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銀の弾は無いのだ。チームは愚直にコツコツ学ぶことで成果が出せるようになっていく

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Last updated at Posted at 2026-07-16

最近、私がスクラムマスター(EM?)として参加しているチームが「いいね」と言われることがちょくちょくあります。

とても「良かったな」って思うのですが、一朝一夕でこうなったのではないんです。昨年度の9月から約半年、チームが愚直にコツコツ学び続けた結果です。そして学び続けるチームを作るためにはスクラムマスターという職能がチームの中にあるのとないのとでは実現可能性に大きな差が出ます。

この記事では

  • 成果を出せるチームにするための銀の弾は無く、学びの設計こそが成果への近道
  • 学びの設計を支えるのがスクラムマスター

という話をします。

私も銀の弾を探していました

偉そうに書いていますが、少し前まで自分こそが銀の弾を探していました。

銀の弾は無いと世間的に言われていればいるほど、「いやいや・・・何かあるでしょ」とそれを模索して、ゆくゆくはモデル化・型化して、、、それこそが実績であると思ってた。

それがここ1年くらいの経験で「いや、世間正しいわ」と、振り返ってみて思うわけです。

どんな状況だった?

当初はやること・やりたいことがバックログに積まれ、それをモグラ叩きのようにさばいては、毎週の定例で状況を共有する——そんな進め方でした。「今週は何を達成する」という軸がない。だから、頑張ってはいても前に進んでいる実感が持てない。そんな状態からのスタートでした。

何をした?

スプリントゴールを愚直に

当初はやること・やりたいことが積まれていて、それをモグラ叩きのように対応しながら毎週の定例会で状況をシェアするというチーム運営でした。要は「何を達成するために今週はコレをやる」がない状態。それでは目標に近づいている実感がないのも当たり前ですよね。

チームには「アウトカムにフォーカスしたスプリントゴールを決めて毎週過ごそう」というのを愚直に求め続けました。

言ってすぐにできるものではありません。

どうしても「○○○タスクを終わらせる」に寄っていく。それでもしつこく、手を変え品を変えチームに求め続け、今年度はアウトカム志向のスプリントゴールが作れるようになってきたのではと思います。

手を変え品を変えの中身の例

  • スプリントゴールを文章にすることだけを目標にしたスプリントプランニング
  • ステークホルダーと一緒にスプリントゴールを考える
  • スクラム勉強会
  • スプリントプランニング Deep Dive 勉強会

デイリースクラムを愚直に

デイリースクラム、朝会、意味ある時間になっていますか?

このチームも最初はルーティンでしたよ。そしてチームメンバーも効果を感じづらい状態だったと思います。

ざっくりですがこんな変化を辿っています。

  • 【当初】タスクベースで「昨日やったこと」「今日やること」を話し、課題は出づらい。
  • 【1ヶ月後】チームメンバーでファシリを持ち回りに。
  • 【2ヶ月後】「ゴールに対してどうですか?」をテンプレにするも、達成見込みを話すにはSMの問いかけを要する。
  • 【現在】「スプリントレビューで何話しましょうねぇ?」がチームから発言される。

よくあるのはテンプレを作って自然と話題が出るようにする手法。自分も罠にハマりました。「ゴールに対してどう?」をテンプレに入れたのですが、すぐにできるはずもなく、いつの間にか取り組んでいるタスクを各自報告するようなデイリースクラムになっていきます。

輪をかけたのが私が常に問いかけをして軌道修正するという行為。知らず知らずスクラムマスターに頼り、チームの学びを阻害していました。それに気付いてからはいざというときのセーフティーネットに徹し、チームに任せることで少しずつですがチームはデイリースクラムを効果的に使えるようになってきたと思います。

スプリントレビューを愚直に

最初はまさに ”あるある” の状態。

「○○○を実装しました」
「○○○を修正しました」

ステークホルダーが知りたいのは細かいタスクの進捗ではないんですよね。どうしてもやったことを紹介したくなる・・・!すごーーーーくわかるのですが、スプリントレビューはステークホルダーから直接フィードバックをもらえる貴重な機会なので、それを最大限活かすためにはアウトカムを説明するべし、です。

これも習慣です。なにかきっかけですぐにできるようになるわけはありません。そんなスゲーやつゴロゴロいるはずないです。

愚直に「で?何ができるようになったの?何がわかったの?」をスプリントレビュー毎に問い続け、習慣化を目指しました。今では原則スプリントレビュー前にスプリントゴールに対する成果を書く場所を埋め込んだテンプレにモブワークで内容を作っていくようになっています。

