【2026年8月】RHCA保有者のKubestronaut挑戦記(1) CKA・CKAD合格編 〜バウチャーを11ヶ月放置してからの巻き返し〜
皆さんこんにちは、Red Hat Global Learning ServicesでLearning Solution Architectを担当している坂井 大和(@lab8010)です。
この記事は、Linux Foundation/CNCFが提供する CKA(Certified Kubernetes Administrator) と CKAD(Certified Kubernetes Application Developer) に相次いで合格した体験をもとに、これから受験される方に向けて「どのような準備や心構えが重要か」をお伝えするものです。
本記事は「RHCA保有者のKubestronaut挑戦記」シリーズの第1弾です。続編として、セキュリティに特化した CKS(Certified Kubernetes Security Specialist) の合格体験記も別途公開予定です。CKSについては本記事では深追いせず、続編に譲ります。
CKA・CKAD試験は受験にあたり守秘義務契約(Candidate Agreement)への同意が必要です。そのため、この記事では実際の出題内容には一切触れず、あくまでも公式に公開されている情報と、私自身の準備プロセスや心構えについてのみ扱います。
この記事でカバーすること・しないこと
- カバーすること
- CKA・CKADという試験の特性(公式情報ベース)
- Kubestronaut挑戦を決意してから、CKA・CKADに合格するまでの顛末
- 私が1回目のCKAで不合格となった原因の振り返り
- Red Hat認定資格とCKA/CKADの違いから見えた心構え
- カバーしないこと
- 本番で出題された具体的な問題
- Linux Foundation/CNCFが公式に公開していない情報
- CKS(セキュリティ領域)に関する詳細 —— こちらは続編で扱います
1. 結論から:Kubestronaut挑戦の記録
先に結果をお伝えします。以下は、KCNA・KCSAから今回のCKS合格まで、Kubestronaut挑戦の全記録です。
| 日付 | 試験 | 結果 | スコア(合格ライン) |
|---|---|---|---|
| 2025/9/15 | KCNA | 合格 | 89点(75点) |
| 2025/9/15 | KCSA | 合格 | 75点(75点) |
| 2025/9/23 | CKA(1回目) | 不合格 | 61点(66点) |
| 2026/8/9 | CKA(2回目) | 合格 | 77点(66点) |
| 2026/8/20 | CKAD | 合格 | 72点(66点) |
| 2026/8/25 | CKS(1回目) | 不合格 | 40点(67点) |
| 2026/9/4 | CKS(2回目) | 不合格 | 55点(67点) |
| 2026/9/17 | CKS(3回目) | 合格 | 87点(67点) |
CKSの顛末(なぜ3回かかったのか、何が敗因だったのか)は、本シリーズの続編記事で詳しく扱います。本記事では、表の中のCKA・CKADの2行に焦点を当てます。
CKA・CKADそれぞれの試験概要や合格ラインなどの公式情報は、以下のLinux Foundation/CNCFの公式ページで確認できます。
参考:Certified Kubernetes Administrator (CKA) | CNCF公式
参考:Certified Kubernetes Administrator (CKA) | Linux Foundation公式
参考:Certified Kubernetes Application Developer (CKAD) | Linux Foundation公式
見ての通り、CKA1回目からCKA2回目までの間には、約11ヶ月という長い空白期間があります。まずはこの経緯からお話しします。
2. Kubestronaut挑戦のきっかけ
事の発端は、私がRed Hatに入社した直後まで遡ります。
- 2024年12月:KCNA・KCSAのバウチャーをセールで購入。ただし当時はRed Hat入社直後で、まずは自社の認定資格の学習を優先する必要があったため、バウチャーはしばらく寝かせることになりました。
- 2025年8月:Red Hatの最上位資格であるRHCAを取得。「Red Hat社員として一つのゴールに到達した」という思いから、次の目標としてKubestronaut(CNCFが提供する5つのKubernetes関連資格をすべて取得した人に贈られる称号)への挑戦を決意します。
- 2025年9月:勢いに乗って、CKA・CKAD・CKSのバウチャーもセールで購入。
- 同月:KCNA・KCSAをその勢いのまま受験し、2つとも合格。
ここまでは順調でした。問題はこの直後です。
3. CKA1回目の不合格、そして訪れた長い空白
