Teams Phone の Call Queue 自動録音は、別の社員へ転送しても続くのか?
Microsoft Teams Phone の Call Queue には、通話を自動録音する Automatic Recording があります。
Call Queue の担当者が電話に応答すると録音が開始され、通話終了時に録音も終了します。
ここで気になったことがあります。
Call Queue の担当者が電話を受けたあと、別の社員へ転送した場合、録音はどうなるのでしょうか。
例えば、こんなケースです。
顧客
↓
Call Queue
↓
オペレーターAが応答
↓
Automatic Recording開始
↓
一般社員Bへ転送
↓
Bと顧客が通話
↓
通話終了
オペレーターAが通話から抜けた時点で録音が終了するのか、それともBとの通話も録音され続けるのでしょうか。
Microsoft Learnだけでなく、Microsoft Q&Aや関連するTeamsの仕様、外部の情報まで調べてみました。
まずAutomatic Recordingの基本動作
Microsoft Learnでは、Call Queue の Automatic Recording について、
- Call Queue の担当者が応答すると録音開始
- 通話終了時に録音停止
と説明されています。
重要なのは、
「担当者が通話から抜けたら録音終了」ではなく、「通話が終了したら録音終了」
となっている点です。
参考:
計画 - 音声アプリケーション通話の録音 - Microsoft Teams
Call Queue の Agent は人間のオペレーター
Teams Phone のドキュメントでは、Call Queue の担当者を Agent と呼びます。
最近はAI Agentという言葉をよく使うので少し紛らわしいのですが、ここでいう Agent は基本的に、
Call Queue の電話を受ける人間のオペレーター
です。
つまり、
Call Queue
↓
Agentが応答
↓
Automatic Recording開始
は、
Call Queue
↓
人間のオペレーターが電話に出る
↓
Automatic Recording開始
という意味です。
応答後は通常のTeams通話として扱われる
Microsoft Learnには、Call Queue の担当者が通話に応答したあとは、通常のTeams通話と同様に扱えることが説明されています。
例えば、
- 他のユーザーを通話へ追加する
- 別のユーザーへ転送する
といった操作ができます。
参考:
Answer incoming calls in Microsoft Teams call queues
ここから考えると、
顧客
↓
Call Queue
↓
オペレーターAが応答
↓
録音開始
↓
一般社員Bへ転送
という操作をしても、転送そのものが「通話終了」になるわけではありません。
一般社員へ転送したらどうなるのか
例えば次のケースです。
顧客
↓
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
★ Automatic Recording開始
↓
一般社員Bへ転送
↓
Bが応答
↓
Aが通話から離脱
↓
顧客とBが通話
↓
通話終了
Microsoft Learnには、
「Call Queue の外にいる一般ユーザーへ転送すると録音を終了する」
という記載は確認できませんでした。
Automatic Recording の停止条件はあくまで、
通話終了
です。
そのため、Teams内部で同じ通話が継続しているのであれば、
Aが離脱
≠
通話終了
となり、
転送後のBとの通話も録音が継続すると考えるのが自然です。
録音は「オペレーター」ではなく「通話」に付いている?
Microsoft Q&Aには、通常のTeams録音について興味深い回答があります。
録音を開始したユーザーが元の通話から離れた場合でも、元の通話自体が継続している場合には、録音と文字起こしも継続するとされています。
Call Queue Automatic Recordingそのものについての回答ではありませんが、
ユーザー
↓
録音
というより、
通話セッション
↓
録音
という考え方に近いことが分かります。
参考:
Microsoft Q&A - Teams recording and transcription
この考え方なら、Call Queueでも、
オペレーターA
↓
一般社員B
と担当者が変わったこと自体は、録音終了の理由にはならないことになります。
転送方式によって違う可能性がある
さらに関連情報を調べると、重要なのは、
「誰へ転送したか」だけではなく、「転送後も同じ通話が継続しているか」
ではないかと考えられます。
MicrosoftのDynamics 365 Contact Centerのドキュメントには、転送方式による録音の違いが明記されています。
元の通話を維持したまま転送する bridged transfer では、
元通話
↓
転送
↓
転送先
となり、録音と文字起こしも継続します。
一方、
元通話
↓
終了
新しい通話
↓
転送先
のように新しい通話を作る方式では、新しい通話は元の録音を引き継ぎません。
参考:
Transfer and consult in voice channel - Dynamics 365
これはTeams Call Queue Automatic Recordingそのものの仕様ではありません。
ただ、
録音の境界を考える上では非常に参考になる動きです。
本質は「転送」ではなく「通話セッション」
ここまでを整理すると、
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
録音開始
↓
転送
というところまでは同じでも、
同じ通話が維持される場合
顧客
↓
A
↓
B
↓
通話終了
なら、
Recording
───────────────────────>
と継続する可能性が高い。
一方、
新しい通話を作る場合
顧客
↓
A
↓
元通話終了
新規通話
↓
B
なら、
Recording
─────────X
新しい通話
となり、元のAutomatic Recordingが継続しない可能性があります。
つまり、
「転送したら録音が切れるか」ではなく、「転送によって元の通話セッションが終了するか」が重要
と考えるのがよさそうです。
同じCall Queueのオペレーターへ転送した場合
例えば、
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
