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[SAP] S/4HANA 2020 環境構築のためにPAMとノートを確認してみよう

Last updated at Posted at 2020-12-12

はじめに

この記事は SAP Advent Calendar 2020 の12月12日分の記事として執筆しています。
ベーシス向けのブログ記事って玄人向けの記事が多いのですが、新人・若手の方々向けに取っ掛かりになるような情報を増やしていきたいという思いがあります。今回はその方向に寄せた内容です。

この記事で書かれていること

タイトルの通り、SAP S/4HANA 2020を構築するにあたり、PAMと関連ノートを読んでみようということです。
ただ、ノートの内容を記載しても内容は更新されるものなので、そこまではあまり触れません。
この記事では下記4点を記載しています。
・構築にあたり何をどうやって確認するのか?
 (ぶっちゃけタイトル通りPAMとノートなのですが)
・そもそも環境構築に必要なノートをどのように見つけるのか(筆者がどうやってノート検索しているか)?
・検索した結果、最初に読むべきノートは何か?
・テクニカルジョブ(SAP標準ジョブ)のノートについて(ここだけ若手・初心者向けではありません)

対象読者

そろそろS/4HANAの構築にあたり情報を収集しないといけないSAPベーシスだけれども若手・初心者の方々を想定しています。
情報収集って若手や初心者の仕事になりがち。思い起こせば私もそれが学習機会になったので良いことだと思います。けど、調べ方などの取っ掛かりは欲しかった。。。なので今回はそれを書いてみました。
なお、S/4HANAということでHANA DBのOSはLinux。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)か
SUSE Linux Enterprise Server(SLES)で戦う準備が整っていない場合は、こっちも整えに行きましょう。

構築時に何を確認するんだっけ?

最初に確認すべきはOS、言語、クラウド環境のサポート状況です。
オンプレにしたい?社内の仮想環境でやりたい?マシン調達のために数ヶ月も割くほどのメリットがあるのでしょうか?
恐らくわざわざオンプレとしたい理由はあるのでしょうが、ことSAPシステムについてはzOSで動かす要件とか出てこなければクラウドでよいと考えています。
どうしても社内規定が・・・と言っている時間があったら、社内システムのhttps化に時間と費用を回したほうがセキュリティリスクが低減されてよいと思います。
(今年はゼロトラストって言葉が流行りましたね。)

Operating System

S/4HANA構築において、APサーバーとDBサーバーを分けることが一般的です。APサーバーのOSはWindowsにしておくのが一般的でしょう。DBサーバーのOSはRHEL(レル)/SLES(スーレス)の選択ですが日本のIT技術者を鑑みるとRHELに傾くのが普通と思います。結局OSの選択は社内に技術者がどれだけ居るか、市場から幾らくらいで確保できるか?に落ち着きます。
ここでは敢えてSLESで進んでみましょう。下記のイメージです。
S/4HANA AP: Windows Server 2019
S/4HANA DB: SLES 15

Product Availability Matrix

略してPAM(パム)。SAP製品のインストール・稼働がサポートされているOS情報・言語情報・DB情報を一目で確認できるありがたい機能です。
S/4HANA 2020とSAP HANA PLATFORM EDITION 2.0の両方を確認します。S/4HANA 2020はサポートされているWindows、SAP HANA PLATFORM EDITION 2.0はサポートされているSLESのバージョンをそれぞれチェックします。併せてPAMのリンクから注意事項をきっちり確認します。細かな文字のリンクの先に重大な情報が転がっているのがPAMの特徴ですね。。
製品出荷マトリックス(PAM)

PAMを触ったことのない方はS-User IDでPAMにアクセスして、右上の検索窓で「S/4HANA 2020」や「SAP HANA PLATFORM EDITION 2.0」を検索すると上述の製品に関する情報が出てきます。

SAPノート(インストール前)

PAMの方でも少なからずノートが出てくるのですが、襟を正してきちんとノート確認するようにしましょう。ノートの確認するときの姿勢として下の方にある関連ノートをできるかぎりきちんと読むようにすると良いです(たまに関連ノート数が1,000を超えている場合があり、そういうのはさすがに読破を諦めます)。インストール時にエラーに直面した場合、よくよく調べていくと関連ノートに記載があった、ということがしばしば発生します。

S/4HANA 2020のノート

S/4HANA 2020で最初に確認するノートはこちらです。
ちなみにノート検索で「s/4hana 2020 release」と打って見つけ出しています。
2884313 - SAP S/4HANA 2020: Release Information

Release Information Note(RIN)なので、Unicode OnlyだとかSAP KernelはSAP KERNEL 7.81 64-BIT UNICODEだとか、HANA DBの要求事項は何なのかといった最初に確認すべき情報が全部詰まっているノートです。
確認事項は個別ノートで出てくることが多いのですが、それらへのリンクが全部貼ってあるこのノートをルートにして各ノートの確認を進めましょう。
人によっては疎かにしがちなRINですが、メディアをダウンロードしていきなりソフトウェアインストールすることはやめましょう。

