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OCI Secure Desktops の使用体験

Last updated at Posted at 2023-07-05

初めに
2023年6月27日、OCI Secure Desktopsという新サービスがリリースされました。ずっと前から期待していたサービスなので、さっそく体験してみました。

このサービスの特徴は、エンドユーザに安全なデスクトップ接続を提供できることです。特に多数のエンドユーザの同時接続という利用場面に向きます。
image.png

相当なサービス

クラウド・プロバイダー OCI AWS Azure
サービス名 OCI Secure Desktops Amazon Workspaces Azure Virtual Desktop

サポート対象イメージ (2023/07/05時点)
Oracle Linux 7, 8
Windows 10, 11

これから、"Oracle Linux 8"を例にして、設定と接続方法の詳細を紹介します。この記事の最後には感想がいくつかありますが、あくまで個人的な意見であり、一応ご参考まで。

ステップ

※、
STEP-1、2と4は、デスクトップの管理者のタスクです。
STEP-3は、デスクトップ利用者(エンドユーザ)のタスクです。

1. 事前準備

1-1. 利用可否の確認

今現在(2023年7月)では、、このサービスは東京リージョンで利用可能ですが、大阪リージョンではまだです。なお、デスクトップ・プールを作成する前、サービス制限の画面で、"Desktop Pool Count"の使用可能の数を確認しておいてください。
image.png

1-2. IAMリソースの作成

リソース・タイプ 名前 コメント
コンパートメント Secure_Desktop デスクトップ・プールの場所
(この例では、root/PoCの下に)
動的グループ DesktopPool_DG
グループ Desktop_Admins デスクトップ管理者を入れる
Desktop_Users デスクトップ利用者を入れる
ポリシー DesktopPool_Service_Policy_1 サービス用(テナンシ・レベル)
DesktopPool_Service_Policy_2 サービス用(コンパートメント・レベル)
DesktopPool_Admin_Policy 管理者用(コンパートメント・レベル)
DesktopPool_User_Policy 利用者用(コンパートメント・レベル)

動的グループ (DesktopPool_DG)
マッチング・ルール:
All {resource.type = 'desktoppool', resource.compartment.id = '<Compartment_OCID>'}

ポリシー (rootコンパートメントの下に)
名前:DesktopPool_Service_Policy_1
ステートメント:

Allow dynamic-group DesktopPool_DG to {DOMAIN_INSPECT} in tenancy 
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to inspect users in tenancy 
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to inspect compartments in tenancy
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to use tag-namespaces in tenancy

名前:DesktopPool_Service_Policy_2 (roo/Pocの下に)
ステートメント:

Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage virtual-network-family in compartment Secure_Desktop

Allow dynamic-group DesktopPool_DG to read instance-images in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage instance-family in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage volume-family in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage dedicated-vm-hosts in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage orm-family in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to {VNIC_CREATE, VNIC_DELETE} in compartment Secure_Desktop
Allow dynamic-group DesktopPool_DG to manage instance-configurations in compartment Secure_Desktop

名前:DesktopPool_Admin_Policy (root/Pocの下に)

Allow group Desktop_Admins to manage desktop-pool-family in compartment Secure_Desktop
Allow group Desktop_Admins to read all-resources in compartment Secure_Desktop
Allow group Desktop_Admins to use virtual-network-family in compartment Secure_Desktop
Allow group Desktop_Admins to use instance-images in compartment Secure_Desktop

名前:DesktopPool_User_Policy (root/Pocの下に)

Allow group DesktopPool_User_Policy to use published-desktop in compartment Secure_Desktop

1-3. ネットワーク・リソースの作成

リソース・タイプ 項目 コメント
VCN CIDR 10.0.0.0/16
サブネット CIDR 10.0.0.0/24 この例ではプライベートを使っているが、パブリックでもよい
サービスGW サービス "All Region-ID Services in Oracle Service Network"
NAT GW デスクトップから、インターネットに接続したい時
ルート表
(サブネットに付ける)
ルール ターゲット・タイプ: サービス・ゲートウェイ
宛先サービス: "All Region-ID Services in Oracle Service Network"
ルール ターゲット・タイプ: NAT GW
宛先 CIDR: 0.0.0.0/0
セキュリティ・リスト
(サブネットに付ける)
Ingress 設定しなくてもよい エンドユーザのCIDRの許可は不要
Egress 0.0.0.0/0, TCP All デスクトップから、インターネットに接続したい時