対話を愚直に

エンジニアの時間を奪うことを覚悟で対話の時間を確保しました。

効果的に学ぶためにはビジネス価値、目指したい世界など活動の背景の理解を常に意識続けることが重要だと考えたからです(チームメンバーの一人からもちょうど「背景を理解したい」という話が出てきたタイミングでした)。

そこで隔週でステークホルダーやエグゼクティブと背景やビジネス環境についての対話をする時間を設けました。

それ以外にもメンバーからの提案をきっかけに毎日1.5時間のもくもく or モブワークの時間を確保したりもしています。

スプリントを愚直に

ここまで紹介したことはすべてこの上に成り立っています。

とにかくループを回して学習し続けるにはスクラムのせいにしてスプリントを回すことが重要でした。マルチワークが多いチームだったのでスクラムイベントの日程を確保するのがとにかく困難だったのですが、スプリント期間のばらつきを敢えて許容し、とにかくスプリントレビューを実施することだけは譲りませんでした。

スプリントレビューはチームを映す鏡とはよく言ったもので、その場で起こったことを突破口にチームをコーチしていたように思います。

環境を整える

他にも学習し続ける環境を整えるようなこともしてきました。

  • マルチワークを減らし、認知負荷を削減した
  • メンバーが許可なく自由に使えるコミュニティやイベント参加のための予算を準備し、エンジニアとしての「仕入れ」が負荷なくできるようにした
  • 作業用PCのスペックを向上させ、不要な待ち時間を無くした(新しいMacBookを手配中)

今はどうか?

冒頭に書いた通り「キラキラしてる」「羨ましい」「悔しい」と言われることがポツポツとあります。そして、取り組んでいるプロダクトも達成目標に向かって着実に歩めていることが、プロダクトそのものからも、チームメンバーの口からも出るようになりました。

まさに 成果が出せる 状態にチームが成長したと言えると思います。

半年の期間が長いか短いかというのはあるにせよ、少なくとも「これをやれば次の瞬間から成果を出せる状態になる」ではないことだけは確かですよね。

銀の弾はないと思わせてくれた駆け出しスクラムマスター

ここまでの話だけだと「いやいや、お前にスクラムマスターとしての能力が無いだけやろ」と思う方もいるかもしれません。いや、それは正しいかもですが(笑)、「銀の弾は無い」と納得させてくれた出来事がありました。

一緒に仕事をしているチームの駆け出しスクラムマスターとメンタリングを目的にしたデイリースクラムを毎日している中で、成果を焦ってすぐに見切りを付けてしまう姿を目にしました。

「昨日はこれをチームに対して試してみました」
「あまり効果がありませんでした」「メンバーに聞いても反応が良くない」
「昨日の施策は止めて、今日はこれを試してみます」

結果を最初に求めて、成長を軽視してしまっているんです。これに近いことを考えて自分は焦っていたんだなぁと気付かせてもらいました。

客観視できる機会をくれた彼には感謝です。

このような学びを設計できるのがスクラムマスターという職能

ここまで「愚直に」を繰り返してきましたが、愚直に続けるって、めちゃくちゃ難しいですよね。人は放っておくと習慣に引っ張られる。テンプレを作ってもいつの間にかタスク報告に戻る、あの現象です。意識して抗い続けないと、学びのループはすぐ元の形に崩れていきます。

かといって、これをエンジニアに課すのは筋違い。彼らはプロダクトを前に進めることに集中すべきで、その横で「学びの設計を維持し続けろ」まで背負わせるのは無理があります。

だからこそ、スクラムマスターという職能を持ったメンバーがチームには必要です。 習慣に引き戻す力に抗い、チームが学び続けられる状況をつくり続ける。それを担う人が居るかどうかが、冒頭に書いた「あるのとないのとで実現可能性に大きな差が出る」の正体だと思っています。

まとめ

これは「スクラムをやればうまくいく」という話ではありません。また、「AIがあればすぐに成果を出せるようになる」とも逆の話をしています。

自分たちのチームに合うやり方を愚直に学びながら育てていくことと、それができる状況にするスクラムマスター両方が揃って実現できることだと自分自身体験から学びました。

まとめると、こうです。

  • メンバーに「変われ」と言う前に、環境(ゴール・場・進め方)を先に整える
  • スクラムを導入したら/スクラムマスターを置いたら "終わり" にせず、それなりの期間を一緒に走る覚悟を持つ
  • 口を出したくなる場面でこそ、チームに任せて待つ
  • 小さく試して、ふりかえる。これを止めない

何かをしたら明日チームは変わるということはありません。
愚直に学び続けることに覚悟を持ちましょう

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