こんにちは|こんばんは。カエルのアイコンで活動しております @kyamaz です。
はじめに
クリスマスシーズンで街が煌めいていますので、本稿はクリスマスにちなんだエントリーにしたいと思います。
フェルマーのクリスマス定理
1640年12月25日にフェルマーがメルセンヌに対して送った手紙に証明できたと書かれていたと言われ『フェルマーのクリスマス定理』という別名を持つ定理について取り上げてみます。この定理もフェルマーらしく(?)証明は公開されずに、後にレオンハルト・オイラーが最初に証明を与えたというものです。最近では、2011年にドイツの数学者ドン・ベルナルト・ザギエによって “One-Sentence Proof” として証明を与えたというのもこの定理が奥深い定理なんだと思います。(“One-Sentence Proof” の詳細は脚注のブログが詳しい1)
- フェルマーのクリスマス定理(二平方和定理)
- 4で割って1余る素数は必ず2つの平方数の和で一意的に表すことができる。
詳しい証明は、マスオさんらが運営している『高校数学の美しい物語』に掲載されております。
4で割って1余る素数は、この性質があるため『ピタゴラス素数』と呼ばれております。(の過去記事2を参照ください)
ランダウ・ラマヌジャンの定数
ピタゴラス素数は、必ず2つの平方数の和で表せますが、自然数 $n$ が2つの平方数の和で表されるかを知るのにもこの定理が役立ちます。自然数 $n$ を素因数分解して、$p\equiv 3 \pmod 4$の形の素因数を平方以外の形で持つ場合は、二個の平方数の和で表されることはない、ということが示せます。(Wikipediaを参照3)。
これに関連して、ランダウとラマヌジャンが次の事実を独立して発見しました。
十分に大きい $x$ に対して、$x$ 以下の自然数のうち、2つの平方数の和で表されるものの割合は漸近的に次のように比例する。
$\displaystyle \frac{bx}{\sqrt{\log{x}}}$
この比例定数 $b$ を『ランダウ・ラマヌジャンの定数』といいます。
このランダウ・ラマヌジャンの定数の小数点以下の数は、オンライン整数列大辞典のA064533に記載があります。以下に書き写しておきます。
$
b \approx 0.
7642236535892206629906987312500923281167
9054139340951472168667374961464165873285
8838401505013131233721937269120792592634
1874206467808432306331543462938053160517
1169636177508819961243824994277683469051
62351392187196205690532956446704 \dots
$
このことから、2つの平方数の和で表されない数が存在しますが、それでは全ての自然数は幾つの平方数の和で表されるのかという問いに興味が湧きます。勿論、その問いについても次のような定理が知られています。
三個の平方数の和
Wikipediaにも三個の平方数の和の項があります。Wikipediaによると、
自然数 $N$ が三個の平方数の和で表されるための必要十分条件は、$ n \ge 0, k \ge 0, a \in \{1,2,3,5,6\} $ として、$ N=4^{n}(8k+a) $ で表される。
この逆に、$ N=4^{n}(8k+7) $ で表される自然数は三個の平方数の和で表されません。
ラグランジュの四平方定理
そこで次の定理が成り立ちます。証明はWikipediaの『四平方定理』に記述がありますのでご確認ください。
全ての自然数は、高々四個の平方数の和で表される
そしてこの平方数の和で表す方法の個数に対する定理が『ヤコビの四平方定理』として知られています。この定理は、ヤコビにより楕円関数論で証明されたそうです。整数論から楕円関数論に論理が展開するのは、数学の面白いところだと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。本稿では、プログラムの紹介もなく mathlog に寄稿するべき内容なのかもしれません。
できれば、ランダウ・ラマヌジャンの定数を求めるプログラムを紹介したかったですが、論文を当たる必要もあって難易度が高く、 は俄かに挫折しました。PARI/GPのプログラム例が紹介されたサイトもあります。PARI/GPに興味があり、試せる環境がある方はお試しください。
ご一読いただきまして有り難うございます。
(●)(●) Happy Hacking!
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May all your Christmas wishes come true!