1-4. カスタム・イメージの作成

この例では、オフィシャルのOracle Linux 8のイメージを利用します。

次のように、イメージをインポートします。

  • OS: Oracle Linuxを選択
  • オブジェクト・ストレージ URL: オフィシャルのイメージURLを貼り付ける(ここからコピーできる)
  • イメージ・タイプ: OCIを選択
    image.png

インポート完了までしばらくお待ちください(この例では、Availableになるまで、十数分間かかりました)。完了後は、次のように確認できます。
image.png

1-5. カスタム・イメージにタグを付ける

カスタム・イメージができたら、専用のタグを付けてください。タグをつけないと、次のステップでプールを作成しようとする時、イメージが見つからないので、ご注意ください。
image.png

タグは3個があります。

タグ名
oci:desktops:is_desktop_image true
oci:desktops:image_version 例:"1.0"
oci:desktops:image_os_type "Oracle Linux" or "Windows"


追加後、次のように確認できます。
image.png

2. セキュア・デスクトップ・プールの作成

Computeの下に、「Secure Desktops」が追加されましたので、そこからお入りください。
image.png

「デスクトップ・プールの作成」をクリックします。
image.png

入力項目は多くて、この例では必須のみを入力します。ほとんどはデフォルトのままにします。

  • 名前と説明:適当に入力する。
  • プール・サイズの最大値は要注意です。上記のサービス制限により、一個のデスクトップ・プールにあるデスクトップの数は、10個以上は必要です。デフォルトの「1」のままで通らないです。
  • スタンドバイ・サイズ:デフォルトのまま「1」にする。そうなると、デスクトップ・プールが作成された直後、一個のスタンドバイ・デスクトップが自動に作成されるという意味。
  • イメージ:リストからインポートしたイメージを選択する(専用のタブをつけないと、リストに表示されない)。
  • シェイプ:リストから各種のシェイプを選択できる。
  • VCNとサブネットを選択する(パブリックかプライベートのどちらでもOK)
  • 起動・停止のスケジュールも指定できる(この例では、スケジュールなしにする)。

上記の入力内容で作成を開始します。完了までしばらくお待ちください(この例では、ACTIVEになるまで、数分間ぐらいかかりました)。
image.png
デスクトップ・プールができたら、スタンドバイ・デスクトップの作成が自動に開始されます。作成後、次のように確認できます(Ownerはハイフン)。
image.png
※、この時点で、新しいComputeインスタンス1個が一覧から見えます。

ここまで、管理者の設定作業は完了です。利用者から接続可能の状態になります。

3. デスクトップへの接続

3-1. セキュア・デスクトップ・インターフェースへのログイン

デスクトップの管理者がエンドユーザを利用者グループに入れたら、次のようなアクセスURLをエンドユーザに提供します。

東京リージョンの例:https://published.desktops.ap-tokyo-1.oci.oraclecloud.com/client

エンドユーザが、テナンシ、ユーザー名とパスワードを入力してログインします。
OCIコンソールのログイン画面に似ていますが、ログイン先が異なります。

インターフェースに入ったら、作成されたデスクトップが表示されます。
image.png

デスクトップへの接続は、2つ方法があります。これから両方を紹介します。

3-2. Webブラウザを利用する場合

デフォルトは、Webブラウザを利用しますので、デスクトップのリンクをクリックします。
image.png

デスクトップ(Computeインスタンス)を準備していますので、しばらくお待ちください。
image.png

Webブラウザに1個新しいタブが開かれて、ロード処理の画面が表示されます。もう少しお待ちください。

※、自分の検証結果により、デスクトップ・プール新規作成後、ブラウザで初回目の接続をした時、以下のメッセージが必ず表示されます。何かエラーがあったと思っていましたが、もう一回デスクトップのリンクをクリックしたら、無事に接続できました。

接続後、次のようにOracle Linuxのデスクトップが表示されます。ここまで、接続はもう完了で通常に使えます。
image.png

※、デスクトップ管理者へ
Computeインスタンスの一覧画面に、エンドユーザ・デスクトップ用のインスタンスが一個増えます。つまり、スタンドバイ用のインスタンスを含め、2個の新インスタンスが見えます。

3-3. Oracle Secure Global Desktop Clientを利用する場合

クライアント・ツールのダウンロード
左側の「Downloads」をクリックし、クライアントのOSにより選択してください。
image.png
この例では、Windows Clientを選択します。

クライアント・ツールのインストール
ダウンロードしたファイル名は、sgdcwin.msiです。ダブルクリックしてインストールを開始します。

インストール完了後は以下となります。

※、ローカルのクライアントから、直接に起動することではなく、セキュア・デスクトップ・インターフェースに入って、ブラウザより「Oracle Secure Global Desktop Client」を起動しますので、ご注意ください。

