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エンジニアが中小企業診断士を勉強してみた

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Last updated at Posted at 2025-11-06

 育休中に中小企業診断士を勉強を始めました。現在2次試験の結果待ちです。記憶力が弱くてすぐ忘れてしまうので、備忘録も兼ねて記します

  1. どんな資格なのか?
     一言でいうと、「コンサルのための国家資格」です。弁護士に代表される10大士業の一つにもなってます。内容としては経営から会計や法務、経済学など、幅広い知識を浅く広く習得することができ、その広さはMBA(経営学修士)に匹敵するそうです。
     習得すると、中小企業の経営陣に対して、現在の経営課題や今後の経営戦略について助言することができるようになります。ただし独占業務ではないため、資格をとっただけで年収が高くなる!という資格ではありません。
     昔はざっくり銀行系の人や営業さんが出世のために取っていたのですが、最近ではエンジニア属性の受験者が1番多いらしいです。

  2. なぜ目指すのか?
     7年ほど、アプリを作ったりデータ解析したり、難関資格を取ったりと、楽しくエンジニアをしていましたが、生成AIが出てきて色々と知識が陳腐化したことに気づきました。
     プログラミングの技術どころかネットワークやクラウドの構成、要件定義とテスト計画、ドキュメント作成の分野でもAIに負けてることを自覚してます。自分が勝てる分野があるとすればおそらく「責任感」くらいですね。
     というわけで、IT以外の分野の知識が欲しいと思いました。個人的にはITなんてゲームでいうところのバフみたいなもので、IT以外の専門職と組んでナンボの世界だと思ってます。
    あわよくば「あなたの会社の売上を1億円ほど伸ばすので、私の会社に2000万円ほど投資してください」みたいなことを言えるようになりたいなと思いました。そこでお金のリテラシーを身につけようと簿記2級をとってみたのですが、何かができるようになったという実感がなく物足りなかったので、中小企業診断士に興味を持ちました。

    さらにあわよくば、診断士として登録されると公的機関を通じて中小企業と繋がりができるので、そこでIT系の要件をまとめて「あとは上司がなんとかします」と言って自社に持ち帰れば、弊社の売上も上がっていい感じなのでは?と思いました。(まあそんなにうまくいかないのは了承済みです)

    勉強方法はまた別に書きますが、勉強はほぼスマホで完結できるのも、受験を決めた理由の一つです。PCや参考書を開かなくてよかったので、育休中でもできました。抱っこ中の暇潰しにちょうどよかったです。

3. 科目紹介
1次試験と2次試験に別れています。一次試験は7科目あり、択一式です。2日にわたって実施します。1次に受かったら2次試験です。こちらは筆記試験で、1次で学んだ理論を実際に応用できるか構成力や文章力が問われます。
一次試験はどの科目もやってて面白かったです。簡単に紹介します。

A. 経済学
マクロとミクロ経済学を学びます。と言ってもなんのこと?って感じですが、ある人が「学ぶと政府がやってる補助金などが理論的に意味があることなんだとわかる」と言っててしっくりきました。世の中のお金の動き、銀行や企業の動き、政府の補助金や政策、その元になる理論が学べます。まあ物理学の「ただし空気の摩擦などは考えないものとする」と同じで、どこまで現実にあってるかはよくわからないですが、教養として学んでとても面白かったです。

B. 財務会計
個人的に1番よかったです。目標であるコスト計算を考えられるようになりました。
今まで現場の人が楽になるように、という目線で作るシステムを考えていたのですが、そこに経営者目線でいくら儲かるのか?を考えて、どこからその数値を引っ張ればいいのかわかるようになりました。

C. 企業経営理論
財務会計や運営管理と合わせて、メインとなる科目です。この3科目の知識を使って2次試験にのぞみます。
この科目では企業がどんな戦略を取るべきなのか、その分析手法とフレームワークを学びます。そしてそれに合わせた組織や人事についてと、マーケティングについての理論も学びます。IPAの知識問題とも範囲が一部かぶっているので、取り組みやすかったです。
1次だけだと理論だけで退屈ですが、2次試験では実際に会社に対して助言する問題も出てくるので、現実に即しておりかなり面白いです。

D. 運営管理
 こちらは主に現場での生産力向上がメインになると思います。経営理論がどんな物を売るのかを考える戦略面ならば、この科目は実際に消費者に届けるまでの品質・コスト・納期を考える戦術面の科目だと思いました。
 工場での生産から、お店を作って流通させるまで、幅広い知識を学びます。業種が製造業、卸業、小売業に偏ってる気はしますが、面白かったです。

 E. 経営法務
会社法と知的財産権が2/3くらい。あとはビジネスに即した民法や商法をさらっと学びます。ガッツリというよりは、基本をさらっと身につけて専門家とある程度話せるようにするって感じです。
会社法では取締役など基本の役職、株式や総会など、会社の成り立ちについて学びます。中小企業の現在のトレンドとして世代交代がキーワードなので、それに対応できるようにという意図を感じました。
知的財産権では特許をはじめとした権利関係の基本を学びます。知的財産権の延長上にちょろっと海外展開の話もあり、参考になりました。
あとは法改正などの時事問題ですね。最近だと労働時間規制などで変わる業界事情など、教養として面白かったです。