KCNA・KCSA合格の勢いに乗り、そのままCKAへ突撃しました。しかし結果は61点で不合格。合格ラインの66点まで、あと一歩でした。
当初は「2025年10月までにCKA・CKAD・CKSを全て取得する」というつもりでいました。しかし、本業であるRed Hat社員としての業務が多忙になり、そのまま受験のタイミングを完全に逃してしまいます。
2026年9月に無事にKubestronautの条件を満たせたからいいものの...1年前の私は完全に調子に載っています。
自分の業務のバランスと勉強時間配分が出来ていなかった事が完全に原因です。
気づけば、そのまま約11ヶ月が経過していました。転機となったのは、2026年8月に届いた1通のメールです。
このリマインドメールで、ようやく火がつきました。ここから、CKA再挑戦・CKAD・そしてCKSへと続く受験ラッシュが始まります。
CKA・CKAD・CKSの受験資格(Exam Eligibility)は、購入から12ヶ月間です。私のように「勢いで買ったはいいが、本業が忙しくて手をつけられない」という状態に陥らないよう、購入のタイミングと学習計画はセットで考えることを強くおすすめします。
4. なぜ1回目は「ほとんど勉強せず」に受験したのか
11ヶ月の空白の話をした上で、あらためて1回目の受験時を振り返ります。
私はRed Hatの最上位資格を保有しており、業務でもOpenShiftを通じてKubernetesのAPIやリソースをある程度操作できる状態にありました。そのため、KCNA・KCSA合格の勢いも相まって、「OpenShiftで慣れているから何とかなるだろう」という気持ちが強く、正直なところ、ほとんど専用の学習をせずに受験しました。
結果は先述の通り61点で不合格。合格ラインの66点まで、あと一歩というのが実情でした。
5. CKA1回目の敗因を振り返る
振り返ってみると、敗因は大きく2つでした。
敗因1. 時間管理の甘さ
CKAは2時間という限られた時間の中で、複数の課題を実機操作で解いていく試験です。1回目は「わかる問題から解けばいい」という感覚で臨んでしまい、前半の問題に時間を使いすぎてしまいました。結果として、後半の問題に十分な時間を割けませんでした。
敗因2. OpenShiftとの操作性・機能の差分
OpenShiftはKubernetesをベースにしたプラットフォームですが、標準のKubernetesとは運用上の違いがいくつかあります。普段OpenShiftで意識することの少ない機能・操作については、当然ながら知識も操作経験も不足しており、そこで失点しました。具体的には次の3点です。
① Namespaceを省略できる操作に慣れていた
OpenShiftでは、CLI(oc)やWebコンソールの挙動上、Namespaceをコマンドで明示的に指定しなくても操作が完結してしまう場面が多くあります。この感覚のままCKAに臨んだ結果、Namespace指定を忘れたまま操作を進めてしまうという、地味ながら痛い凡ミスにつながりました。
② Red Hatのトレーニングコースでは通常扱わないリソースの理解が手薄だった
CKA・CKADでは、IngressやGateway APIといった、素のKubernetesではおなじみのリソースへの理解が問われます。しかし、これらはRed Hatの標準的なトレーニングコースで重点的に扱われるリソースではありません(OpenShiftでは代わりにRouteという独自リソースが使われる場面が多いためです)。Red Hat製品にどれだけ強くても、その実力がそのままCKAのようなKubernetes標準の試験で100%活かせるわけではない、ということを痛感しました。
③ WebUIに頼る習慣が、kubectlだけのスピード感に追いついていなかった
普段の業務では、リソースの作成状況やログの確認を、OpenShiftが備えるWebコンソールに頼ることが少なくありませんでした。そのため、すべての状態確認をkubectlのコマンドラインだけで完結させる、という一連の操作スピードに慣れていませんでした。2時間という時間制限の中では、この「一手間」の差が積み重なり、地味に時間を奪っていたのだと思います。
根本的な原因:RHCA・KCNA・KCSA合格による慢心
上記2つの直接的な敗因の根っこには、「RHCAを取得し、KCNA・KCSAにも連続合格したのだから、CKAくらい何とかなる」という慢心があったと感じています。ここは正直に反省すべき点です。
この慢心が、そのまま11ヶ月の放置という結果にもつながっていたのだと思います。「いつでも取れる」と高をくくっていたものほど、後回しにされてしまうものです。
6. Red Hat認定資格とCKA/CKADの「試験特性」の違い
2026年8月、再挑戦に向けて対策を練るなかで、私が最も重要だと感じたのは、Red Hat認定資格とCKA/CKADでは「試験時間の使い方」に対する考え方がそもそも違うという点でした。
| 項目 | Red Hat認定資格(RHCSA/RHCEなど) | CKA / CKAD |
|---|---|---|