優先クライアントの設定
左側の「Preferences」をクリックし、「インストール済クライアント (Installed Client)」を選択してください。
image.png

クライアント・ツールの起動
左上の「Desktops」に戻り、デスクトップのリンクをクリックします。
image.png

ローカルのデスクトップの左上、次の画面が表示されます。すぐ消えますので、特に動作しなくてもよいです。

次の画面が表示されたら、Yesで進んでください。

クライアント・ツールの場合、次のように共有対象の指定ができます。デフォルトは全部チックなしですが、必要に応じて選択してください。

接続後のイメージは以下のようです。外観はほぼ同じですが、Webブラウザと異なり、左側のメニューがないです。
image.png

※、あるエンドユーザが、Webブラウザで初回接続をした時、"The Application Disconnected"というメッセージが表示されます。もしこのユーザーの初回接続は、クライアント・ツールを使う場合、例のメッセージがないけど、ツールが反応しないという現象を確認しました。Webブラウザと同様で、2回目よりOKです。

4. デスクトップの管理

  • デスクトップ管理者は、OCIコンソールを使って、デスクトップの起動・停止・編集・削除などの管理作業ができる。注意していただきたいのは、Computeインスタンスを直接に操作せず、デスクトップの画面から実施してください。
    image.png
    ドキュメントの記載を抜粋: "Always use the Secure Desktops service to stop and delete desktops. Do not delete the underlying compute instance directly."

  • セキュア・デスクトップ・プールを停止(INACTIVE)すると、その下の全デスクトップ(スタンドバイを含め)は停止になる。
    image.png

  • 管理者がデスクトップの一覧から、デスクトップごとの管理(起動・停止・削除)ができる。次の画面は停止の例であり、停止後の状態は、"Inactive"となる。次回、エンドユーザがデスクトップに接続する時、デスクトップが自動に起動される(起動時間は必要で、クライアントからの接続時間は通常より少長くなる)。
    image.png

  • スタンドバイのデスクトップ(Ownerはハイフンの行)を直接に削除しないでください。削除しても自動に作成される。スタンドバイ・デスクトップの数を増減したい時、デスクトップ・プールの編集機能を利用してください。

トラブル・シューティング

自分が経験したエラーと当時の対応方法です。ご参考まで。

イメージが選べない

  • 現象:セキュア・デスクトップ・プールの作成画面に、イメージが選べるない

    可能な原因:カスタム・イメージにタグを付けていない、或いはタグの内容は不正。
    対策:正しいタグを付ける(STEP 1-5をご参照ください)。

プールの最大サイズの入力チェック

  • 現象:セキュア・デスクトップ・プールを作成しようとする時、以下のエラーが起きた。
    image.png
    原因:サービス制限のドキュメントにより、一つのプールにあるデスクトップ数は、10個以上の設定は必要であるが、プールの作成入力画面に、デフォルト値は1となっている。

    対策:プールの最大サーズ(Maximum size)を修正する(1→10)。

イメージ・シェイプのリソースが足りない

  • 現象:セキュア・デスクトップ・プールを作成しようとする時、以下のエラーが起きた。
    エラーメッセージ:Some fields have errors. Complete all required fields correctly, and then resubmit.
    可能な原因:選択したシェイプのリソースが一時的に足りない。
    対策:他シェイプを選択するか、しばらくお待ってからもう一度作成する。

個人的な感想

  • 待望のサービスがついにできたという感じで、全体として期待を応えていると思う(細かい部分では改善の余地があり)。
  • 初回接続時間は少しかかるが(インスタンスの準備)、接続後、特にレイテンシがなくスムーズに使える。リモートの感覚がない。
  • 価格面はメリットがある(サービス自体は安くて、Computeインスタンスとストレージは別料金)
  • デスクトップの管理者にとって、事前準備とプールの作成作業はやや複雑で、この記事の半分を占める。初めての方には設定の時間がかかりそう。
  • 現在サポートしているイメージの種類は、まだ少ないで、これから種類の増加を期待している。

以上です。


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オフィシャル・リンク
※、ドキュメントは、今現在(2023/7/5)英語版しかないで、日本版を読みたい方は少しお待ちください。

Official Announcement (英語)
ドキュメント・ポータル
Setting Up the Tenancy
Supported Images (Oracle Linux 7, 8のカスタム・イメージURL)
Providing Access to Users (エンドユーザのアクセス用URL)

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