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「長いプロンプトを書きましょう」に感じた違和感 ― 生成AIとはもっと普通に話していい

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「長いプロンプトを書きましょう」に感じた違和感 ― 生成AIとはもっと普通に話していい

先日、NHKの子ども向け番組を見ていた。

その中で、生成AIに対するプロンプトの書き方を扱っていた。

細かな表現は正確には覚えていないが、私が受け取ったメッセージは、

「AIから良い回答を得るためには、長く、しっかりしたプロンプトを書きましょう」

というものだった。

これを見て、かなり違和感を持った。

もちろん、AIに目的や条件をきちんと伝えることは大切だ。

曖昧な指示より、具体的な指示の方が期待する回答を得やすい。

それ自体を否定するつもりはない。

ただ、

生成AIを使うためには、最初から完成された長いプロンプトを書かなければならない

という印象を子どもに与えてしまうとしたら、それは少し違うのではないかと思った。

最初から長いプロンプトを書く必要はない

たとえば、カブトムシについて知りたいとする。

プロンプトの書き方を意識すると、こんな文章を書くことになるかもしれない。

あなたは昆虫に詳しい先生です。

小学5年生にも理解できるように、
カブトムシについて説明してください。

以下の内容を含めてください。

- 成虫の生活
- 幼虫の生活
- 食べ物
- 冬の過ごし方
- 成虫になるまでの過程

専門用語には説明を加え、
800文字以内で説明してください。

これは別に悪くない。

目的も条件も整理されている。

ただ、本当に最初からここまで書く必要があるだろうか。

生成AIなら、

カブトムシについて教えて

から始めてもよい。

回答を見て、

小学生にも分かるようにして

と追加する。

さらに、

冬はどうしているの?

と聞く。

興味が出てきたら、

幼虫についてもう少し詳しく

と続ければよい。

これで十分に会話になる。

むしろ私は、こちらの使い方の方が生成AIらしいと思っている。

生成AIの強みは「対話できること」

従来型のWeb検索では、入力した検索キーワードに対して検索結果が返ってくる。

欲しい結果でなければ、検索キーワードを考え直す。

生成AIにも似たところはあるが、大きな違いがある。

前のやり取りを踏まえて、そのまま会話を続けられる。

聞く
 ↓
回答を見る
 ↓
違うところを伝える
 ↓
条件を追加する
 ↓
さらに聞く

この繰り返しができる。

だから、最初のプロンプトですべてを伝えなくてもよい。

むしろ対話を続けているうちに、

「自分は本当は何を知りたかったのか」

が分かってくることもある。

これは生成AIを使っていて、かなり面白いところだと思う。

AIには「よそ行きの言葉」で話さなくていい

「良いプロンプトを書こう」と考えすぎると、少し妙なことが起きる。

生成AIを使う前に、人間が一生懸命AI向けの文章を作り始める。

あなたは○○の専門家です。
目的は……
背景は……
制約条件は……
出力形式は……
禁止事項は……

もちろん、このような書き方が有効な場面はある。

ただ、日常的な生成AIとの対話まで、この形式にする必要はない。

ここでプロンプトを書くことそのものが目的になってしまうと、

AIを使うために、人間がAI向けの言葉を覚えなければならない

という話になってしまう。

私は、これは少し逆ではないかと思っている。

生成AIには、自分の言葉で話せばいい。

たとえば私は普通に、

これ、なんか違うんだよね

とか、

もう少し初心者向けにして

とか、

そこまで堅くなくていい

とか、

この説明だと私は納得できない

と書く。

これでも十分に通じる。

普段使わない言葉で無理にきれいなプロンプトを作るより、自分が実際に感じていることを、そのまま伝えた方がよい。

回答を見て違和感があれば、その違和感をそのままAIに返せばいい。

自分の言葉で投げる
 ↓
AIが答える
 ↓
違和感を返す
 ↓
AIが修正する
 ↓
さらに考えが明確になる

生成AIとの対話では、この往復そのものに意味がある。

子どもに教えるなら、こちらではないか

子ども向けに生成AIの使い方を教えるなら、

「良い回答を得るために長いプロンプトを書きましょう」

より、

「まず自分の言葉でAIに聞いてみよう」

の方がよいのではないかと思う。

回答を見て、

ここが分からない
もっと簡単に
それはどういう意味?
私はこう思うけど、どう?