| 試験時間の目安 | 3時間 or 4時間 | 2時間 |
| 時間の使い方の性質 | わからないことを調べる時間として使える余裕がある | 未知の事柄を調べる時間というより、作業ミスなどのリカバリーに使う時間と捉えるべき |
| ドキュメント参照 | 製品ドキュメントの参照が前提 | 公式ドキュメント(kubernetes.io等)の参照が許可されている |
Red Hat認定資格は実技試験ではあるものの、3〜4時間という比較的長い時間が確保されており、「わからないことがあれば、その場で製品ドキュメントを調べながら解く」という戦い方が十分に成立します。この点については、以前書いた記事でも触れています。
一方でCKA・CKADは2時間しかありません。CNCF/Linux Foundationの公式情報でも、CKAはコマンドラインから複数の課題を解いていく実技形式の試験であることが明記されています。
この2時間という時間は、「知らないことをゼロから調べて理解する」ための時間というよりも、「知っていることを、ミスなく素早く実行し、もしミスをしたら訂正するための時間」 と捉えたほうが実態に近いと、CKA・CKADの受験を通じて感じました。Red Hat資格の感覚のまま「わからなければその場で調べればいい」という姿勢で臨んでしまったことが、CKA1回目の時間管理の甘さにつながったのだと思います。
7. CKA2回目の合格に向けて実践したこと
対策1. vim操作とYAMLマニフェスト記述への習熟
CKA・CKADの試験環境ではエディタとしてvimを使う場面が多くあります。vimの基本操作(移動・編集・保存)に指が迷わず動くレベルまで慣れておくことは必須だと感じました。
また、YAML形式のマニフェストを直接記述・編集する場面も多いため、YAMLの構文そのものへの習熟も欠かせません。
YAMLのインデントの見極めが「なんとなく」レベルの場合は要注意です。各キーと値の親子関係・階層構造を正確に理解できていないと、構文エラーの原因を素早く特定できません。インデントのズレは実務でも試験でも時間を奪う典型的な落とし穴です。
対策2. 画面表示・操作可能領域への事前準備
CKAの試験画面は、操作可能な領域(ターミナルや参照ドキュメントを表示する範囲)がそれほど広くありません。試験開始後、必要に応じて文字サイズの拡大率などをすぐに調整できるよう、事前に操作方法をイメージしておくことをおすすめします。
対策3. 時間配分の見直し
CKAでは、後半に比較的取り組みやすい問題が含まれていることがあります。そのため、前半の問題に時間を使いすぎず、「わからない・時間がかかりそう」と感じた問題は一旦保留にして先に進む判断力が重要です。2回目はこの時間配分を強く意識しました。
対策4. Kubernetes公式ドキュメントの使い倒し
CKA・CKADでは試験中に公式ドキュメントを参照することが認められています。どのリソースが許可されているかは、Linux Foundationの公式ページに明記されています。
参考:Resources Allowed: All LF Certification Programs | Linux Foundation公式
参考:Kubernetesドキュメント(公式)
参考:kubectl Cheat Sheet(公式)
大切なのは「暗記すること」ではなく、必要なYAMLマニフェスト全体や、構文が少しトリッキーな箇所を、公式ドキュメントからいつでも素早く引き出せるようにしておくことです。この考え方は、以前Red Hat認定資格について書いた記事の中でも触れた「すべてを暗記するのではなく、情報を探す力を養う」という話と通じるものがあります。
対策5. 誤って作成したリソースを削除・訂正するスキル
実技試験である以上、操作ミスは起こり得ます。誤ったリソースを作成してしまった際に、それを的確に削除・訂正できるスキルを身につけておくことも、時間を守るうえで重要な準備でした。
こうした対策を積み重ねた結果、2026年8月9日、CKAに77点で合格することができました。
8. CKA合格の勢いで、そのままCKADへ挑戦
CKA合格の11日後、2026年8月20日にCKADを受験し、72点で合格しました。
CKA合格からCKADの間には、10日間ほどの期間がありました。ちょうど夏休みのタイミングと重なっていたため、日中は家族と過ごし、夜に少し学習するというサイクルで、そのままCKADの準備に取り組みました。
CKADの難易度についての所感
結論から言うと、CKAD自体はCKAと同じか、それよりもやさしいという印象を受けました。
これは私個人の感想だけでなく、他の合格者の方が書かれた記事を見ても、同様の感想を述べている方が多い印象があります。実際、CKAに合格できるだけの実力があれば、CKADに向けた特別な対策はほとんど不要だと感じました。
むしろ、試験形式そのものへの「慣れ」という観点では、CKAよりも先にCKADを受験しておくほうが良いのではとも思います。CKADのほうが範囲・難易度ともに取り組みやすいため、試験特有の緊張感やUI・時間配分に慣れる練習として適していると感じるためです。
