Microsoft Teams Auto Attendant 入門:電話の自動受付と記録の考え方
はじめに
Microsoft Teams Phone を使うと、会社の代表番号や問い合わせ窓口に対して、自動音声で案内して電話を振り分けることができます。
この仕組みが Auto Attendant です。
たとえば、電話をかけたときに次のような案内が流れる仕組みです。
お電話ありがとうございます。
営業に関するお問い合わせは 1 を、
サポートに関するお問い合わせは 2 を、
採用に関するお問い合わせは 3 を押してください。
この記事では、Microsoft Teams の Auto Attendant について、基本的な役割、Call Queue との違い、そして録音を含む「対応記録」の考え方を整理します。
Auto Attendant とは
Auto Attendant は、電話の着信に対して自動音声で応答し、発信者を適切な宛先へ案内する機能です。
日本語では「自動応答」「自動音声案内」「電話の自動受付」のように説明されることが多いです。
主な用途は次のとおりです。
- 代表番号への着信を自動受付する
- 営業時間内と営業時間外で案内を変える
- 番号入力や音声入力で問い合わせ先を選ばせる
- ユーザー、部署、Call Queue、共有ボイスメールへ転送する
- 祝日や特別休業日の案内を流す
つまり Auto Attendant は、電話対応における「受付」の役割を持ちます。
基本的な通話フロー
シンプルな構成は次のようになります。
代表番号に着信
↓
Auto Attendant が応答
↓
営業時間を判定
↓
音声メニューを再生
↓
発信者の入力に応じて転送
たとえば、営業時間内は担当部署へ転送し、営業時間外は営業時間外メッセージを流して共有ボイスメールへ案内する、といった構成ができます。
営業時間内
↓
営業は 1、サポートは 2、採用は 3
↓
選択内容に応じて転送
営業時間外
↓
本日の受付は終了しました
↓
共有ボイスメールへ転送
Auto Attendant と Call Queue の違い
Auto Attendant と一緒によく出てくる機能が Call Queue です。
両者の役割は似ているようで違います。
| 機能 | 役割 |
|---|---|
| Auto Attendant | 電話を受け付けて、案内・振り分けを行う |
| Call Queue | 複数の担当者に順番に電話をつなぐ |
イメージとしては、Auto Attendant が「受付」、Call Queue が「待ち行列」です。
よくある構成は次のようになります。
代表番号
↓
Auto Attendant
↓
サポートを選択
↓
サポート用 Call Queue
↓
空いている担当者が応答
Auto Attendant だけでも転送はできますが、複数人で問い合わせ対応をする場合は Call Queue と組み合わせるのが一般的です。
対応記録は残せるのか
Auto Attendant を使うときに気になるのが、対応内容を記録として残せるかどうかです。
結論から言うと、Auto Attendant の処理履歴はレポートとして確認できます。
たとえば、次のような情報を確認できます。
- Auto Attendant に何件着信したか
- 発信者がどのメニューを選んだか
- どの Call Queue やユーザーへ転送されたか
- 通話が切断されたか、転送されたか
- Auto Attendant 内にどれくらい滞在したか
- 時間帯別・日別の着信傾向
Microsoft Teams では、Auto Attendant や Call Queue の履歴を確認するために、Power BI テンプレートを使った Historical Reports が用意されています。
ただし、ここでいう履歴は、あくまで通話フローや処理結果の記録です。
発信者が 2 を押した
サポート用 Call Queue に転送された
Auto Attendant 内に 18 秒いた
最終的に担当者が応答した
このような情報は記録できます。
一方で、次のような情報を Auto Attendant 単体で丸ごと残すものではありません。
発信者が何を話したか
Auto Attendant と発信者のやり取りの音声
会話内容の全文
録音も含めた記録はできるのか
録音も含めて対応記録を残したい場合は、Auto Attendant 単体ではなく、Call Queue の自動録音やコンプライアンス録音と組み合わせて設計します。
一般的な構成は次のようになります。
代表番号
↓
Auto Attendant
↓
Call Queue
↓
担当者が応答
↓
録音開始
Microsoft Teams の Call Queue 自動録音では、担当者が Call Queue の通話に応答したタイミングで録音が開始され、通話終了時に停止します。
録音データは SharePoint に保存されます。
つまり、Auto Attendant でメニュー選択をしている段階の音声をすべて録音するというより、担当者につながった後の通話を記録する考え方です。
記録できる内容の整理
録音を含む対応記録を整理すると、次のようになります。
| 記録したい内容 | 実現方法 |
