はじめに
AI技術の進化に伴い、「Agent-to-Agent(A2A)」や「Method Calling Protocol(MCP)」といった言葉を耳にする機会が増えてきました。
本記事では、これらの用語の意味や違いを具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
Agent-to-Agent(A2A)とは?
Agent-to-Agent(略称:A2A) とは、複数のAIアシスタント(エージェント)が互いに会話し、協力して問題を解決する仕組みです。
日常生活に例えると、チームのメンバーがそれぞれの専門知識を活かして協力し、仕事を完成させるようなイメージです。
身近な例:レストランの予約をするとき
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従来の方法:
あなたが1つのAIアシスタントに「レストランを予約して」と指示すると、そのAIがすべての作業を単独で行います。 -
Agent-to-Agent方式の場合:
複数のAIエージェントが役割分担し、チームとして協力します。- 「調査担当」のAIが候補のレストランを探す
- 「判断担当」のAIが候補を比較して最適なレストランを選ぶ
- 「予約担当」のAIが実際に電話やWebサイトで予約手続きを行う
これらのエージェントは互いに情報を交換し、連携しながらタスクを達成します
Method Calling Protocol(MCP)とは?
Method Calling Protocol(略称:MCP) は、AIが外部ツールやサービスと連携するための仕組みです。
AIが特定のサービスを呼び出して利用するための「言語」や「手順」と考えると分かりやすいでしょう。
身近な例
- AIが天気予報サービスにアクセスして最新の情報を取得
- AIがカレンダーアプリを操作し、予定を追加
- AIがオンラインショップの商品を検索・注文
これらはすべて、MCP を使ってAIが外部のサービスやツールを呼び出して操作しているイメージです。
A2AとMCPの違いを比較
A2AとMCPは似ているように見えますが、以下の表のように重要な違いがあります。
項目 | A2A (Agent-to-Agent) | MCP (Method Calling Protocol) |
---|---|---|
連携する相手 | 他のAIエージェント(同じ知能を持つ仲間) | 外部ツール・サービス(特定の機能を持つ道具) |
コミュニケーション形式 | 自然な会話形式 「この情報をどう思う?」 |
命令と応答の形式 「この情報を取得して」 「結果はこれです」 |
自律性・判断力 | 各AIエージェントが 自律的に判断 | 指示された内容を忠実に実行するのみ |
分かりやすい例え | 同僚とのチームワーク | 道具や機械を使う作業 |
実際のケースで違いを理解する
具体的に、旅行計画を立てる場合を考えてみましょう。
MCPだけを使った場合
- AIが直接、航空券検索サービスを利用して最安値を調べる。
- AIが直接、ホテル予約サービスで空室状況を確認する。
- AIが直接、口コミサイトで評価を調べる。
A2Aを使った場合
- 「航空券担当」AI が航空券の候補を探す
- 「ホテル担当」AI が宿泊施設を探して提案
- 「アクティビティ担当」AI が現地の活動内容を調べて提案
- 「コーディネート担当」AI が各AIから情報を収集・整理し、最終提案を作成
組み合わせると強力なA2AとMCP
実際には、A2AとMCPは組み合わせて使用されることが多いです。
例として、健康管理アプリを考えてみます。
- 「食事分析AI」が MCP を使って栄養データベースから栄養情報を取得
- 「運動分析AI」が MCP を使ってフィットネストラッカーのデータを読み込む
- それらのAI同士が A2A で情報を共有し、総合的な健康アドバイスを提供
このように、A2AとMCPを組み合わせることで、より高度なAIサービスを実現できます。
まとめ
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Agent-to-Agent(A2A) とは、複数のAIエージェントが協力して問題解決を行う仕組み(チームワーク型)。
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Method Calling Protocol(MCP) とは、AIが外部ツールやサービスを利用するための仕組み(道具利用型)。
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多くのAIシステムでは、A2AとMCPを組み合わせて複雑かつ高度なタスクを効率的に処理しています。
A2AとMCPを理解することで今後AIサービスがどのように発展し、私たちの生活を便利にしてくれるのかが見えてくると思います。