と聞いていく。

これなら、AIの使い方だけではなく、自分の考えを言葉にする練習にもなる。

AIに伝えるための特殊な作文技術を覚えるのではなく、

自分が何を考えているのかを、自分の言葉で表現する。

私は、こちらの方が教育としても大切だと思う。

では長いプロンプトは不要なのか

ここまで書くと、

「長いプロンプトは必要ないと言いたいのか」

と思われるかもしれない。

そうではない。

長いプロンプトが必要になる場面はある。

特に、最近増えているAgent型AIでは、むしろ長い指示が必要になることがある。

たとえばAI Agentをある程度自律的に動かしたい場合には、

  • 目的
  • 制約
  • 利用できるツール
  • 禁止事項
  • 判断基準
  • 例外時の処理
  • 成果物
  • 終了条件

などを定義する必要がある。

最終的なInstructionsが数千文字になることもある。

ここで私が重要だと思うのは、

長いプロンプトを書くことではなく、その長いプロンプトをどう作るか

という点だ。

Agentの長い指示も、自分一人で書く必要はない

複雑なAgentを作る場合でも、私は最初から数千文字のInstructionsを書こうとは思わない。

まず、

Webサイトを定期的に調べて、
新しく出た情報だけをまとめるAgentを作りたい。

必要なInstructionsを作るために、
足りない条件を私に質問して。

くらいから始めればよい。

そこからAIと話す。

AI:
何を「新しい情報」と判断しますか?

人間:
前回チェックした後に追加された情報
AI:
情報が見つからない場合はどうしますか?

人間:
何もなければ何もしなくていい
AI:
情報源は残しますか?

人間:
URLと確認日時を必ず残して

こうして条件を増やしていく。

さらに、

ここまで話した内容を
Agent用のInstructionsにまとめて

と頼めばよい。

流れとしては、

短い要求
 ↓
AIとの対話
 ↓
目的を明確にする
 ↓
条件を追加する
 ↓
例外を考える
 ↓
終了条件を決める
 ↓
AIに整理させる
 ↓
長いInstructionsになる

となる。

最終的には長いプロンプトになっている。

しかし、その長いプロンプトを人間が最初から一人で作文したわけではない。

AIと一緒に作った。

ここには大きな違いがある。

Agentのプロンプトは、もはや仕様書に近い

Agent型AIへの指示が複雑になると、これはもう単なる質問文ではない。

かなりソフトウェアの仕様書に近くなる。

システム開発でも、複雑なシステムの仕様を一人で最初から全部書くことは難しい。

要求
 ↓
ヒアリング
 ↓
要件整理
 ↓
例外ケースの検討
 ↓
レビュー
 ↓
修正
 ↓
仕様確定

という作業を行う。

AgentのInstructionsも同じだと思う。

しかも生成AIの場合、その仕様作成をAI自身に手伝わせることができる。

この指示で足りない条件はある?
矛盾しているところはある?
終了条件が曖昧ではない?
想定していないケースを挙げて
ここまでをAgent用Instructionsとして整理して

とAIに聞ける。

つまり、Agent時代になるとプロンプトエンジニアリングは、

「うまい命令文を書く技術」

から、

「AIと一緒に要求や仕様を作る技術」

に近づいていくのではないかと思っている。

長いプロンプトを書く能力より、要求を育てる能力

生成AIを使う能力とは何だろう。

少なくとも私は、一発で完璧な長いプロンプトを書けることではないと思っている。

まず自分の言葉で話す。

AIの回答を見る。

違うと思ったら違うと言う。

足りないと思ったら追加する。

分からなければ聞く。

必要ならAI自身に整理させる。

その繰り返しによって、曖昧だった自分の要求を少しずつ育てていく。

こちらの方が、これからの生成AIとの付き合い方として重要なのではないか。

まとめ

長いプロンプトを書くこと自体が悪いわけではない。

Agentのように、詳細なInstructionsが必要になる場面もある。

ただし、それを最初から人間が一人で完成させる必要はない。

まず自分の言葉で話す。

AIの回答を見て、違えば直し、足りなければ追加する。

必要なら、その対話そのものをAIに整理させる。

長いプロンプトを書く能力より、AIと対話しながら要求を育てる能力。

私は、これからの生成AI教育では、こちらの方が大切なのではないかと思っている。

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