概要
第5世代移動通信システム (5G) のコアネットワーク (以下5GC) について勉強する機会があったのでメモを残します。
と勉強を進めてきましたが、
今回は5GCの主要なシーケンス(Registration, Deregistration, PDU Session Establishment)について学習し、ユーザーの端末がインターネットに抜けられるようになるまでの流れをつかんでいきたいと思います。
シーケンスについては3GPPが提供しているTS 23.502の資料の4章に記載があるので、こちらを和訳しつつ勉強を進めていきます。
ドキュメントが膨大なため細かい所には入っていかず、処理の概要をつかめればと思います。
※筆者の主観で重要そうな部分を抜粋しています。
※英語の解釈が誤っている場合がありますのでご注意ください。
Registration
RegistrationはUE/ユーザーを5Gシステムに登録する手順です。
以下、資料の4.2.2.2章の和訳です。
ユーザーがサービスを受けたり、移動時に端末を追跡できたり、通信可能にするためには、端末をネットワークに登録する必要があります。
Registarationは、UEが以下を実行する場合に実行されます。
- 5GSへの初期登録
- UEが登録されているエリアから新しいトラッキングエリア(TA)に移動したとき。(CM-CONNECTED状態とCM-IDLE状態の両方)
またはUEが新しいトラッキングエリアに変更したかどうかによらず、Registration手順で得た機能またはプロトコルパラメータを更新する必要があるとき - 定期的な登録の更新(事前に定義された非アクティブ期間による)
4.2.2.2.2章の一般登録のコールフローは、全ての登録手順に適用されますが、定期的な登録の場合は、他の登録で使用されるすべてのパラメータを含める必要はありません。
3GPPおよび非3GPPアクセスでの二重登録に関連する側面は、4.12章で説明されています。
4.2.2.2.2章の一般的な登録コールフローは、UEがすでに3GPP以外のアクセスに登録されている場合の3GPPアクセスでの登録の場合にも使用されます。
UEが3GPP以外のアクセスシナリオにすでに登録されている場合の3GPPアクセスへの登録には、4.12.8章で詳しく説明されているように、AMFの変更が必要になる場合があります。
4.2.2.2.2章の一般的な登録コールフローは、緊急サービスの実行を必要とするUEによる緊急登録にも使用されますが、ネットワークから通常のサービスを取得できません。これらのUEは、TS 23.122 [22]で定義されているように、制限されたサービス状態にあります。
初期登録中に、PEI (Permanent Equipment Identifier) はUEから取得されます。
AMFオペレーターはEIR (Equipment Identity Register) を使用してPEIをチェックできます。
AMFはPEI(IMEISV)をUDM、SMFおよびPCFに渡し、UDMはこのデータをNudr_SDM_Update(というインターフェース)によってUDRに格納します。
注1:5GCでのNSI ID(Network Slice Instance Identifier)の使用はオプションであり、通信事業者側の実装によって異なります。
Registration中、ホームネットワークは、AMFを介してUEにステアリングのローミング情報を提供できます。
AMFとUEの間でこの情報がどのように管理されるかを含む、ローミング情報のステアリングの処理に関する詳細は、TS 23.122 [22]で定義されています。
※簡略化のため、ここでは実線の処理のみ追うことにします。
Step1. UE → (R)AN : Registration Request
AN messageとUE Policy Container(PSIsのリスト(?))が含まれる。
AN message内には以下が含まれる。
- AN parameters
- Registration Request
- Registration type
- SUCI or 5G-GUTI or PEI
- SUCI : Subscription Concealed Identifier
- 5G-GUTI : 5G Globally Unique Temporary UE Identity
- last visited TAI (利用可能であれば)
- TAI: Tracking Area Identity
- Security Parameters
- Requested NSSAI
- ネットワークスライス識別子
- NSSAI : Network Slice Selection Assistance Information
- [Mapping Of Requested NSSAI]
- UE Radio Capability Update
- UE MM Core Network Capability
- MMはMobility Management?