CKADのための特別な対策は不要、ただし練習したい場合は
CKAに合格できる実力を既にお持ちの方であれば、CKADに向けた特別な学習は基本的に必要ないと考えています。
それでも、どうしても実技の練習をしておきたいという場合は、CKA/CKAD/CKS共通の公式模擬試験環境である Killer.sh や、無料で手を動かして練習できる KillerCoda を活用するとよいと思います。
Killer.shはCKA・CKAD・CKSの登録時に2回分の模擬試験セッションが付属しており、Linux Foundation/CNCFが公式に提供している模擬試験環境です。実際の試験環境に近い形で練習できるため、試験当日の感覚をつかむのに役立ちます。
9. 難易度についての所感
最後に、私個人の所感として難易度についても触れておきます。
試験そのものの難易度としては、Red Hat認定資格のほうが難しいと感じています。ただし、CKAで私が苦戦した要因は、単純な知識量ではなく、次の2点にありました。
- 2時間という時間との戦いであったこと
- 普段業務で触れているOpenShiftとの差分に翻弄されたこと
つまり、CKA不合格の原因は「Kubernetesを理解していないから」というよりも、「試験特有の時間配分」と「プラットフォーム間の差分」への準備不足にあったというのが、振り返っての結論です。
そして、CKAというハードルを一度越えてしまえば、CKADはその延長線上にあるという感覚が強く、両者は別物として身構えるほどのものではないというのが、続けて2つの試験に挑んだ実感です。
10. これからCKA・CKADを受験する方へ
私の経験から、これからCKA・CKADを受験される方にお伝えしたいポイントをまとめます。
- バウチャーの有効期限(購入から12ヶ月)は、購入時点で学習計画とセットで管理すること。「いつでも取れる」と後回しにすると、私のように11ヶ月が溶けます
- 他のベンダー資格(特に長時間の実技試験)を持っていても、CKA/CKADは別物として対策すること
- 2時間という試験時間は、「未知を調べる時間」ではなく「ミスをリカバリーする時間」と捉えること
- vim操作とYAMLの構文(特にインデントの階層構造)には、指が迷わないレベルまで慣れておくこと
- 試験開始直後に、画面の文字サイズなど表示設定を必要に応じて調整すること
- 前半の問題に時間を使いすぎず、後半にある比較的易しい問題も見据えた時間配分をすること
- 公式ドキュメントを「調べ物」ではなく「作業の一部」として使いこなせるようにしておくこと
- 誤操作からの削除・訂正を素早く行えるようにしておくこと
- CKAに合格できる実力があれば、CKADに向けた特別な対策は基本的に不要。試験慣れの観点では、CKAより先にCKADを受けるのも一つの選択肢
- どうしても練習したい場合は、公式のKiller.shや無料のKillerCodaを活用する
あとがき
CKA1回目の不合格、そしてそこから11ヶ月の放置は、正直なところ悔しい記録です。ただ、その敗因を振り返ってみると、「知識が足りなかった」というよりも「試験という土俵の違いに対する準備が足りなかった」こと、そして「いつでも取れる」という慢心のほうが大きかったように思います。
Red Hat認定資格とCKA、どちらも実技中心の実力を問う試験という共通点がありながら、時間の使い方に対する考え方はまったく異なります。この違いに気づけたことが、CKA2回目の合格、そして勢いを借りたCKAD合格につながったと感じています。
これからCKA・CKADに挑戦される方の準備の一助になれば幸いです。
なお、この後Kubestronaut挑戦の最終関門として**CKS(Certified Kubernetes Security Specialist)**にも挑みました。CKSはCKA・CKADとはまた違う難しさのある試験でしたので、その顛末は続編の記事にまとめる予定です。
参考(公式情報)
- Certified Kubernetes Administrator (CKA) | CNCF公式
- Certified Kubernetes Administrator (CKA) | Linux Foundation公式
- Certified Kubernetes Application Developer (CKAD) | Linux Foundation公式
- Kubestronaut | CNCF公式
- Resources Allowed: All LF Certification Programs | Linux Foundation公式
- CNCF Curriculum(GitHub公式リポジトリ)
- Kubernetes公式ドキュメント
- kubectl Cheat Sheet(公式)
- Killer Shell - CKA/CKAD/CKS Simulator(公式)
- KillerCoda
