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Pythonの知識でVBAをやってみる

Last updated at Posted at 2025-02-03

はじめに

ExcelファイルをPythonで処理しようと考えていたが、VBAで書かなければならなくなった。
頑張ってVBAでコードを書き始めた時に引っかかったところをまとめたメモです。

最初の一歩

おおよそはPythonの書き方と同じ(暴論)

VBAはブロックの先頭に : をつけないで、ブロックの終端に処理が必要、と覚えておけばおおよそ対応できそうです。

' : は不要
Sub Test()
    ' メッセージボックスを表示する
    MsgBox "Hello World!"
' ブロック終端。関数(Sub)の場合は End Subが必要
End Sub

様々な宣言は大文字で始まる

大文字・小文字はVBAのエディタで勝手に修正されるので、あまり気にしないでも良さそう。
変数などの大文字・小文字も自動で修正されるのはありがたい…

おまじない

Option Explicit

時々ファイルの先頭についているやつです。
これをファイル先頭に記載すると、以降は変数の宣言が必須になります。
参考: https://learn.microsoft.com/ja-jp/office/vba/language/reference/user-interface-help/option-explicit-statement

変数

型と一緒に「変数のみ」宣言する

Pythonの型ヒント付き変数 hoge: int に近いです。

' Dim 変数名(日本語OK) As 型
Dim hoge As Long
Dim ほげ As String

' _ から始まる変数名は不可
' Dim _hoge As Long ' エラー

' 宣言時に代入は不可
' Dim hoge As Long = 42  ' エラー

' 型の指定が無いと、なんでも入れられる Variant 型になる
Dim anything ' As Variant

ただし、定数の宣言は同時に値も代入する

ややこしい…

Const FUGA As Long = 0

値の代入はオブジェクト型のみ Set を付ける

Long, String のように、どのタイプの値が入るか決まっている場合は データ型
WorksheetやRangeのように、PythonのClassっぽい役割を持つのが オブジェクト型(暴論)

Dim hoge As Long
hoge = 42 ' データ型に値を入れる場合はそのまま = でつなげばよい

' オブジェクト型の代入は頭に `Set` を付ける必要がある
Dim testSheet As Worksheet
' testSheet = ThisWorkbook.Sheets("Sheet1") ' エラー
Set testSheet = ThisWorkbook.Sheets("Sheet1")

' これは許されないが
' Set hoge = 42

' これが許される時がある… 
' デフォルトプロパティというらしく、プロパティを省略するとデフォルトで `Value` が選択される
' F1の値が整数だった場合にはこのコードが通ってしまう
hoge = testSheet.Range("F1") ' testSheet.Range("F1").Value と同じ
Debug.Print hoge ' イミディエイトウィンドウにhogeの値が出力される

条件式

イコールは = ノットイコールは <>

まだ <> はわかるが、 = はちょっとびっくりした…

' If の末尾には Thenを付ける。 Pythonの `:` みたいなやつ
If hoge = "pen" Then
    MsgBox "This is a " & hoge ' 文字列は & で結合できる
' elif ではなく ElseIf
ElseIf hoge <> "pen" Then
    MsgBox "This is a not pen"
Else
    MsgBox "Elseの場合はThenが不要"
' If文の終端を明示する必要がある
End If

And Or は全ての条件式を実行する

Pythonは短絡評価なので評価が不要な式は実行しないですが、
VBAは完全評価なので全ての式を実行します

' まだ宣言しただけなので、オブジェクトへの関連付けが無い状態(= Nothing)
Dim testSheet As Worksheet

' testSheet.name = "Sheet1" まで実行してしまうので、エラー
If testSheet is Nothing Or testSheet.Name = "Sheet1" Then
    Debug.Print "!!!"
End If

三項演算子のことは…

IIF というのがあるらしいが、短絡評価ではないのでPythonと動作が変わる可能性があります。
忘れましょう。

matchの代わりは存在する

Select Case が使えます。
ただ書き方は結構違います。できることが多いと困る…

Select Case x
    Case 0
        Debug.Print "x = 0"
    Case Is < 0
        Debug.Print "x < 0"
    Case 1, 2
        Debug.Print "x = 1~2"
    Case 3 To 10
        Debug.Print "x = 3~10"
    Case Else
        Debug.Print "x > 10"
End Select

ループ

breakはある

Exit For を使用します。

' VBAのForはPythonのrangeを指定したときの動作に近い
' For 初期化 To 終了条件
For i = 1 To 10
    If sht.Cells(i, 1).Value = 5 Then
        Exit For ' Pythonの break
    End If
    Debug.Print sht.Cells(i, 1).Value
Next i ' iを1つ増やす

continue はない

GoTo を使って疑似的にループを飛ばす処理がメジャーっぽいです。
あきらめてネストを1段深くした方がラベル重複による変な場所へ飛ぶ、t事故は減りそうな気がしますが…

' 要素を取りだすPythonっぽいForを使いたい場合はFor Eachを使う
For Each rng In testSheet.Range("A1:A10")
    ' 本当は rng.Value = "" の時にcontinueしたい…
    If rng.Value <> "" Then
        ' セルに値があるときは処理をする
    End If
Next rng ' 次の要素を取り出す

複数の値を保持する変数

listの代わり: Array か Collection

配列のインデックスは 1 始まりなので注意が必要です。 もっと複雑でした。追記にて修正。
ArrayはC言語のlistに近く、どこかのタイミングで配列数を指定しないといけません。
ReDim で配列数を変更できるが、おそらく「要素を1個足す -> ReDimで配列を1個増やす」で疑似的に要素数不定にさせることは非推奨なはず…

