従来、セリフのある短い映像用音声を作るには、TTS、BGM、環境音、効果音を別々に用意し、最後にDAW上でタイミングを合わせる必要がありました。Seed Audio 1.0は、これらを一つの「音響シーン」として扱い、登場人物、感情、言語、空間、音楽、出来事を一つの制作指示から生成する点が特徴です。

単なるTTSではない理由
一般的なTTSは、文章と声を入力し、一つの音声トラックを出力することが中心です。Seed Audio 1.0はシーン単位のオーディオ生成を想定しており、テキストだけでなく画像や参照音声も利用できます。SeedAudio.co のオンラインワークスペースでは、プロンプトの作成、最大3つの参照音声または1枚の画像の追加、出力形式、サンプルレート、速度、音量、ピッチなどの調整が可能です。1回につき最長約2分の生成に対応し、短編ドラマ、広告、ポッドキャストのオープニング、動画の吹き替えなどに向いています。
安定したプロンプトの構造
長い説明文をそのまま書くより、確認可能な項目に分けると修正しやすくなります。
シーン:深夜のコンビニ。雨音が続いている
登場人物:店員(冷静)、客(焦っている)
言語:日本語
会話:客が終電について尋ね、店員が短く答える
環境音:冷蔵庫の低い作動音、遠くの車、ドアベル
音楽:低い弦楽器。会話より小さくする
タイミング:12秒でベル、18秒で足音が遠ざかる
制約:ナレーションと追加人物は入れない
この形式なら、結果が期待と違った場合も、BGMを下げる、間を短くする、効果音の時刻を直す、といった一つの要素だけを変更できます。プロンプト全体を書き直さないため、各生成結果を比較しやすくなります。
実践的な生成フロー
最初は10〜20秒の短いサンプルを作り、人物の聞き分け、発音、全体の雰囲気を確認します。次に参照音声や画像を追加し、声の特徴や感情が適切に反映されるかを確認します。最後に尺を伸ばし、会話がBGMに埋もれていないか、効果音の位置が自然か、同じ人物の声質が途中で変化していないかをチェックします。
吹き替えやブランドボイスで参照音声を使う場合は、本人の音声、または明確な許可を得た素材だけを使用することが重要です。生成後も編集ソフトで音量、冒頭と末尾の無音、映像との同期を確認し、最終判断は人の耳で行います。
まとめ
Seed Audio 1.0の価値は、文字を読み上げるだけでなく、音響設計をプロンプトの段階に移せることです。構造化した制作指示によって、会話、演技、環境音、BGM、効果音を同時に管理でき、再生成時の変更点も明確になります。短編映像や広告、ゲーム音響を素早く検証したいチームにとって、実用的な制作フローになり得ます。