HANA 2.0のノート

HANA2.0については、記事の記載時点では下記ノートを確認しておく必要があります。HANA 2.0を構築する際には必ずノート2378962でサポート期限をチェックします。ここさえ間違えなければあとは何とかなります。記載時点ではSPS05が2025年途中までサポートされているバージョンと分かります。
ちなみにノート検索で「hana 2.0 maintenance」と打って見つけています。
2378962 - SAP HANA 2.0 Revision and Maintenance Strategy
2844322 - SAP HANA Platform 2.0 SPS 05 Release Note
2968930 - SAP HANA 2 SPS05 Revision 053.00

HANA 2.0の場合はノート2378962さえ見つければRelease Noteなどすぐに辿り着けるので、インストール時のノートチェックは割と楽です。

SLES 15のノート

HANA DBをインストールするSLESでは下記のノートを確認しておく必要があります。
ちなみにノート検索で「sles recommend」と打って2684254を探し出し、その関連ノートで1275776と2578899を出しています。
1275776 - Linux: Preparing SLES for SAP environments
2578899 - SUSE Linux Enterprise Server 15: Installation Note
2684254 - SAP HANA DB: Recommended OS settings for SLES 15 / SLES for SAP Applications 15

正直ノート2578899は自分でOSをインストールする際に確認することがほとんどなのでクラウドの時代(サーバー調達する際にOSも入っている)では確認する事項も全然無いのですが、今でもずっと更新されているノートであり環境構築時にこのノートを確認しないことが気持ち悪いので毎回見るようにしてます。

Windows 2019のノート

APをインストールするWindowsについては、みなさんお手の物なのですが、そんなWindowsでも念のため確認するようにします。
ちなみにノート検索で「windows server 2019」と打って見つけています。
2751450 - SAP Systems on Windows Server 2019

クラウド環境のサポート

(最初にこの記事を出したときは記載を忘れてましたが)クラウド環境はサポート関連のノートがあります。記載しておきます。
ちなみにノート検索で「aws supported products」といった具合に「supported products」の前に各サービス名を打って見つけています。
AWS:656099 - SAP Applications on AWS: Supported DB/OS and AWS EC2 products
Azure:1928533 - SAP Applications on Azure: Supported Products and Azure VM types
GCP:2456432 - SAP Applications on Google Cloud Platform: Supported Products and Google VM types
Alibaba:2552731 - SAP Applications on Alibaba Cloud: Supported Products and IaaS VM Types

SAPノート(インストール後)

これで終わりというのも味気ないので、これまでSAPシステムにベーシスロールで関わった方向けに少し追加情報をと思いました。
「SM36」と聞けば誰もがSAP標準ジョブを思い出して下さると思いますが、S/4HANAの標準ジョブはSM36ではありません。「SJOBREPO」というトランザクションから設定します。標準ジョブのノートを見てみましょう。
S/4HANA 2020の標準ジョブノートは下記です。
ちなみにノート検索で「sjobrepo s/4hana 2020」と打って見つけています。
2992214 - Jobs in the Technical Job Repository (SJOBREPO) in SAP S/4HANA 2020

ノートタイトルだけで嫌な予感がしている通り、バージョンが変わると標準ジョブの内容が変わります。もはや標準ジョブと呼んで良いのか分からないのでノートタイトルに合わせ「テクニカルジョブ」と呼びますが、具体的には前のバージョンでリリースされたテクニカルジョブに新リリースのジョブが追加されていくイメージです。2020では53個追加され323個となりました。ちょっと何を言っているのか分からないと思いますが、これまでは無かったSAPが提供している他製品との連携用のジョブがかなり含まれています。Data HubやAribaとの連携なんかは目につきますね。他にも昔ながらのAPO、FSCM、LCMといった機能固有のジョブも予め入っています。
そういったたくさんのジョブを管理するための場所として「ジョブリポジトリ」が作られ「SJOBREPO」で呼び出せる形となっています。
ですのでSJOBREPOでは使わないジョブを有効化しないようにします。そのためにノート2992214のジョブを一覧化して要否チェックするのが地味に大変。。。SAPさん、とりあえずノートに直書きするのではなくてExcelかcsvで添付してくれませんかね。

いままでのSAP標準ジョブではなくなりましたよ、ベーシスマターの領域横断依頼タスクが増えましたよ、というお話でした。

なお、テクニカルジョブのノート確認をインストール後としてあるのは訳があって、普通にこれまで見たことないベーシス系の新レポート名(プログラム名)が記載されていたりするので、インストール後でないと何者なのか分からんのです。
2020は凄かったですよ。RSAU系つまりセキュリティ監査ログ周りで8個も新規ジョブがあってビックリ(ベーシスの人は「え?監査ログがなんでこんなに?何してるの?」と驚きます)。もちろんレポート名でノート検索してもノート2992214しか引っかかりません。構築前に確認しようと思ってもお手上げですよね。

おわりに

SAP TECHED 2020の一部のワークショップ・セッションに参加しました。ワークショップで日本人の名前を見かけてニヤニヤしていました。オンラインで無料というところで参加ハードルは超絶低かったですね。リプレイを観れるセッションもあるので、この土日で探してみては?
SAP TECHED 2020
私は寝落ちしてしまったために聞けなかった"ABAP Strategy [DEV200]"のリプレイを観る予定です。

さて今年もSAP Advent Calendarで記事を投稿することができました。
気づいたらもう一年。光陰矢の如しとはよく言ったものですね。
来年も投稿できると嬉しいな。
あと、ブログ投稿頻度を少し上げたい。

それでは!

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