概要
Amazon Linux 2023 と Amazon Linux 2 との比較。要点だけを纏めてみました。
比較
サポート
- 5 年間
命名とバージョン管理の変更
- AL2023 は、プラットフォーム識別のために Amazon Linux 2 がサポートする同じメカニズムをサポート。
- AL2023 では、プラットフォーム識別用の新しいファイルも導入 ↓。
ls -l /etc/amazon-linux-release
lrwxrwxrwx. 1 root root 25 Mar 17 20:17 /etc/amazon-linux-release -> ../usr/lib/system-release
ls -l /etc/amazon-linux-release-cpe
lrwxrwxrwx. 1 root root 29 Mar 17 20:17 /etc/amazon-linux-release-cpe -> ../usr/lib/system-release-cpe
最適化
- AL2023 は起動時間を最適化し、インスタンスの起動からワークロードの実行までの時間を短縮。
セキュリティアップデート
SELinux
- デフォルトでは、AL2023 の SELinux の permissive モードが有効。
sestatus
SELinux status: enabled
SELinuxfs mount: /sys/fs/selinux
SELinux root directory: /etc/selinux
Loaded policy name: targeted
Current mode: permissive
Mode from config file: permissive
Policy MLS status: enabled
Policy deny_unknown status: allowed
Memory protection checking: actual (secure)
Max kernel policy version: 33
- Amazon Linux 2 では無効。
OpenSSL 3
- AL2023 は、OpenSSL 3 暗号化ツールキットを搭載。
- デフォルトで、Amazon Linux 2 は OpenSSL 1.0.2 が搭載。
IMDSv2
- デフォルトでは、AL2023 AMI で起動したインスタンスは IMDSv2 のみを使用する必要があるようになっている。
安定性のための確定的なアップグレード
- バージョン管理されたリポジトリにより特定のバージョンにロックすることができ、アップデートのタイミングを管理できるようになっている。
Fedora上に構築
- AL2023 は Fedora に基づいているが、Fedora の特定のリリースと直接互換性はありません。Fedora を含む複数のアップストリーム ソースで構築されました。
AMI ルート ファイルシステム
- AL2023 AMI と Amazon Linux 2 は同じく、ルートファイルシステムに XFS ファイルシステムを利用。
ネットワークシステムサービス
- AL2023 では
systemd-networkd
システムサービスがネットワークインターフェイスを管理します。
systemctl status systemd-networkd.service
● systemd-networkd.service - Network Configuration
Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/systemd-networkd.service; enabled;>
Active: active (running) since Wed 2023-03-29 09:19:53 UTC; 45min ago
TriggeredBy: ● systemd-networkd.socket
Docs: man:systemd-networkd.service(8)
Main PID: 1672 (systemd-network)
Status: "Processing requests..."
Tasks: 1 (limit: 1112)
Memory: 3.2M
CPU: 53ms
CGroup: /system.slice/systemd-networkd.service
└─1672 /usr/lib/systemd/systemd-networkd
Mar 29 09:19:53 localhost systemd[1]: Started systemd-networkd.service - Networ>
Mar 29 09:19:55 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: Configuring with /usr/l>
Mar 29 09:19:55 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: Link UP
Mar 29 09:19:55 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: Gained carrier
Mar 29 09:19:55 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: DHCPv4 address 10.0.0.1>
Mar 29 09:19:55 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: Gained IPv6LL
Mar 29 09:19:56 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: Reconfiguring with /run>
Mar 29 09:19:56 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: DHCP lease lost
Mar 29 09:19:56 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: DHCPv6 lease lost
Mar 29 09:19:56 localhost systemd-networkd[1672]: enX0: DHCPv4 address 10.0.0.1>
- Linux2では
ISC dhclient
又はdhclient
が使用されていました。
glibc、gcc、および binutils のパッケージ
- AL2023 には、Amazon Linux 2 と同じコアパッケージが多数含まれていますが、以下のコアパッケージが更新されています。
パッケージ名 | Amazon Linux 2 | AL2023 |
---|---|---|
glibc | 2.26 | 2.34 |
gcc | 7.3 | 11.3 |
binutils | 2.29 | 2.39 |
パッケージマネージャー
-
AL2023 のデフォルトのソフトウェアパッケージ管理ツールは
dnf
です。dnf
は、Amazon Linux 2 のパッケージ管理ツールであるyum
の後継です。 -
AL2023 では、
yum
コマンドはまだ利用可能ですが、dnf
コマンドへのポインタとして利用可能です。
sudo yum update
Amazon Linux 2023 repository 18 MB/s | 12 MB 00:00
Amazon Linux 2023 Kernel Livepatch repository 695 kB/s | 155 kB 00:00
Dependencies resolved.
Nothing to do.
Complete!
sudo dnf update
Last metadata expiration check: 0:07:06 ago on Wed Mar 29 10:11:52 2023.
Dependencies resolved.
Nothing to do.
Complete!
SSH サーバーのデフォルト構成の変更
- AL2023 AMI では、リリース時に生成する sshd ホスト鍵の種類を変更。クライアントは、
rsa-sha2-256
rsa-sha2-512
プロトコルed25519
ssh-ed25519
などをサポートする必要があります。デフォルトでは、ssh-rsa
署名は無効です。 - デフォルトの
sshd_config
ファイルは、UseDNS=no
。これは、DNS障害の際にインスタンスとの ssh セッションを確立する機能がブロックされるリスク低下を目的としています。authorized_keys
ファイルの「from=hostname.domain,hostname.domain」
行エントリが名前解決されなくなってしまうので、hostname.domain
の値をIP アドレスに変換する対応が必要です。
Enterprise Linux (EPEL) 用の追加パッケージ
- EPEL は、Fedora コミュニティのプロジェクトであり、エンタープライズ レベルの Linux OS のパッケージを多数作成することを目的としています。
- Amazon Linux2 では、CentOS 7 とかなりの互換性があり、多くの EPEL7 パッケージが Amazon Linux 2 で動作しています。
- ただし、AL2023 では、EPEL または EPEL のようなリポジトリのサポートは対象外です。
cloud-init の使用
- AL2023 では、
cloud-init
がパッケージリポジトリを管理します。 - 以前の Amazon Linux では
cloud-init
のデフォルト設定だと起動時にセキュリティアップデートがインストールされました。AL2023 ではこのような挙動はせず、同じ AMI から作成された EC2インスタンスのパッケージは同一のものとなり、ワークロード内でパッケージバージョンを揃えることが容易になります。
# 利用可能なパッケージリポジトリのバージョン確認
sudo dnf check-release-update
# パッケージリポジトリのバージョンを指定してアップデート
sudo dnf --releasever=<version> update