AI にフライト検索を任せると、毎ステップでスクリーンショットを撮っては読み直し、ボタンを一つ間違えるとやり直しになります。jev-ultrafast v0.1.0(Browser Use、2026 年 9 月公開)は、この既定のループを変えます。スクリーンショットを使わず、ページの見えるコントロールを番号付きリストにして、判定モデルに操作と対象を一括選択させる方式です。本稿の数値は公式リポジトリと TypeSafe ドキュメントで確認しました(2026-10-02 時点、筆者の実測ではありません)。
検証:2 つのチャットで表現形式を比較する
まずローカル環境なしで核心を確認できます。ログイン情報のないページのスクリーンショットを用意し、同じ質問を 2 つのセッションに投げます。
- スクリーンショットのみを渡し、「次に操作すべきコントロールはどれか」と尋ねる。回答が指す要素が実在するかを確認する。
- 同じページを次の形式で渡す:
[1] button Trip type · Round trip
[2] combobox From · empty
[3] textbox Departure date · empty
[4] button Search
Question: change the trip to one-way. Answer with the number and the operation only.
番号リスト版は人間が検証しやすく、モデルが実在しない選択肢を生成しにくくなります。ポイントは:ブラウザエージェントはページ状態を検査可能な選択肢として列挙し、その上でモデルに操作と対象を選ばせる。
jev-ultrafast の動作概要
- ページ観察ごとに、表示中の主要 HTML/ARIA コントロールを番号付き要素表にする。操作は CLICK / TYPE_TEXT / SELECT / SCROLL_UP / SCROLL_DOWN / WAIT / DONE / BLOCKED の 8 種で、各操作の候補には互換要素のみが入る。
- 要素表を TypeSafe の Jev(System One 判定モデル)に送り、1 回の往復で操作と対象を取得。候補の確率と confidence も返る。
- テキスト生成は TYPE_TEXT のときだけ。既定のデモは OpenRouter 経由の inception/mercury-2.5(推論オフ)で、録画では「Zurich」の生成に 581 ms。
- 実行層がページの新鮮さ・対象・遮蔽を実行前に再検証。モデル出力はセレクタ・座標・コマンド・JavaScript にならず、画面外のテキストはコンテキストに送られない。
計測データと読み取りの境界
- Google Flights の録画タスクは 7.073 秒。計測は初回ページ観察の後からで、モデル呼び出し・テキスト生成・ブラウザ操作・無効化された判断・読み込み待ちを含み、ブラウザ起動・初期ナビゲーション・実行後の独立検証は含まない。Jev リクエスト 17 回、中央値レイテンシ 178 ms。
- 同一タスクの 6 回交互実行比較:中央値 9.450 秒 → 7.092 秒(25% 短縮)、TypeSafe リクエスト 22 → 17、ブラウザプロトコル呼び出し 1,092 → 101。公式の但し書き:3 ペアでは強い統計的主張は不可能(sign-test p = 0.25)で、一般的ベンチマークではない。
- Wikipedia 記事オープン 2.798 秒、ローカルホテル検索 1.896 秒は独立スモークテストで、速度比較には含まれない。
- コスト:Jev 1.13 は入力 100 万トークンあたり 0.042 ドル・出力無料(公式モデルページ)。録画の 90,558 入力トークンは概算 0.0038 ドル、テキスト 2 回の実請求 0.00006272 ドルと合計で約 0.0039 ドル。公開単価による概算で、ブラウザコストは含まない。
導入前に保留すべきこと
- インストールと 2 つの API キー(TypeSafe / OpenRouter)の設定は急がない。まずチャット 2 本の検証を。
- frames・Canvas・アップロード・新規タブ・任意のキーボードウィジェットは本バージョン非対応。
- DONE は成功の証拠ではない。公式サンプルも実行後に結果を独立検証する。Chrome の既存プロファイルとログイン状態を共有するため、ログイン・注文・支払いは人間が行う。
- 7 秒を一般の性能保証と読まない。1 シナリオ 1 録画の結果である。
