TL;DR
- 切り戻しの事故は「手順がない」からではなく「いつ発動するか決めてない」から起きる
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- 発動基準は 観測可能な条件 + タイムリミット の2軸で、作業前に固定する
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- ポイント・オブ・ノーリターンは切り戻し所要時間から逆算する
よくある光景
深夜のリリース作業。手順書には立派な切り戻し手順が書いてある。でも本番でトラブると——
「あと5分粘れば直りそうな気がする」
「切り戻すと明日また作業申請か…」
「これ、切り戻すほどのやつかな?」
と、人間は必ず粘ります。粘った結果、切り戻しにも間に合わなくなって朝を迎える。これが典型的な事故パターンです。
問題は判断力ではありません。判断を現場のプレッシャー下でやらせる設計が問題です。
発動基準の書き方
作業前に、以下の形式で「切り戻しを開始する条件」を固定します。
| # | 条件 | 判断者 |
|---|---|---|
| 1 | 手順5の期待結果が 15分以内 に得られない | 作業者(即時発動可) |
| 2 | 23:30(ポイント・オブ・ノーリターン)までに手順7が未完了 | 作業責任者 |
| 3 | 対象システムで作業と因果不明の重大アラートが発生 | 作業責任者 |
ポイントは3つ。
1. 観測可能な条件で書く
「問題が発生した場合」はNGです。観測できないので、解釈の余地=粘る余地が生まれます。「手順nの期待結果がn分以内に得られない」のように、誰が見てもYes/Noが割れない条件にします。
2. タイムリミットは逆算で決める
ポイント・オブ・ノーリターン = 作業枠の終了時刻 − (切り戻し所要時間 + 正常性確認 + バッファ)
例: 作業枠が24:00まで、切り戻し20分、確認15分、バッファ10分 → 23:15がリミット。これを手順書に書いておくと、23:15に「まだ粘るか」の議論自体が発生しません。
3. 判断者を決めておく
「即時発動できる条件」と「責任者判断の条件」を分けます。全部を責任者判断にすると、連絡がつかない5分間でリミットを越えます。
おまけ: 手順書自体の「型」
発動基準を含め、手順書に最低限必要な骨格はこれだけです。
- 作業概要(目的・影響範囲・前提条件)
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- 事前確認(チェックリスト)
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- 作業手順(操作+期待結果のセット)
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- 正常性確認(サービス/システム/監視の3視点)
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- 切り戻し(発動基準+手順)
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