' ()を付けるとArrayになる
Dim x(3) As Long
x(1) = 1
x(2) = 2
x(3) = 3

追記:
https://qiita.com/kz-muri/items/73f96908b764399f577e#comment-3fd137a8fa205b637576
https://qiita.com/kz-muri/items/73f96908b764399f577e#comment-37b5de896e8204b6ac9f
で頂いたコメントの通り、インデックスの始まりは0であったり、1であったりします。VBA難しい…

Sub test()
    Dim x(5) As Long ' 末尾のインデックスを指定しているイメージ?
    Debug.Print LBound(x) & ", " & UBound(x) ' 0, 5
    Debug.Print VarType(x) ' 8195 = vbLong + vbArray
    
    Dim y As Variant
    y = ActiveSheet.Range("A1:A5").Value ' 5セル分の値を配列に
    Debug.Print LBound(y) & ", " & UBound(y) ' 1, 5
    Debug.Print VarType(y) ' 8204 = vbVariant + vbArray
    
    Dim z(1 To 5) As Long ' Option Baseの値にとらわれずに1始まりにするならこうか…?
    Debug.Print LBound(z) & ", " & UBound(z) ' 1, 5
End Sub

さらに1始まりを設定しても0から始まる配列もある。 なんだこれ!!!

Option Base 1
Sub test2()
    Dim x(5) As Long ' 末尾のインデックスを指定しているイメージ?
    Debug.Print LBound(x) & ", " & UBound(x) '1, 5
    Debug.Print VarType(x) ' 8195 = vbLong + vbArray

    Dim s As Variant
    s = Split("1,2,3,4,5", ",") 
    Debug.Print LBound(s) & ", " & UBound(s) '0, 4
    Debug.Print VarType(s) ' 8200 = vbString + vbArray
End Sub

CollectionはPythonのlist…というよりはキーを省略できるnamedtupleの方が近いかも?。
追加・削除の制約なし。ただし、中身の型は指定できません。

' Collectionの場合は最初にNewを付けるとSetしなくて良い。Asって単なる型宣言じゃないのか…?
Dim coll As New Collection
'Dim coll2 As Collection
'Set coll2 = New Collection ' これも動く。

coll.Add "hoge" ' Arrayと違い、要素を追加する場合は 変数名.Addを使う
coll.Add "fuga"
coll.Add "piyo", "p" ' キーを付ける場合は後ろに記載
Debug.Print coll(1) ' hoge Collectionのインデックスは1始まり
Debug.Print coll(3) ' piyoをインデックスで取得。
Debug.Print coll("p") ' piyoをキーで取得

dictの代わりもある

Python 3.7以降の仕様と異なり、代入した順番は保証されません。

Dim dict As Object
Set dict = CreateObject("Scripting.Dictionary")
dict.Add "x", 100 ' Collectionの時と順番が違い、キー, バリュー の順で指定
dict.Add "y", 200
Debug.Print dict("y") '200

列挙体もある

Enumをクラス経由ではなく直接定義します。
最初の数を指定してあげれば後は自動で値が入る、pythonの auto() のような機能があって便利です。

Enum Numbers
    foo = 1
    bar ' 2
    baz ' 3
End Enum

Sub Test()
    Debug.Print Numbers.bar ' 2
End Sub

関数

Sub と Function

関数( 追記:「プロシージャ」なので関数とは違うらしい… 参考: https://learn.microsoft.com/ja-jp/office/vba/language/concepts/getting-started/calling-sub-and-function-procedures
の定義方法はなぜか複数あります。ざっくりとした違いは以下。

  • Subは戻り値が無く、ボタンに登録できる関数
  • Functionは戻り値を定義できるが、ボタンには登録できない関数

Functionの戻り値用変数は その関数名である ことに注意。

Sub Test()
    ' 戻り値のない関数を実行するときは頭に `Call` をつける
    Call TestSub(1)
    Debug.Print TestFunction(1)
End Sub

Sub TestSub(x As Long)
    Debug.Print x
End Sub

' 変数宣言時、戻り値の型も指定する
Function TestFunction(x As Long) As Long
    ' 戻り値の設定
    TestFunction = x + 1
End Function

引数は基本「参照渡し」

値渡しを明示しない、 もしくは引数に ByRefを付けると参照渡しになります。
引数に ByVal と明示すると値渡しになります。

Sub Test()
    Dim x As Long
    x = 1
    
    Call TestSub(x)
    Debug.Print x ' 参照渡しのため、引数に渡した変数の値が2になっている
    
    Debug.Print TestFunction(x) ' 戻り値は3だが
    Debug.Print x ' 値渡しのため、引数に渡した変数の値は2のまま
End Sub

' 参照渡し
Sub TestSub(x As Long)
    x = x + 1
End Sub

' 値渡し
Function TestFunction(ByVal x As Long) As Long
    x = x + 1
    TestFunction = x
End Function

エラー

おまじない

On Error GoTo ラベル名 でエラー発生時に指定したラベルまで飛びます。
err.Description でエラーの内容を取得可能です。

Sub Test()
    On Error GoTo Label
    ' 何らかの処理
    Exit Sub ' 正常終了時はここで終了
Label:
    MsgBox "エラー内容: " & err.Description
End Sub

エラーを出す

呼び出し元にエラーを投げ返したい場合は err.Raise を使用します。
エラー番号は 513~65535がユーザー定義の範囲だが、1004などの値が既に使われているので、注意が必要です。
参考: https://excel-ubara.com/excelvba4/EXCEL242.html

いったんここまで

関数を Call する際に()を省略できたり、エラーを握りつぶして処理を続行するなどの細かい部分や、クラスに関してなどはまた別の記事で作成予定です…

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