応用情報技術者平成30年秋期 午前問64
IT投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いてKPIを設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立ったKPIの例はどれか。
バランススコアカードは、企業のビジョンと戦略を実現するために、「財務」「顧客」「内部ビジネスプロセス」「学習と成長」という4つの視点から業績を評価・分析する手法です。
バランススコアカードのプロセスである各視点:
1、財務の視点
株主や従業員などの利害関係者の期待に応えるため、企業業績として財務的に成功するためにどのように行動すべきかの目標を設定する。KPIの例としては、ROA、ROE、株価、売上高利益率などが挙げられる。
・ROE(Return On Equity)とは、自己資本利益率を指し、株主が拠出した資本(自己資本)を利用して、どの程度の利益を上げているかを示す指標です。
計算式:
自己資本利益率(ROE)=当期純利益/自己資本×100
・ROA(Return On Assets)とは、総資産利益率のことを指し、会社が持っている資産を利用して、どの程度の利益を上げているかを示す指標です。
計算式:
総資産利益率(ROA)=当期純利益/総資産×100
・売上高利益率とは、売上高のうち何%を利益として残すことができたのかを示す指標
計算式:
売上高売上総利益率 = 売上総利益/売上高 × 100
2、顧客の視点
企業のビジョンを達成するために、顧客に対してどのように行動すべきかの目標を設定する。KPIの例としては、顧客満足度、成約率、客単価、クレーム件数などが挙げられる。
・成約率とは、営業担当者がクロージングできた案件の割合のことである。 営業担当者ごとのパフォーマンスを見るための指標として用いられる。
・客単価とは、消費者一人当たりが一度の購買時に支払う平均額です。 例えば飲食店の客単価は、消費者が一度来店したときに支払う平均金額で、店舗の売上高を来店客数で割って求めます。
・クレーム (クレイム、英語: claim) は、サービスに対する苦情や改善要求、契約あるいは法上の権利請求を指す外来語。最近の日本では損害賠償請求やごり押し等による不当な強迫要求や請求の意味で用いられる場合もある。
3、業務プロセスの視点
財務的目標の達成や顧客満足度を向上させるために、優れた業務プロセスを構築するための目標を設定する。KPIの例としては、納期順守率、平均リードタイム、不良率、改善提案件数などが挙げられる。
4、学習と成長の視点
企業のビジョンを達成するために組織や個人として、どのように変化(改善)し、能力向上を図るかの目標を設定する。KPIの例としては、年間教育/訓練時間、資格取得数、特許取得数、従業員の満足度などが挙げられる。
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補足
ITベンダにおけるソリューションビジネスの推進で用いるバランススコアカードの,学習と成長のKPIの目標例はどれか。ここで,ソリューションとは"顧客の経営課題の達成に向けて,情報技術と専門家によるプロフェッショナルサービスを通して支援すること"とする。
1、
・サービスを提供した顧客に対して満足度調査を行い,満足度を5段階評価で平均3.5以上とする。
⇒×。顧客の視点での目標例です。
・再利用環境の整備によってソリューション事例の登録などを増やし,顧客提案数を前年度の1.5倍とする。
⇒×。内部ビジネスプロセスの視点での目標例です。
・情報戦略のコンサルティングサービスに重点を置くために,社内要員30名をITのプロフェッショナルとして育成する。
⇒○。学習と成長の視点での目標例です。
・情報戦略立案やシステム企画立案に対するコンサルティングの受注金額を,全体の15%以上とする。
⇒×。財務の視点での目標例です。
参照:
https://www.ap-siken.com/kakomon/29_haru/q63.html