■ 事のあらまし
私たちのチームは2020年4月あたりからリモートワークに移行しました。
最初は3人だったチームが、今では倍以上に。
対面での会話が減ったからでしょうか
メンバーが増えたからでしょうか
どんどんコミュニケーションロスが起こるように…
- ex)
- 報連相が不足し、タスクの進捗が不透明になった
- 作業内容の認識齟齬が目立つようになり、手戻りが発生するようになった
少人数だったからこそ会話でカバーできていたチームにボロが出てきましたね…。
こりゃいかんということで、これらを解消するために3つの施策を導入しました。
■ 3つの施策
1. マンダラチャートで意識調査
改めてメンバーのことを知ろう!ということで意識調査を行いました。
マンダラチャートとは目標設定・達成のためのツールで、プロ野球選手・大谷翔平さんも取り入れていたことで有名になった印象ですね。
目標(=テーマ)を中央に記載し、それを達成するために必要な要素を周りに書き出して深堀りしていく、というものです。
私たちは「良いチーム」を構成する要素は何か?というテーマを設定し、レクリエーションとして取り組んでもらいました。
目標設定ではなく、それぞれのメンバーの意識調査を目的とした利用になります。
こんなテンプレートを用意してチームメンバーに埋めてもらいました。
出来上がったものを見せてもらって、それぞれのメンバーのスタンスを知れたことが大収穫でした。
「同じオフィスで、近くの席に座って働く」という過程をすっ飛ばして集まったメンバーだったので、人となりが分からなかった部分も多かったんだな…と再認識。
チーム編成に活かすため、各メンバーを2つのタイプに分類しました。
- タスクは誰かに振ってもらって、コツコツ進めたい
→ 職人肌タイプ - チーム全体の雰囲気を見て立ち回る
→ バランサータイプ
これらを念頭に置きつつチーム編成を考えていきます。
2. 組織行動論を参考にしたチーム編成
報連相漏れが目立つようになったため、指示系統の見直しを行いました。
人間の行動に影響を与える要素として「個人」「集団」「組織」という分類がある…という考え方が組織行動論です。
この3つの分類をチーミングに活かせないかな?というところからスタートした施策でした。
これらの分類のうち、どこまでを意識して行動できているか?という観点が重要そう。
前述のマンダラチャートで分かったメンバーのスタンスと合わせると…
意識できている分類 | スタンス | できること | 期待する役割 |
---|---|---|---|
個人 | 職人タイプ | 自分にアサインされたタスクをこなす | 実際にタスクを遂行してもらう作業者 |
集団 | バランサータイプ | 自分のタスクに加えて、 チームメンバーの動向についても意識できる |
メンバーにタスクを割り振るチームリーダー |
組織 | チーム全体の意思決定、顧客折衝 | 全体の舵を取るプロジェクトリーダー |
こんな感じでしょうか。
これを踏まえて、下図のような指示系統になるよう再編成を行いました。
また、メンバー間の相性もあるだろうと考え、しばらくは色々な組み合わせでタスクを遂行してもらい、なるべくコミュニケーションに摩擦が生じない組み合わせになるよう調整も行いました。
再編成以前と比べて報告の抜け漏れが少なくなり、しっかり状況把握できるようになりました。
3. 作業見積もりで認識齟齬を防止
指示者と作業者の間で認識齟齬が生じるようになったため、作業フローを見直しました。
作業者は手を動かす前に作業内容について調査を行い、指示者との間に認識齟齬がないことを確認した上で作業を開始するフローとしました。
私たちのチームではソース管理にGitLabを利用しているため、「issueテンプレート」機能を使いました。
テンプレートの内容は以下の通りです
項目 | 記入者 | 記入内容 | 目的 |
---|---|---|---|
概要 | PL or TL | 作業内容の概要を記載する | |
再現手順 | 作業者 | 実際に再現できるか確認し、その手順を記載する | 事象が再現することを"作業前に"確認してもらいたい |
本来期待される挙動 | 作業者 | 修正後はどのような状態になる想定かを記載する | issueが発生した経緯について理解してもらいたい |
修正しないとどう困るか | 作業者 | そのバグによってどのような影響が出ているかを記載する | issueが発生した経緯について理解してもらいたい |
原因 | 作業者 | そのバグが発生した原因となったファイルを記載する | 見切り発車せず、原因を特定した上で作業してもらいたい |
修正案 | 作業者 | 原因となったファイルの修正案を記載する | 見切り発車せず、修正の方針を相談した上で作業してもらいたい |
作業者はこれらを埋めた状態でチームリーダーからのレビューを受け、認識齟齬がないことを確認した上で作業を開始してもらうことをルールとしました。
ちょっと堅苦しいルールにしたので作業者目線だと面倒だったかもしれません…。
が、このテンプレートの運用開始以降、作業内容の認識齟齬は少なくなり、ほとんど手戻りしなくなったので効果大でした。
■ まとめ
報連相漏れ、認識齟齬といったコミュニケーションロスが目立ち始めたため、3つの施策を導入しました。
導入以降は改善され、効果を実感できました。
皆様のチーミングの参考になれば幸いです。