F. 情報システム
経営に必要な情報の基本です。応用情報を持ってたので免除しました。

G. 中小企業白書・中小企業政策
前半の白書では最近の中小企業の動向を統計データをみて概要を暗記します。「近年では建設業が付加価値が高い」「外国人労働者は全体の3%を占める」みたいな内容です。合格した後一瞬で忘れました。
後半の政策は、補助金についてです。政府がどういう意図でどんな補助金を用意しているのか一通り暗記します。こちらも合格後一瞬で忘れました。

続いて2次試験です。実際に似せた事例を読み、中小企業診断士としてどう助言するかを考えます。その会社の強みと弱みを分析し、どんな施策を取れば売上向上や顧客満足度向上、組織活性化、コスト削減につながるのかを考えていきます。一見自分の考えを書きがちですが、一次で学んだ理論を現実に落とし込んで記述できるかが求められます。実質暗記とその応用です。
診断士の先輩によると、実際の実務と試験の事例の問題点はほぼ同じだそうです。「あ、これは2次試験でやったやつ!」をそのまま使えるとのこと。

A. 事例Ⅰ
組織と人事に焦点を当てて助言を考えます。どんな人を採用して何を教育するのか。トップは誰で、どんな組織と権限を持たせるのか。後継者育成をどうするのか。イノベーションを起こすための体制作りや社内文化の変え方などなど。ちゃんと理論があってそれぞれメリデメがあるので、事例の会社にはどれが最適かを考えます。

B. 事例Ⅱ
主にマーケティング、プロモーションからどう売上を上げるか、助言を考えます。
潜在顧客の見つけ方、ニーズの調査、製品開発、値段の決め方戦略、製品の単価アップ、リピート率の上げ方などなど。
DXで売上を伸ばす事例もあり、ITエンジニアとして参考になりました。勉強の合間にネタ不足のままITストラテジストを受けて、論文がB判定で不合格だったのですが、先に事例Ⅱの勉強をしていればネタとして書けたかもしれません。

C. 事例Ⅲ
主に製造業でどうやってコスト削減をするかを考えていきます。1次の運営管理で色々と理論を学びましたが、その応用です。
中小企業ですとIT化が進んでいない企業も多く、ITエンジニアの営業として、「なぜITシステムを入れる必要があるのか」という説明を言語化してくれます。
「御社には◯◯という課題があって、××という状態があるべき姿ですよね。そのためにこの△△システムを導入しましょう。お手伝いします」みたいなことが言えるようになります。
IT化以外にも製造業であるあるな課題の解決理論などが学べます。面白かったです。

D. 事例Ⅳ
主に財務諸表やキャッシュフロー、商品の売上など、数字をみながら、施策が効果的か、投資するべきかを判断します。
財務諸表を見ると、儲かってる会社なのか、商品が売れてない会社なのか、倒産しそうな会社なのかがわかります。財務諸表は株式会社なら公表の義務があるので、知らない会社でも優良かどうかを判定することができます。
また、「この商品は一見赤字ですが、生産を止めるとさらに損失が増えるので、生産を続ける方向でいきましょう」などを言えるようになります。

  1. 中小企業診断士の将来性
    ぶっちゃけると診断士の勉強をしても、AIも同じことができるので無駄といえば無駄かもしれません。(実際AIに二次試験解かせて参考にしている人も沢山います。)
    経営をやる中で最低限の知識を学んだ感覚なので、実際10年単位で経営している経営者の方には経験・知識で勝てないと思います。実際に業務で「あなたの会社はここが強いけれど、ここが弱いですね。こういう方向の戦略でどうですか?」と言っても、「そんなことはもうすでにわかってる。」で終わりそうな予感がしますね。
    重宝される診断士がいるとすれば「知り合いの会社を紹介しますので販路拡大を狙いましょう」「特許取得のお手伝いができます」「構想しているITシステム、ウチで作りますよ」みたいな、それぞれの専門知識を持たないと厳しい感想を持ちました。
    逆に言うと、最初からITエンジニアとしての専門性が高ければ、普段の業務で経営者に提案する時、トンチンカンな回答をする確率が減って、より説得力がます提案をできるようになるんじゃないかと思います。最初の目標である「あなたの会社の売上を1億円伸ばします」を必ず言えるかは微妙ですが、可能性は広がりました。

    ここからは蛇足になりますが、診断士の幅広い勉強をやってると大学時代のポケモンを思い出しました。
    周りがやってるからという理由で始めてみましたが、まず当時のポケモンの名前600種を覚えたりタイプ相性を使いこなすところからハードルが高い。しかし地道にやっていけば、確実に強くなり、さらに周りのガチ勢達の話がとても面白くなりました。道具を持たせてタイプ相性や技を決める戦略面から、エクセルでどのポケモンを使えば相手を何ターンで倒せるか10以上の変数を入れて計算するなどの戦術面。単純にかけた時間。

    教養ってこういうことか!と理解しました。自分が強くなって、その辺の小学生がもつ伝説のポケモンを、コラッタみたいなありふれたポケモンでワンパンで倒すのもそれはそれで楽しいのですが、それよりも専門知識を浅く広く身につけてガチ勢達の話を聞いたり掲示板をみてる方が楽しかったです。でもそのためには600種の名前やタイプを覚えたり、定石となる技構成などの戦略を学んだり、自分でも時間をかけてたまご孵化マラソンとかして基礎固めをしないといけないわけで。

    診断士も同じです。広く浅い知識を身につけたので、他分野のガチ勢達の話がわかるようになって、人生が楽しくなるんじゃないかと期待してます。何かを学ぶ理由なんてそれだけで十分かと。

    結論:エンジニアが中小企業診断士の勉強するのはとてもいいと思います。

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