LTEによるIoT無線システム
  • 【参考】:総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会(第31回)

技適取得済みsXGP対応基地局

2018年11月現在、日本国内で技適取得済み製品はBaicells社のpBS1109とAccuver社(QUCELL社)のSC-120Jの2種しか存在していないようです。また、価格などの詳細な製品仕様は情報が見つかりませんでした。※わかり次第追記します。

【技適取得済み基地局一覧】

  1. Baicells Japan社

  2. Accuver社(QUCELL社)

技適取得済みsXGP対応端末

前述のようにLTE Band39対応端末であれば、技術的には設定不要でsXGP基地局と疎通が可能です。
ただ、国内で正式に(適法に)利用する場合はsXGPに関する技適を取得済みの端末である必要があります。

【技適取得済み端末一覧】

  1. ASUS Zenfone3
  2. iPhone7
  3. iPhone 7 Plus
  4. iPhone 8
  5. iPhone 8 Plus
  6. iPhone X
  7. iPad (第 6 世代) Wi-Fi + Cellular
  8. Apple Watch Series4
  9. iPhone XS
  10. iPhone XS Max
  11. iPhone XR
  12. ZTE BLADE V8Q / ZTE BLADE V0840
  13. SONY VAIO S13 / VAIO Pro PG
  14. ASUS ROG Phone
  15. ASUS ZenFone Max Pro

おわりに

調べてみた結果、現状ではまだまだsXGPに関する基地局や端末の整備状況が不十分ではあるものの、徐々に盛り上がりを見せているという印象を受けました。また、もっと個人で気軽に製品(特に基地局)を購入できるようになれば、プライベートLTE技術との相乗効果でより活気付くかと感じました。