同じCall QueueのオペレーターB
という転送です。
通常のTeams内部転送として元の通話が維持されるなら、
録音は継続する可能性が高い
と考えられます。
Call Queue外の一般社員へ転送した場合
次に、
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
一般社員B
です。
一般社員B自身が Call Queue のメンバーである必要はありません。
Automatic Recordingは、
Bというユーザーを録音している
のではなく、
Call Queueから開始された通話を録音している
と考えられるため、同じ通話セッションが維持されるTeams内部転送であれば、Bとの会話も録音される可能性が高いです。
ただし、Microsoft Learnには、
「Call Queue外の一般ユーザーへの転送後も録音する」
というケースを直接説明した記述は、現時点では確認できませんでした。
一般社員が新しく電話を発信した場合は別
ここは区別する必要があります。
例えば、
一般社員B
↓
顧客へ新規発信
という通話です。
これは Call Queue から開始された通話ではありません。
したがって、
Call Queue の Automatic Recording の対象ではありません。
Call Queueから転送された通話と、一般社員自身が開始した通常通話は別です。
Compliance Recordingではさらに明確
Compliance RecordingについてはMicrosoftのドキュメントで、
Call Queue以外の通常の着信・発信まで録音する場合には、ユーザー自身へのCompliance Recording Policyが必要であることが説明されています。
参考:
Set up compliance recording for call queues
このことからも、
Call Queue通話
と、
ユーザー自身の通常通話
は別々に扱われていることが分かります。
社外情報も探してみた
Stack Overflow、Microsoft Q&A、Microsoft Tech Community、Reddit、録音製品ベンダーなども調べました。
ただし、2026年8月時点では、
Call Queue Automatic Recordingで、一般社員へ転送した際の録音を実際に検証した情報はまだほとんどありません。
Automatic Recording for Call Queue 自体が新しい機能であることも影響していると思われます。
一方、外部の録音システムでは、転送によって録音が切れるケースも報告されています。
例えばDirect Routingと外部PBXを組み合わせた場合、
Teams
↓
SIP
↓
外部PBX録音
という構成では、転送時にSIPの通話レッグが変わることで、録音側から見ると別通話になるケースがあります。
これはMicrosoft純正のAutomatic Recordingとは別の仕組みなので、そのまま比較することはできません。
ただ、
どこが録音主体なのか
によって転送時の挙動が変わることは覚えておいた方がよさそうです。
現時点での整理
調べた範囲では、次のように考えています。
| ケース | Automatic Recording |
|---|---|
| Call Queueでオペレーターが応答 | 録音開始 |
| 同じQueueの別オペレーターへ転送 | 継続する可能性が高い |
| 一般社員へTeams内部転送 | 継続する可能性が高い |
| 転送元オペレーターが離脱 | それだけでは終了しないと考えられる |
| 顧客との通話終了 | 録音終了 |
| 一般社員が新規に顧客へ発信 | Call Queue録音対象外 |
| 元通話を終了して別通話を生成 | 録音が引き継がれない可能性が高い |
まだ分からないこと
今回調べても、Microsoftの公式資料から確認できなかった点があります。
それは、
転送前後の録音がSharePoint上で1つのファイルとして保存されるのか
です。
例えば、
00:00 オペレーターAが応答
02:00 一般社員Bへ転送
05:00 通話終了
の場合、
recording.mp4
00:00 ~ 05:00
という1ファイルになるのか、
それとも、
recording-A.mp4
00:00 ~ 02:00
recording-B.mp4
02:00 ~ 05:00
となるのかについて、Microsoft Learnでは明示されていません。
文字起こしについても同様です。
実際に確認してみたいパターン
これは実環境で確認してみる価値がありそうです。
パターン1
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
同じQueueのオペレーターB
パターン2
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
Call Queue外の一般社員B
パターン3
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
一般社員Bへ相談してから転送
パターン4
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
外線電話番号へ転送
確認する項目は、
- 転送後も録音されているか
- 録音ファイルは1つか
- 文字起こしは継続するか
- SharePoint上のメタデータはどうなるか
- Queues Appの履歴ではどのユーザーが表示されるか
あたりです。
まとめ
Call Queue の Automatic Recording は、
Call Queue
↓
人間のオペレーターが応答
↓
録音開始
↓
通話終了
↓
録音終了
という仕組みです。
そのため、別のユーザーへ転送したとしても、
元の通話セッションが維持されている限り、録音も継続すると考えるのが現時点では最も自然
です。
Call Queue
↓
オペレーターA
↓
一般社員B
↓
顧客
となっても、
録音
────────────────>
と続く可能性が高いと考えています。
一方で、Microsoft Learnには、一般社員への転送後の録音動作や録音ファイルの分割についての詳細までは記載されていません。
Automatic Recording for Call Queue はまだ新しい機能です。
このあたりは、
公式仕様を読むだけでなく、実際に転送してSharePointの録音を確認する
ところまでやってみると面白そうです。