この記事について
AWS の AI-DLC v2 を Claude Code にセットアップしようとしたら、README だけでは分からない小さな落とし穴がいくつかあった。
特に「Bedrock は必須なのか?サブスクじゃダメなのか?」で少し混乱したので記録として残す。
結論を先に:
- Bedrock は同梱設定の初期値であって必須ではない。Claude サブスク(Pro/Max)でも動く
- ただし公式 Quick Start は今のところ Bedrock 前提でしか書かれていないので、サブスクで動かすには
settings.jsonを数行いじる -
中身は AWS 特化が強くなっている。 AWS 以外のクラウドがターゲットなら、より軽量で非依存な
cc-sddの方が向くと思う
対象: macOS / Linux ・ Claude Code 2.1.x ・ aidlc-workflows
v2ブランチ(Windows PowerShell 版コマンドも併記するが筆者未検証)
AI-DLC v2 とは
v2 では初期化 → 発想 → 構想 → 構築 → 運用というソフトウェア開発ライフサイクルを、複数の専門エージェントとステージ(v2 は 5 フェーズ・32 ステージ)で回すフレームワークです。v1 とはかなり変わっているようです。
各ステージには承認ゲートがあり、product / architect / developer / quality など 11 の専門エージェントが担当ステージをリードする。スコープ(poc / mvp / feature / enterprise など 9 種)に応じて実行するステージが自動で間引かれる。
v1(stable / main)と v2(GA Preview / v2 ブランチ)の違い
本記事は v2(プレビュー) が対象です。両者は"別物"と言えるほど設計が違いますね。
v1 は「エージェントに読ませる文書」、v2 は「エージェントを駆動するプログラム」と言うと分かりやすいかもしれません。
v1 では進行管理まで LLM の解釈次第(=ブレうる)だったのに対し、v2 では「今どのステージか・次はどこか・何が承認済みか」をコード側が決定論的に持つのが本質的な違い。
| 観点 | v1(main / stable) |
v2(v2 ブランチ / GA Preview) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 安定版・本番向け | プレビュー・破壊的変更あり |
| 配布形態 |
リリース zip(ai-dlc-rules-v*.zip)をDL、プロジェクト外に展開 |
リポジトリの dist/<harness>/ を配置(bun 前提のネイティブ実装) |
| 中身 |
ルール(Markdown)集(aws-aidlc-rules/ + 詳細ルール)をエージェントに読ませる |
skills / 11 エージェント / hooks / tools のエンジン |
| ワークフロー | 3 フェーズ の Adaptive Workflow | 5 フェーズ・32 ステージ、9 スコープ・3 深度・学習ループ |
| ハーネス | 各種コーディングエージェント(ルール方式なので比較的自由) | Claude Code / Kiro IDE / Kiro CLI / Codex CLI(1 ソースから各ハーネス生成) |
| bun | 不要 | 必須 |
セットアップ手順
1. bun を入れる
hooks・CLI ツール・statusline が全部 bun で動くので必須。
# macOS / Linux
curl -fsSL https://bun.sh/install | bash
source ~/.zshrc # インストーラが ~/.zshrc に PATH を追記する
which bun && bun --version
# Windows PowerShell(未検証)
irm bun.sh/install.ps1 | iex
# 新しい PowerShell を開くと bun が PATH に載る(インストーラがユーザー環境変数へ登録)
bun --version
2. ファイルを配置
README は .claude/ と aidlc/ の 2 つだけコピーする。
# macOS / Linux
git clone --depth 1 --branch v2 https://github.com/awslabs/aidlc-workflows.git
cp -R aidlc-workflows/dist/claude/.claude your-project/.claude
cp -R aidlc-workflows/dist/claude/aidlc your-project/aidlc
# Windows PowerShell(未検証)
git clone --depth 1 --branch v2 https://github.com/awslabs/aidlc-workflows.git
Copy-Item -Recurse aidlc-workflows\dist\claude\.claude your-project\.claude
Copy-Item -Recurse aidlc-workflows\dist\claude\aidlc your-project\aidlc
3. 起動
# macOS / Linux
cd your-project && claude
# Windows PowerShell(未検証)
cd your-project ; claude
Claude Code 内で:
/aidlc --doctor
/aidlc <プロンプト>
学び
① bun の PATH ― 非対話シェルの罠
これは README の Prerequisites にも明記されている要注意点です。README いわく「bun は非対話シェルが見る PATH に必要。
非対話シェルは ~/.zshenv(zsh) / ~/.bashrc(bash) を読む(~/.zshrc ではない)」。
ところが bun インストーラは ~/.zshrc にしか PATH を追記しない。
そのため、README 準拠なら ~/.zshenv にも通しておくのが確実である。
cat >> ~/.zshenv <<'EOF'
export BUN_INSTALL="$HOME/.bun"
export PATH="$BUN_INSTALL/bin:$PATH"
EOF
-
実務的な判定: ターミナルから
claudeを起動すると hooks が起動元シェルの PATH を継承して動く場合もあるが、確実性を取るなら README どおり~/.zshenvに入れておく。もし/aidlc --doctorで「bun が見つからない」と出たら PATH が通っていないことです
② Bedrock は必須じゃない ― サブスクで動かす
同梱の .claude/settings.json は AWS Bedrock 前提で初期設定されている。
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK": "1",
"AWS_REGION": "us-east-1",
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "global.anthropic.claude-opus-4-8[1m]",
// ... 他のモデルも Bedrock ID
},
"model": "opus[1m]",
でも AI-DLC 本体(skills / agents / hooks / tools)はモデルのプロバイダに依存しない。
実際にモデルを呼ぶのは Claude Code 本体で、その認証は「サブスク / API キー / Bedrock / Vertex」から選べる。
なので サブスクで動かすには env を書き換えれば良い。
"env": {
"AWS_AIDLC_DEFAULT_SCOPE": "workshop"
},
"model": "opus",
③ README の cp の落とし穴
- README は
.mcp.json/.gitignoreをコピーしない(無くても動く)。MCP を使いたいときだけ.mcp.jsonを足す
④ quota に注意
サブスクだとレート制限に当たりやすい。AWS がデフォルトを Bedrock(従量課金・セッション上限なし)にしているのは、この重さが理由と思われる。
v2 は AWS 以外のクラウドだとどうか
- アプリ設計〜コード生成までは他クラウドでも使える
- ただしインフラ〜運用のステージは AWS 前提(aws-platform エージェント、AWS 系 MCP、CodePipeline/CloudWatch)であり、他クラウドに向けるには上書きの手間がかかる
- ちなみに v1 の中身はほぼクラウド中立(ルールを実際に確認したが AWS 言及はほぼゼロ)であり、AWS 以外なら安定版 v1 か、cc-sdd が選択肢になりそうである。ただし、トレードオフとして、cc-sdd は仕様→コードの開発ライフサイクルに特化で、AI-DLC のような重厚なインフラ/運用セレモニーは持たない。逆に言えば「AWS 前提の運用ステージが要らない」なら、その軽さが利点になる