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中間層で解決できない問題はない —— システム最適化の考え方と実践

Last updated at Posted at 2025-09-25

はじめに

システム設計の世界では、よくこんなジョークがあります:

中間層で解決できない問題は存在しない。もしダメなら、もう一層足せばいい。

ネタっぽいですが、実際のアーキテクチャ設計でもよくある発想です。
中間層を挟むことで複雑さを分解し、性能を上げたり、拡張性を持たせたり、依存関係をゆるくする

この記事では、自分の経験も交えながら「中間層の役割とメリット・デメリット」を整理してみます。


なぜ中間層が必要なのか?

サービスが成長していくと、機能追加やデータのやり取りがどんどん複雑になります。
原子システム(ユーザーや注文など)とビジネスシステム(レコメンドやマーケなど)を直結すると、こんな問題が出やすいです:

  • 依存が強すぎる → ちょっと直すだけで全体に影響。
  • パフォーマンス問題 → 原子サービスに負荷が集中して遅くなる。
  • 拡張性の欠如 → 新しい要件で全体を作り直し。

そこで「中間層を挟む」という選択肢が効いてきます。


中間層のよくあるユースケース

  1. パフォーマンス改善

    • Redis / Memcached でキャッシュして DB 負荷を下げる。
    • Kafka / RabbitMQ でリクエストをバッファしてスパイク吸収。
  2. データ統合

    • 複数サービスのデータをまとめて、上流で扱いやすく整形。
  3. ビジネスの疎結合化

    • API Gateway や中台で統一インターフェースを提供。
  4. セキュリティやガバナンス

    • 認証、レート制御、ログ収集を一箇所でやる。

実例:二層キャッシュでマイクロサービスを最適化してみた

背景

自分が関わったあるシステムでは、マイクロサービス構成になっていました:

  • 原子システム:ユーザー / 注文 / 在庫 / 商品
  • ビジネスシステム:レコメンド / 風控 / マーケティング

でも、ビジネス側から原子システムへのアクセスが多すぎて…

  • API 呼び出しが爆増。
  • レスポンス遅延。
  • 原子サービスが悲鳴をあげる。

解決策:二層キャッシュを挟む

そこで導入したのが 二層キャッシュ中間層 です。

diagram-system-map.png

第一層:生データキャッシュ(ES)

  • 原子システムから取ってきたデータをそのまま保持。
  • Elasticsearch に保存して検索・追跡できるようにする。

第二層:特徴データキャッシュ(Redis)

  • 生データをビジネス用に加工して保持。
  • Redis に保存し、短期的に高速提供。

データフロー

  1. 初回は原子システムからフルデータを取得 → ES に保存。
  2. Kafka / RocketMQ で変更を検知して差分更新。
  3. ビジネスシステムはまず Redis を参照 → なければ ES → 最後に原子システム。

効果

  • レスポンス改善:Redis でミリ秒アクセス。
  • 負荷軽減:原子システムの API 呼び出しを大幅削減。
  • 責務分離:データ保持と特徴計算を分けて保守しやすくなった。

中間層のメリット・デメリット

メリット

  • 依存を切り離せる。
  • 柔軟にデータ構造を変えられる。
  • キャッシュやキューでパフォーマンス改善。

デメリット

  • 層が増えると複雑になる。
  • 遅延が積み上がる可能性。
  • 運用コストが増える。

まとめ

「中間層で解決できない問題はない」というのはネタ半分ですが、設計の発想としてはかなり有効です。

ポイントは:

  • ボトルネックを見つけること。
  • 適切な中間層を設計すること。
  • ただし層の増やしすぎに注意すること。

最終的なゴールは「千層ミルフィーユ」みたいなアーキテクチャではなく、必要最小限の中間層で効率的・シンプルなシステムを作ることです。

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