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LinuxとオープンソースのDAW『Zrythm』ではじめるDTM

Last updated at Posted at 2021-11-04

Zrythm

Zrythm』は、オープンソースでクロスプラットフォームなDAWです。

まだBeta版ではありますが、使い勝手が良く期待が持てます。

aug-1-2021.png

WindowsやMacなら高機能なDAWがありますが、選択肢の少ないLinuxの場合、アップデートに期待しながら使うのはアリだと思います。

ダウンロード&インストール

無料版では、トラック数が25までと制限がありますが、十分に使っていけると思います。

詰まるポイントは、オーディオバックエンドの選択あたりかと思います。

ここで動作するものが選べていないと、音がならなかったりクラッシュしたりします。

僕の場合、Pulse audio / ALSA MIDI (rtaudio) の組み合わせで、audio、midiともに鳴りました。

Jackを導入

詳しい説明は調べていただくとして、バックエンドにJackを選択することで、DAW作業時に音声入出力の遅延を無くすことができます。

MIDIキーボードで入力したり、ギターをつないで録音したりする場合、ほぼ必須ですが、一旦試すだけであればスルーしてください。

jack自体は恐らく既に入っているはずなので、設定のためのqjackctlをインストールします。

$ sudo apt install qjackctl

GUIアプリが追加されるので、起動して「開始」を選択してください。

このような感じで設定しておけば、オーディオバックエンドにJack / Jack MIDIを選択して動作するようになりました。

Screenshot from 2021-11-04 22-09-57.png

ギター等の録音時の問題

楽器を繋いで録音したい場合は、オーディオインターフェイスというものを買って、接続することになります。

僕の場合、ただ繋ぐだけで入力ソースとして表示されましたが、なぜかそれを選択して録音を開始しても、入力が届きません。

Qjackctlの「グラフ」を開くと、Zrythmのトラックとの接続状況を確認・変更できるのですが、こちらから、録音先のトラックに対して直接繋ぎ直すことで録れました。

音源やエフェクトの導入

DAWで色々な楽器を鳴らしたり、リバーブ等のエフェクトをかけるには、プラグインを導入していく必要があります。

高価なDAWは、付随のプラグインが充実していたりしますが、Zrythmのようなフリーや安価なDAWの場合は自分で追加する必要があります。

LV2プラグイン

LV2と呼ばれる規格のプラグインは、Linuxでそのまま動作しますので、単に~/.vstのディレクトリを作成し、そこに配置すればZrythmで認識されます。

とりあえず試すだけなら、公式でも紹介されているHelmというシンセサイザーなどをどうぞ。

VSTプラグイン

VSTという規格のプラグインは、Windows向けとなるのですが、数が圧倒的に多いので、これを頑張って動作させていく感じになります。

おなじみWineを経由することで動作します。

Wineは以下の手順でStagingブランチあたりの新しめのバージョンを導入しておきましょう。
https://wiki.winehq.org/Ubuntu

yabridge

もう1つ、WineとVSTプラグインを橋渡しするソフトウェアが必要となります。

これにはいくつか選択肢があるのですが、調べた限り「yabridge」が新しくて良さそうです。

まずは、リポジトリの説明通り導入し、「yabridgectl」コマンドが動作するところまで進めましょう。

やるのは、~/.local/share配下あたりに設置して、パスを通すだけです。

この後の流れは、

  1. 好きなプラグインをダウンロード
  2. インストーラをWineで起動してインストール
  3. yabridgectlコマンドでプラグインを登録

といった感じです。

yabridgectlコマンドで登録する作業だけこの項目で先に解説します。

まず、落としてきたプラグインは~/.vst/あるいは~/vst配下に設置します。
Zrythmがこのディレクトリをデフォルトでスキャンしてくれるからです。

~/.vst/guitar/***.dllのようにディレクトリを挟んでも大丈夫です。

まずは、addコマンドでディレクトリを登録します。

$ yabridgectl add ~/.vst

次にstatusコマンドで状態を確認してみましょう。

$ yabridgectl status

正しく読み込めていれば、プラグイン名の右にnot yet installed的に表示されます。
このあとさりに

$ yabridgectl sync

を叩いて完了させる必要があります。

再度statusを叩いて成功したことを確認しましょう。

次からはyabridgectl syncだけでOKです。

マルチ音源「KOMPLETE START」をインストール

こちらの音源は、楽器の種類が豊富なうえ、元が商用なのでクオリティも高いです。

しかし、Wineを通したインストールで結構詰まったので、手順をメモしておきます。

他のプラグインはこんなに苦労はしないと思います。

以下の記事が細かく解説してくれているのですが、ここでは詰まりポイントを抜粋して書きます。
Midifan.com 『inux 能不能吃上 Native Instruments 的福利?

そもそも名前が色々出てきてややこしいんですが、色々含まれるKOMPLETE STARTというパッケージの中の、FACTORY SECTIONという音源セットのインストールをここではゴールとします。

KOMPLETE START -> KONTAKT PLAYER -> FACTORY SECTION

そして、上記製品を一元管理するのが、Native Accessというインストーラのようです。

まずはWebサイトから登録を介してダウンロードをすると、上記Native Accessのインストーラのインストーラが落ちてきます。

これをWineで実行すると、Installing the Native Instruments ISO Driverで読み込みが終わらなくなります。
しかし、この時点でインストール自体は完了しているので、強制終了してしまいましょう。
デスクトップ等にDesktopエントリができているはずなので起動します。

起動したら、画面にしたがってログインなどを済ませましょう。

インストールできる製品が並ぶので、まずは、KONTAKT PLAYERをインストールしましょう。
ここでも最後にクラッシュするんですが、Native Access再起動するだけで完了します。

次に、上記PLAYERで利用できる音源「FACTORY SECTION」もダウンロードしましょう。
ここでもやはり最後にクラッシュしますが、こちらはダウンロードだけ終わった状態でインストールが未完了なので、再起動では直りません。

あらかじめ指定していたダウンロード先にインストール用のisoが落ちているはずなので、これをマウントして実行する必要があります。

デフォルトだと、~/.wine/drive_c/users/***/Downloadsあたりだと思います。

$ sudo mkdir /mnt/kontakt
$ sudo mount -t udf /path/to/Kontakt_Factory_Selection.iso -o unhide /mnt/kontakt

unhideオプションがないと、この先のインストール中にエラーが出て失敗します。(参考

マウントしたら、実行してインストールを完了させましょう。

$ cd /mnt/kontakt
$ wine /path/to/**.exe

Native Accessの設定で、VSTプラグインの設置先をデフォルトのままにしていた人は、~/.vst配下に移動しておきましょう。

多分 ~/.wine/drive_c/Program Files/Native Instruments/VSTPlugins 64 bit あたりにあると思います。

その他プラグイン

必須系のエフェクトのメモです。

Maximizer

  • LoudMax

Compressor

  • Kotelnikov

EQ

  • Tokyo Dawn Records NOVA

Delay

  • KiloHearts Delay

Reverb

  • Valhalla Supermassive
  • MCharmVerb

Stereo imager

  • iZotope / Ozone Imager
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