この記事の目的と免責事項
この記事は、Red Hat OpenShift Container Platform(以下、OpenShift)の導入や更改を検討する際に「このサーバーはOpenShiftに対応しているのか?」を公式情報をもとに正しく調べるための方法を紹介します。
情報の鮮度については、ベンダー側のカタログ更新タイミングに依存する部分があります。本記事で紹介する手順はあくまでも執筆時点(2026年4月)の情報をベースにしていますので、最新情報は必ず一次情報(Red Hat Ecosystem Catalog)を参照するようにしてください。
また、本記事で紹介するサイトから得られる情報だけでは、サポート構成の確認に必要な情報が揃わないケースも考えられます。カタログへの掲載が追いついていない場合や、ベンダー固有の情報が必要な場合などは、Red Hatや各ハードウェアベンダーへの問い合わせも含め、必要に応じて自身で追加の情報収集を行うようにしてください。
この記事でカバー"すること"と"しないこと"
- カバーすること
- Red Hat Ecosystem Catalogを使ったハードウェア互換性の調べ方
- 拡張カードレベルの互換性情報へのアクセス方法
- OpenShift 4.19からのRHELワーカーノード廃止とその意味
- RHCOSとRHELのバージョン対応関係の調べ方
- カバーしないこと
- OpenShift自体のアーキテクチャや導入手順の詳細
- ソフトウェアレベルの互換性(CSI、CNIなど)
1. ハードウェア互換性を調べるときはまずここ:Red Hat Ecosystem Catalog
OpenShiftと互換性のあるハードウェアを調べる際の公式情報源は、Red Hat Ecosystem Catalog です。
このカタログには、Red Hatが認定したシステム(サーバー)が一覧として掲載されており、製品ごとにどのRed Hat製品・バージョンで認定を受けているかを確認できます。
「とりあえずこのサーバー、OpenShiftで使えるの?」と思ったら、まずここを見る。それが基本です。
2. 具体例:Dell PowerEdge XE9780 の場合
実際の調べ方を、Dell PowerEdge XE9780 を例に見ていきましょう。
当該機種のページは以下です。
ページ内の Certifications セクションを確認すると、次のような情報が掲載されています。

つまり、Dell PowerEdge XE9780は OpenShift 4.19以降のバージョンで認定済み であることがわかります。
3. 拡張カード(PCIe)レベルの詳細情報を確認する
機種レベルの互換性だけでなく、搭載している拡張カード(NIC、HBA、GPUなど)の互換性が気になる場合もありますよね。
これについても同じページから確認が可能です。
Certificationsセクション内の Red Hat OpenShift Container Platform の行にある 「View Features」 ボタンをクリックすると、その機種に搭載されているコンポーネント(拡張カード)レベルでの互換情報が表示されます。
こちらは、Dell PowerEdge XE9780にてサポートされる拡張カードの情報です。

View Featuresが表示されない機種もある
機種によっては、この 「View Features」ボタンが表示されていない場合 があります。
Dell PowerEdge R770APのページにて当該の状況が確認できました。
考えられる理由としては、カタログへの情報掲載が追いついていないケースです。ハードウェアの認定作業自体は完了していても、Webカタログ上への反映が遅れることがあります。
その場合は、同ページ右上にある 「Contact Red Hat」 から問い合わせることで、当該情報がいつ頃カタログに掲載される予定かを確認することができます。
製品選定のタイムラインが厳しいケースでは、カタログの公開を待つのではなく、積極的に問い合わせてしまうのが現実的な対処です。
4. ドライバー・ファームウェアの互換性を調べるときの注意点:RHCOSとRHELの関係
ここは少しだけ踏み込んだ話になりますが、OpenShiftのハードウェア互換性を正確に把握するうえで、RHCOS(Red Hat Enterprise Linux CoreOS) の存在を理解しておくことが重要です。
RHCOSとは?
OpenShiftのコントロールプレーン・コンピュートプレーンのノードOSには、RHCOSが使用されます。
RHCOSはRed Hatが完全に管理するノードOSであり、その詳細については以下の公式ドキュメントを参照してください。
ポイントは、RHCOSのベースはRHELである、という点です。
つまり、ドライバーやファームウェアの互換性を調べる際には、「OpenShiftのバージョンXのRHCOSのベースはどのRHELか?」を把握しておく必要があります。
OpenShift 4.19以降はノードOSがRHCOS一択になりました
OpenShift 4.18以前は、ワーカーノードのOSとしてRHELを使用するオプションが存在し、RHCOSとRHELの混在構成が可能でした。
OpenShift 4.19からはRHELワーカーノードのサポートが削除され、すべてのノードOSがRHCOSに統一されています。
ハードウェア互換性を調べる際は、4.19以降の環境ではRHCOSベースで確認すればOKです。
詳細な変更経緯についてはOpenShift 4.19 リリースノート(非推奨機能と削除された機能)を参照してください。
OpenShiftのバージョンとRHELのバージョン対応表
この対応関係は、以下のKnowledge Baseにまとめられています。
現時点(2026年4月)で確認できる内容は次の通りです。
| RHCOS/OCPバージョン | RHELベースバージョン |
|---|---|
| 4.20 | RHEL 9.6 |
| 4.19 | RHEL 9.6 |
| 4.18 | RHEL 9.4 |
| 4.17 | RHEL 9.4 |
| 4.16 | RHEL 9.4 |
| 4.14 | RHEL 9.2 |
| 4.12 | RHEL 8.6 |
先ほどのDell PowerEdge XE9780の例では、OpenShift 4.19以降での認定となっており、カタログ上でも「Base OS: Red Hat Enterprise Linux 9.6」と明記されています。これはまさにこの対応表と一致していますね。
したがって、「OpenShift 4.19で使用するNICのドライバーの互換性を確認したい」という場合は、RHEL 9.6ベースのドライバー互換性として調べるのが正しいアプローチになります。
5. ベンダーサイト上の情報を参照する際の注意点
最後に、補足として触れておきたいことがあります。
Dell Technologiesをはじめとするハードウェアベンダーのサイトでは、サーバーとRHCOSの互換性を示すページ内で、RHCOSではなくRHELと記述されている場合があります。
これは、本記事でも繰り返し触れてきたとおり、RHCOSがRHELをベースとしているためです。ハードウェアと互換性のあるRHELのバージョンを調べることで、自ずと対応するRHCOSのバージョンが判別できるようになっています。
ただし、ベンダーの記述内容によっては、RHELのみに限定した表記になっているケースも考えられます。
ベンダーサイト上でRHCOSに関する記述が見つからない場合や、記載内容の解釈に迷う場合は、情報提供元のベンダーや Red Hat に直接確認されることをおすすめします。
まとめ
OpenShiftと互換性のあるハードウェアを調べる際の手順を整理すると、次のようになります。
- Red Hat Ecosystem Catalog でシステム(サーバー)の認定情報を確認する
- 拡張カードレベルの詳細が必要な場合は、「View Features」 ボタンから確認する
- View Featuresが未掲載の場合は、「Contact Red Hat」 から問い合わせる
- ドライバー・ファームウェアの互換性調査には、OCPバージョンとRHELバージョンの対応表を参照してRHCOSのベースとなるRHELバージョンを特定してから調べる
この記事が、OpenShift環境の機器選定や互換性調査をしているインフラエンジニアの方の一助になれば幸いです。


