こんにちは|こんばんは。カエルのアイコンで活動しております @kyamaz です。
はじめに
前のエントリ『非整数階積分(分数階積分)』でリーマン-リウヴィル積分(Riemann-Liouville integral)を考えました。微分が積分の逆作用と考えると、非整数階微分(Fractional derivatives)という概念を定義することができます。この非整数階の微分については、Youtubeのずんだもんの定理【数学解説】さんが2本の動画を投稿されています。
本稿では、非整数階微分を紹介します。その前にまずは、リーマン-リウヴィル積分の定義を紹介します。
- リーマン-リウヴィル積分
- 正の実数$\alpha$とすると, $$\begin{flalign} (I^\alpha f)(x) = {1\over \Gamma(\alpha)} \int_0^x (x-\tau)^{\alpha -1}f(\tau) d\tau \tag{A} \end{flalign}$$
リーマン-リウヴィル微分
式(A)の逆操作として、微分を考えましょう。段階的に考えるために、$(I^\alpha f)(x)$の$1$階微分をとってみます。
$$\begin{flalign}
\frac{d}{dx}(I^{\alpha}f)(x) = \frac{d}{dx}\Big( I(I^{{\alpha}-1}f)\Big)(x)
=(I^{{\alpha}-1}f)(x)
\end{flalign}$$
同様に、$2$階$,3$階$\dots$と$k$階微分すると、
$$\begin{flalign}
\frac{d^k}{dx^k}(I^{\alpha}f)(x) = (I^{{\alpha}-k}f)(x) \tag{B}
\end{flalign}$$
となります。これは正の整数$k$、かつ$\alpha \gt k$であると自然な拡張ですが、$\alpha \lt k$で考えるには、次のように式(B)とは逆の記述を考えることとすれば拡張できそうです。
$$\begin{flalign}
\frac{d^{\alpha}}{dx^{\alpha}}(I^{k}f)(x) = (I^{k-{\alpha}}f)(x) \tag{C}
\end{flalign}$$
ここで改めて、リーマン-リウヴィル微分を定義します。$\alpha$階積分を$k$階微分することにより非整数階微分$D^{k-{\alpha}}$を導入します。
- リーマン-リウヴィル微分
- $$\begin{flalign} (D^{k-{\alpha}} f)(x) &\equiv {d^{k} \over dx^{k}} D^{-\alpha} f(x) \\\\ &= {d^{k} \over dx^{k}} I^{\alpha} f(x) \\\\ &= {1\over \Gamma(\alpha)} {d^{k} \over dx^{k}} \int_0^x (x-\tau)^{\alpha -1}f(\tau) d\tau \tag{C} \end{flalign}$$
それでは幾つか例を挙げてみます。
例1)$f(x)=x$の$1/2$階微分
$$\begin{flalign}
\frac{d^{1/2}}{dx^{1/2}}x &= \frac{d}{dx}
\left( \frac{1}{\Gamma (\frac{1}{2})}\int_0^x (x-t)^{-\frac{1}{2}}
dt \right) \\
&= \frac{1}{\sqrt{\pi}} \frac{d}{dx} \left(
\int_0^x u^{-\frac{1}{2}}(x-u)du\right) & (u=x-t) \\
&= \frac{1}{\sqrt{\pi}}\frac{d}{dx}\left( x \int_0^x
u^{-\frac{1}{2}}du - \int_0^x u^{\frac{1}{2}} du\right) \\
&= \frac{1}{\sqrt{\pi}} \left(\int_0^x u^{-\frac{1}{2}}du + x \cdot x^{-\frac{1}{2}} - x^{\frac{1}{2}} \right) \\
&= \frac{2\sqrt{x}}{\sqrt{\pi}}
\end{flalign}$$
おわりに
非整数階微分には詳しく調べると不思議な結果を得ることもあるようですが、本稿は、非整数階微分の紹介にとどめさせていただきます。
ご一読いただきまして誠に有り難うございます。
(●)(●) Happy Hacking!
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