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OCIテナンシを跨いでプライベート・インスタンスに接続する (Part 2 - DRGの利用)

Last updated at Posted at 2023-05-23

本ブログは、オラクル・クラウドの個人シリーズ・ブログの1つです。

初めに

ISV様(SaaS提供者)と各エンドユーザ様のOCI環境は、コンパートメント単位ではなく、テナンシで分けるケースがよくあります。この場合、ISV様の管理者から、インターネットを経由せず、エンドユーザ様のプライベート・インスタンスにアクセスしたいのは、一般的な要件です。

やり方は、いろいろありますので、4回連載で接続方法を紹介したいと思います。

  • Part 1: LPG(ローカル・ピアリング・ゲートウェイ)の利用
  • Part 2 (本文): DRG(動的ルーティング・ゲートウェイ)アタッチメントの利用
  • Part 3: DRG RPC(リモート・ピアリング接続)でリージョン間の接続
  • Part 4: 各方法の差異比較

構成図
image.png

検証環境
Computeインスタンス (Linux 8 VM)

※、VMを例にして紹介しますが、この方法は、プライベート・サブネット内のOracle Base DB或いはADBへの接続にも適用します。

制限事項

  • 接続元と接続先のVCNのCIDRブログは、重複しないこと。
  • DRGアタッチメントを利用する場合、接続元と接続先のVCNは、同一のリージョン内にあること。
  • リージョンごと、最大5個のDRGが作れるというサービス制限がある(ソフトリミット)。
  • 1個のDRGを複数のVCNにアタッチするのに、レガシーDRGではなく、DRGv2(アップグレードされたDRG)は必要である。

※、テナンシ間、リージョン間で接続したい場合、DRGリモート・ピアリングの方法で実現できます。

接続方法

1. 事前準備

1-1. IAMリソースの作成

テナンシ リソース・タイプ 名前 コメント
ISV コンパートメント Compt-ISV 接続元(Requestor)
ISV ユーザー ISV-Admin ISV様の管理者
ISV グループ ISV-Admin-Grp ISV様の管理者を入れる
User-A コンパートメント Compt-User-A 接続先(Acceptor)
User-A ユーザー User-A-Admin エンドユーザ様の管理者
User-A グループ User-A-Admin-Grp エンドユーザ様の管理者を入れる

1-2. ポリシーの作成

テナンシ ポリシー名 コメント
ISV Policy-DRG-ISV rootコンパートメントの下に作成
User-A Policy-DRG-User-A rootコンパートメントの下に作成

ポリシーの詳細
ポリシー名:Policy-DRG-ISV
設定箇所:接続元(Requestor)のテナンシ (ISV様より作成)
ステートメント:

define tenancy User-A as <OCID_of_Tenancy_User-A>
define group User-A-Admin-Grp as <OCID_of_User-A-Admin-Grp>
endorse group ISV-Admin-Grp to manage drg-attachment in tenancy User-A
admit group User-A-Admin-Grp of tenancy User-A to manage drg in tenancy 

ポリシー名:Policy-DRG-User-A
設定箇所:接続先(Acceptor)のテナンシ (エンドユーザ様より作成)
ステートメント:

define tenancy ISV as <OCID_of_Tenancy_ISV>
define group ISV-Admin-Grp as <OCID_of_ISV-Admin-Grp>
admit group ISV-Admin-Grp of tenancy ISV to manage drg-attachment in tenancy
endorse group User-A-Admin-Grp to manage drg in tenancy ISV

1-3. ネットワーキング・リソースの作成

テナンシ リージョン リソース・タイプ 名前 コメント
ISV Tokyo VCN VCN-ISV 10.0.0.0/16
Private Subnet Private Subnet ISV 10.0.0.0/24
User-A Tokyo
(同リージョン)
VCN VCN-User-A 192.168.0.0/16
Private Subnet Private Subnet User-A 192.168.0.0/24

2. テナンシ間、リージョン内のプライベート接続

2-1. DRGの作成 (ISV側のみ)

ISV様のテナンシに、1個のDRGを作成します。エンドユーザ側には作成不要です。
image.png

作成後、DRGのOCIDをコピーします。
image.png

2-2. DRGアタッチメントの作成

ISV様とエンドユーザ様のVCNに、それぞれのDRGアタッチメントを作成します。

ISV側
ネットワーキング → 仮想クラウド・ネットワーク → 仮想クラウド・ネットワークの詳細 → 「DRGアタッチメントの作成」をクリック

デフォルトの「現在のテナンシ」を指定します。一覧から作成したDRG-ISVを選択し、アタッチメントを作成します。
image.png
作成後の状態:
Cross-Tenancy: No
image.png

エンドユーザ側
次のようにDRGアタッチメントを作成します(画面の入口は上記と同じ)。
image.png
別のテナンシ」を指定します。コピーしたDRG-ISVのOCIDを入力し、アタッチメントを作成します。

作成後の状態:
Cross-Tenancy: Yes
image.png

2-3. ルート表とセキュリティ・リスト(or NSG)の設定

テナンシ タイプ 項目 コメント
ISV ルート表 ルール ターゲット: DRG-ISV
宛先: 192.168.0.0/24
ISV側のサブネットに紐づけ
SL or NSG Ingress ソース側のIP, TCP 22 ISV側のサブネット或いはVMに紐づけ
Egress オール・ゼロ、或いは192.168.0.0/24 TCP 22
User-A ルート表 ルール ターゲット: DRG-ISV
宛先: 10.0.0.0/24
エンドユーザ側のサブネットに紐づけ
SL or NSG Ingress 10.0.0.0/24 TCP 22 エンドユーザ側のサブネット或いはVMに紐づけ

2-4. 相手のVMにSSH接続してみる

コマンド: ssh <VM_Private_IP> (事前にプライベート・キーを用意しておく)

[opc@linux-isv ~]$ pwd
/home/opc
[opc@linux-isv ~]$ ll .ssh/id_rsa
-r--------. 1 opc opc 1819 May 18 07:25 .ssh/id_rsa
[opc@linux-isv ~]$ ssh 192.168.0.74
Activate the web console with: systemctl enable --now cockpit.socket

Last login: Thu May 18 12:54:13 2023 from 10.0.0.230
[opc@linux-user-a ~]$

サマリー
ここまで、DRGアタッチメントで、異なるテナンシのVMに接続できましたが、同一リージョン内の接続という制限事項があります。この問題を解決するため、次回は、DRGリモート・ピアリングの方法を紹介したいと思います。

以上です。


関連記事
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OCIテナンシを跨いでプライベート・インスタンスに接続する (Part 1 - LPGの利用)
OCIテナンシを跨いでプライベート・インスタンスに接続する (Part 3 - リージョン間)
OCIテナンシを跨いでプライベート・インスタンスに接続する (Part 4 - 差異比較)


オフィシャル・リンク
DRGピアリングに関連するIAMポリシー
Cross-Tenancy VCN peering using DRG Attachment (英語)
Configure cross-region private connectivity between tenancies (英語)

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