|---|---|
| Auto Attendant への着信数 | Historical Reports |
| メニュー選択や転送結果 | Historical Reports |
| どの Call Queue に流れたか | Historical Reports |
| 不在着信や折り返し状況 | Shared Call History |
| 共有ボイスメール | 共有ボイスメール、Shared Call History |
| 担当者応答後の通話録音 | Call Queue 自動録音 |
| 厳格な監査・規制対応の録音 | Compliance Recording |
重要なのは、記録したい対象によって使う機能が変わるという点です。
Auto Attendant は受付と振り分けの履歴を残す機能、Call Queue は担当者対応の履歴や録音と組み合わせやすい機能、と考えるとわかりやすいです。
設計時に考えるポイント
メニューを複雑にしすぎない
選択肢が多すぎると、発信者は迷います。
最初は 3〜4 個程度の選択肢に抑えるのがおすすめです。
営業は 1
サポートは 2
採用は 3
その他は 0
このくらいの粒度から始めると運用しやすくなります。
営業時間外の動きを決める
営業時間外にどうするかは、事前に決めておく必要があります。
たとえば次のような選択肢があります。
- 営業時間外メッセージを流して終了する
- 共有ボイスメールへ転送する
- 緊急連絡先へ転送する
- 翌営業日の案内を流す
サポート窓口の場合は、緊急時の導線を用意するかどうかも重要です。
祝日・特別休業日を考慮する
通常の営業時間だけでなく、祝日や年末年始などの例外日も設計しておくと運用が楽になります。
通常営業日と休業日の案内が同じだと、発信者に誤解を与える可能性があります。
録音の目的を明確にする
録音を有効にする場合は、何のために録音するのかを明確にしておく必要があります。
- 問い合わせ内容の確認
- 応対品質の改善
- トラブル時の確認
- 監査・コンプライアンス対応
目的によって、必要な保存期間、閲覧権限、通知メッセージ、運用ルールが変わります。
また、通話録音には法務・コンプライアンス上の考慮が必要になる場合があります。実運用では、録音することを発信者に通知する案内や、社内ルールの整備も検討します。
導入のメリット
Auto Attendant を導入すると、次のようなメリットがあります。
- 代表電話の一次対応を自動化できる
- 電話の取り次ぎ負荷を減らせる
- 発信者を適切な部署へ案内しやすくなる
- 営業時間外や休日の案内を統一できる
- 小規模なチームでも電話窓口を整えやすい
- レポートをもとに問い合わせ傾向を把握できる
特に、問い合わせ先が複数ある組織では効果が出やすいです。
注意点
Auto Attendant は作って終わりではありません。
運用を始めたあとも、次のような見直しが必要です。
- メニューがわかりやすいか
- よく選ばれる番号はどれか
- 途中で切断されていないか
- 転送先の Call Queue は適切か
- 営業時間や祝日設定が最新か
- 録音データの閲覧権限が適切か
- 録音の保存場所や保存期間が運用ルールに合っているか
最初から完璧な設計を目指すより、シンプルに始めて、レポートを見ながら改善していくのが現実的です。
まとめ
Microsoft Teams の Auto Attendant は、電話の自動受付・振り分けを行うための機能です。
ポイントは次のとおりです。
- Auto Attendant は電話の受付・案内・振り分けを行う
- Call Queue と組み合わせると、複数担当者での電話対応に向いている
- Auto Attendant の処理履歴は Historical Reports で確認できる
- 録音まで含めたい場合は、Call Queue 自動録音や Compliance Recording と組み合わせる
- Auto Attendant 単体で、案内中の音声や発信者の発話を丸ごと録音・全文記録するものではない
- 録音を使う場合は、通知、権限、保存期間、法務・コンプライアンス面も考慮する
電話対応はアナログな業務に見えますが、Auto Attendant と Call Queue を組み合わせることで、受付、振り分け、記録、録音までかなり整理できます。
まずは代表番号の一次受付や、サポート窓口の振り分けから小さく始めるのがおすすめです。
参考リンク
- Plan - Overview of Teams Phone Agent, Auto Attendant, and Call Queue
- Plan - Business Decisions for Teams Phone Agent, Auto Attendant, and Call Queue
- Reporting - Teams Phone Agent, Auto Attendant, and Call Queue historical reports
- Plan - Recording for Teams Phone Agent, Auto Attendant, and Call Queue calls
- Setup - Shared Call History for Call Queue