きっかけ
ZennFesのテーマ一覧を眺めていたら「YouCam APIを活用した実装事例とアイデア」という項目が目に入りました。YouCamといえばメイクアプリのイメージがあったのですが、開発者向けのAPIがあることを初めて知りました。
美容系のAR/AIをAPIとして呼び出せるなら、面白いアプリが作れそうです。実際に触ってみる前に、まずどんなことができるのかを調べてみました。
YouCam APIとは
YouCam APIは、台湾の企業 Perfect Corp. が提供する美容・ファッション特化のAI/AR機能群をREST APIで利用できるサービスです。
同社は「YouCam Makeup」という世界累計3億ダウンロードを超えるメイクアプリを開発しており、そこで培ったAR技術をAPIとして外部開発者に開放しています。
主な機能カテゴリ
| カテゴリ | 機能例 |
|---|---|
| 肌分析 | 毛穴・しわ・シミ・くすみのスコアリング |
| メイク試着 | リップ・チーク・アイシャドウのARバーチャル試着 |
| ヘアカラー | 100色以上のヘアカラーバーチャル試着 |
| ファッション | 服・アクセサリーのバーチャル試着 |
| 顔解析 | 顔型・顔属性(年齢・表情など)の推定 |
| 画像生成 | AIによるポートレート生成・背景変換 |
これだけの機能がまとまっているAPIは珍しいと感じました。美容・ファッション領域に特化しているからこそ、汎用の画像認識APIより精度が高い部分があるようです。
APIの始め方
アカウント作成とAPIキー取得
- YouCam Online Editor にアクセス
- 無料アカウントを作成
- API Consoleからキーを発行
無料枠でも一定のクレジットがもらえるので、試作には十分そうです。
料金体系の概要
処理はクレジット消費型で、おおよそ以下のイメージです。
- 画像1枚の処理:1〜2クレジット
- 動画:1クレジットで約2秒分処理
詳細は料金ページで確認できます。
API V2 の基本的な使い方
2024年にV2がリリースされ、レスポンス形式がシンプルになりました。以前は結果がZIPで返ってきていたのが、V2では直接JSONに画像URLやスコアが含まれる形式になっています。
基本的な流れはこうです。
1. 画像をアップロード → task_id を取得
2. task_id でポーリング(または webhook)→ 処理完了を待つ
3. 結果の画像URL / スコアを受け取る
肌分析APIの呼び出しイメージ(Python)
import requests
import time
API_KEY = "your_api_key_here"
BASE_URL = "https://api.perfectcorp.com/v2"
headers = {
"Authorization": f"Bearer {API_KEY}",
"Content-Type": "application/json",
}
# 画像URLを渡してタスクを作成
payload = {
"image_url": "https://example.com/face.jpg",
"concerns": ["pores", "wrinkles", "dark_spots"], # 分析したい肌の悩み
}
res = requests.post(f"{BASE_URL}/skin-analysis", json=payload, headers=headers)
task_id = res.json()["task_id"]
# ポーリングで結果を取得
while True:
result = requests.get(f"{BASE_URL}/tasks/{task_id}", headers=headers).json()
if result["status"] == "completed":
print(result["scores"]) # 各項目のスコアが返る
break
time.sleep(2)
実際のエンドポイント名やパラメータは公式ドキュメントで確認が必要ですが、構造はこういったイメージです。
注意点として分かったこと
調べる中で、Zennの他の記事で実際に試している方の知見が参考になりました。
- SDモードとHDモードは混在不可:肌分析のリクエスト内でSD/HDの診断項目を混ぜるとエラーになる
- 事前バリデーションを入れると良い:アップロード直後に「顔が検出されているか」「解像度・明るさは問題ないか」を確認してからAPI呼び出しに進む設計が安定する
- 非同期前提:処理に数秒かかるため、ポーリングまたはWebhookの実装が必要
最近の動き:MCPサポートと「Ask AI」
2026年5月、Perfect Corp.はYouCam APIプラットフォームに**「Ask AI」**という無料のAIアシスタントを統合しました。
これは、MCP(Model Context Protocol)対応クライアント(CursorやVS CodeのCopilot、Claude Desktopなど)の設定ファイルにAPIキーを1行追加するだけで、自然言語でYouCam APIの機能を呼び出せるようにするものです。
// .cursor/mcp.json などに追加するだけ
{
"mcpServers": {
"youcam": {
"command": "npx",
"args": ["@perfectcorp/youcam-mcp"],
"env": {
"YOUCAM_API_KEY": "your_api_key_here"
}
}
}
}
英語ドキュメントへの敷居が下がるのと、「この画像の肌分析して」と日本語で指示するだけで動く点は、試し始めのハードルがかなり低くなるように感じました。
実装してみたいアイデア
調べていて「これ作れそう」と思ったアイデアをいくつかメモしました。
1. スキンケア記録アプリ
毎日の肌写真を撮って送ると、毛穴・シミ・くすみのスコアを記録・グラフ化してくれるアプリ。「最近の睡眠不足が肌に出てるな」みたいな振り返りができると面白い。
定期撮影 → 肌分析API → スコアをDB保存 → 折れ線グラフで可視化
2. メイクレシピ共有サービス
メイクの仕上がり画像とメイク設定(口紅の色、アイシャドウの種類)をセットで投稿・共有できるサービス。YouCam APIでそのメイクを別の顔に再現できれば「このメイク、自分に合うかな?」を確認しながら探せる。
投稿されたメイクパラメータ → 自分の顔写真に適用 → バーチャル試着
3. ヘアカラーシミュレーター
「この服に合うヘアカラーは?」という問いに答えるツール。服装の画像から色を抽出して、相性の良いヘアカラーをYouCam APIで試着させる。
服の色抽出(カラーパレット) → ヘアカラーAPI で複数色を試着 → 比較表示
4. EC サイトの「顔に合う商品」レコメンド
化粧品ECに組み込んで、顔型・肌色診断の結果をもとに「あなたの顔型にはこのリップ形状が似合います」というレコメンドを出す。
感想
調べてみると、美容・ファッション特化のAI APIという珍しいポジションを持ったサービスだと分かりました。汎用の画像認識AIで同じことをやろうとすると、顔ランドマーク検出・メイクのマスク生成・色合成など多くのパーツを自分で組み合わせる必要があります。それをAPIひとつで解決できるのは開発コストの面でかなり助かりそうです。
一方で、クレジット消費型の課金なのでトラフィックが読めないサービスでのコスト試算は事前にしっかりやっておく必要があります。
次は実際にAPIキーを取得して、肌分析を動かすところまでやってみたいと思います。
参考リンク
この記事はZennでも公開しています。