社内ではオンライン技術情報交換会を「雑談会」と呼んでいました。
以下、雑談会で統一します。
背景
弊社は受託開発の会社です。
社内では常時複数の開発案件が動いています。
各案件で働いて居る人は、それぞれ技術的な知見を貯めています。
しかし、別の案件で働いている人が、どのような知見を持っているか知るすべがありません。
特に、雑談会をはじめた当初はコロナ禍の最中でした。
オフラインで技術的な雑談や相談をする機会もありませんでした。
そこで雑談会をはじめることにしました。
雑談会の形態
毎週金曜日の15時から30分間、Slackのハドルで開催しました。
参加者のハードルを下げるために、Zoomのようなビデオ会議は使いませんでした。
発表者からは必要に応じて画面共有をしました。
特に継続性を重視し、運営や参加の負担を低くなるように雑談会を設計しました。
会の名称が雑談会なのも、この狙いのためです。
話題の例
弊社はRuby on Railsを得意としているのでRubyとRailsの話題が多いです。
- Rails
- Railsバージョンアップ
- Railsアプリケーションでのサービスクラスについて
- ActiveRecordのdelegated_type
- ActiveRecordのjoins, preload, eager_loadの使い分け
- ActiveJobのバックエンド
- Railsのソースコードリーディング
- Railsタスク
- Ruby
- Stackprof
- ruby.wasm
- Ruby Kaigi 2022のセッション紹介
- Web
- SSL
- User-Agaent
- Create.js
- GraphQL
- 外部API連携
- LINE API
- ChatGPT API
- Stripe API
- その他
- デスクトップアプリケーションの作り方
- slackでのtimesチャンネルの使い方
- Googleサイトで社内ポータルを作る
- Miro
- 案件で開発に参加しているサービスの機能紹介
- 書籍紹介
- SQLのパフォーマンス改善
- CFD法
- スタンディングデスク
- 会社説明会の様子を紹介
- スクラム
開催情報
- 2022年4月28日~2023年4月7日
- 36回
- 参加者3~20名
参加人数は8月から取り始めました。25回分のデータです。
社員が30人程度です。最大で6割の出席率です。
雑談会をやめると公表したときには「寂しい」と感想をもらいました。
雑談会をやってみて
よかったこと
- 雑談的なコミュニケーションが取れるのが楽しい
- 案件外の人とつながりが持てた
- 人前で説明する練習になった
- 常連になった参加者もいて、需要があった
約一年の開催期間中、コンスタントに参加者がいました。
常連になってくれた人も居て、やめると公表したときには「寂しい」言ってもらえました。
一定の需要があったと考えられます。
よくなかったこと
- 発表者からの一方的な発表になる
雑談会の名称に反して、雑談への発展が少なく発表者からの一方的な発表になりがちでした。
なぜやめるのか
一番の理由は運営者の負担です。
予想していたよりは運営者の負担が、大きく他の活動をする上での制約になっていました。
このまま雑談会を継続していくか、別の活動にチャレンジするか二択で考えて、別の活動を選びました。
雑談会は社内の有志による活動ではなく、業務の一部としてチームで行っていました。
チームのメンバーを増やして、運営者を増やしたり交代したりして継続する選択肢もあったと思います。
ですが、チームメンバーを変更すると、チームづくりからやり直しになります。
今回は運営者を交代する方法はとらず、すぱっとやめることにしました。
また、コミュニケーションチャンネルとしての役割は、1年前より低下しています。
- 社内で別のコミュニケーション系の活動が始まった
- コロナ禍が弱くなり、物理出社などのオフラインの交流機会がが増えた
オンライン型の勉強会の課題
雑談会にかぎらず、オンライン型の勉強会では、次の課題があるように思います。
- 聞く立場としては、集中して聞きにくい点
- 発表する立場としては、反応が見えにくい点
自分もオンライン勉強会に参加する立場では、どうしても聞き流す感じになります。
特に自分が詳しくない分野ほど聞き流しがちです。
聞き流していると、自分の中で質問がうまれません。
リアクションが儀礼だけになりがちです。
これに対して運営の立場では次のようなファシリテーションを行います。
- 参加者に質問を求める
- 自分から質問を出す
質問を詳しそうな人に指名したり、自分で考えたりする必要があります。
このテクニックは司会者の個人技に依存しています。
司会者と話題と参加者の組み合わせ次第で、上手く行ったり行かなかったりします。
何かしらの仕組み化できなかったので、司会者役の負荷になりました。
運営の立場でも、反応が見えないと手応えのなさを感じます。
また、反応が少ないと、一つのネタから継続、発展していくことがありません。
このためネタ探しをする労力が掛かりました。
多様な話題を扱っているのは、一見良さそうに思えますが、運営の苦肉の策でもあります。