- PDU Session status
- List of PDU Sessions to be activated
- Follow on request
- MICO mode preference
- MICO mode : IoTデバイスなどで使用される想定の省電力モード
- MICO : Mobile Initiated Connection Only
- Requested DRX parameters
- DRX : Discontinuous Reception
- 信号を受信していない期間ではRF(Radio Fre-quency)機能部を停止させてスリープ状態とすることで消費電力を抑える技術
Step2. (R)AN : AMF選択
(R)ANはTS 23.501 [2]の6.3.5章で説明されているロジックに基づいてAMFを選択します。
UEがCM-CONNECTED状態の場合、(R)ANは、UEのN2接続に基づいてRegistration RequestメッセージをAMFに転送できます。
(R)ANが適切なAMFを選択できない場合、(R)ANでAMF選択を実行するように設定されたAMF(?)に登録要求を転送します。
Step3. (R)AN → New AMF : Registration Request
N2メッセージ(N2パラメータ、Registration Request(Step1で説明)、UEアクセス選択およびPDUセッション選択情報、UE context request)が含まれる。
NG(New Generation)-RANが使用される場合、N2パラメータには、選択されたPLMN ID、位置情報、およびUEがキャンプしているセルに関連するセルIDが含まれます。
NG-RANが使用される場合、N2パラメータには確立の原因も含まれます。
リクエストされたNSSAIのマッピングは、利用可能な場合にのみ提供されます。
UEによって示されるRegistration typeが定期登録更新である場合、手順4〜20は省略できます。
Step13. New AMF : UDM選択
Step14を実行する場合は、SUPIに基づいてNew AMFがUDMを選択し、UDMがUDRインスタンスを選択します。 TS 23.501 [2]、6.3.9章を参照してください。
AMFは、TS 23.501 [2]の6.3.8章で説明されているようにUDMを選択します。
Step.14a New AMF → UDM : Nudm_UECM_Registration
最後のRegistration手順以降にAMFが変更された場合、またはUEがAMF内の有効なコンテキストを参照しないSUPIを提供した場合、またはUEが同じAMFに登録している場合は、非3GPPアクセスに既に登録されています。
(つまり、UEは非3GPPアクセスを介して登録され、このRegistration手順によって3GPPアクセスを追加します)
New AMFはNudm_UECM_Registrationを使用してUDMに登録し、UDMがこのAMFを登録解除するときに通知を受けるようにサブスクライブします。
UDMはアクセスタイプに関連付けられたAMF IDを保存し、他のアクセスタイプに関連付けられたAMF IDを削除しません。
UDMは、Registration時にNudr_UDM_UpdateによってUDRに提供された情報を格納する場合があります。
Step14b. UDM → New AMF : Nudm_SDM_Get
AMFは、Nudm_SDM_Getを使用して、アクセスおよびモビリティサブスクリプションデータ、SMF選択サブスクリプションデータ、およびSMFデータ内のUEコンテキストを取得します。
これには、UDMがNudr_UDM_QueryによってUDRからこの情報を取得できることが必要です。
Step14c. New AMF → UDM : Nudm_SDM_Subscribe
正常な応答が受信された後、AMFは要求されたデータが変更されたときにNudm_SDM_Subscribeを使用して通知を受けるようにサブスクライブします。
UDMは、Nudr_UDM_SubscribeによってUDRをサブスクライブします。
GPSI (Generic Public Subscription Identifier) がUEサブスクリプションデータで使用可能な場合、GPSIは、UDMからのアクセスおよびモビリティサブスクリプションデータでAMFに提供されます。
UDMは、ネットワークスライシングのサブスクリプションデータがUEに対して更新されていることを示すことができます。
Step21. AMF → UE : Registration Accept
Registration Acceptおよびネットワークスライスサブスクリプションの変更指示が含まれます。
Registration Acceptは以下を含みます。
- 5G-GUTI
- Registrationエリア
- Mobility制限
- PDU session status
- 許可されたNSSAI
- [許可されたNSSAIのマッピング]
- [PLMN向けに設定されたNSSAI]
- [設定されたNSSAIのマッピング]
- 定期的な登録更新タイマー
- LADN (Local Area Data Network) 情報と受け入れられたMICOモード
- IMS Voice over PSセッションでサポートされた指示 (?)
- 緊急サービスサポートインジケーター
- 受け入れられたDRXパラメーター
- N26と関連しない相互接続のネットワークサポート (?)
Deregistration
Deregistrationは5Gシステムに登録されているUE/ユーザーを登録解除する手順です。
以下、資料の4.2.2.3章の和訳です。
Deregistration手順では、次のことを可能にします。
- UEが5Gシステムにアクセスしたくないことをネットワークに通知します。
- ネットワークにUEがこれ以上5Gシステムにアクセスできないことを通知します。
UEによる登録解除要求とネットワークによる登録解除要求には、登録解除が3GPPアクセスに適用されるか、非3GPPアクセスに適用されるか、またはその両方に適用されるかが含まれます。
UEが同じPLMNの両方のアクセスに登録されている場合、登録解除メッセージは、登録解除が適用されるアクセスに関係なく、どのアクセスでも送信できます。
UE-initiated Deregistration
UEは以下の図に示す手順によって登録済みPLMNから登録を解除します。
Step1. UE → AMF : Deregistration Request
UEはAMFにNASメッセージの登録解除要求(5G-GUTI、登録解除タイプ(たとえば、スイッチオフ)、アクセスタイプ)を送信します。
アクセスタイプは、UEの3GPPアクセスと非3GPPアクセスが同じAMFによって処理される場合、登録解除手順が3GPPアクセス、非3GPPアクセス、または両方に適用されるかどうかを示します(TS 23.501 [2]を参照)。
AMFは、UEによって示されるターゲットアクセスの登録解除手順を呼び出します。
Step2. AMF → SMF : Nsmf_PDUSession_ReleaseSMContext Request(条件付き)
UEがStep1に示されているターゲットアクセスを介してPDUセッションを確立していない場合、ステップ2から5は実行されません。
UEに属するターゲットアクセス上のすべてのPDUセッションは、AMFがNsmf_PDUSession_ReleaseSMContext Request(SUPI、PDUセッションID)メッセージを各PDUセッションのSMFに送信することによって解放されます。
Step3. SMF ⇔ UPF : N4 Session Release Request/Response
SMFは、N4セッション解放要求(N4セッションID)メッセージをPDUセッションのUPFに送信します。 UPFは、PDUセッションの残りのパケットをドロップし、N4セッションに関連付けられているすべてのトンネルリソースとコンテキストを解放します。
UPFは、SMFからのN4セッション解放要求に対してN4セッション解放応答(N4セッションID)メッセージを送信します。
Step4. SMF → AMF : Nsmf_PDUSession_ReleaseSMContext Response
SMFはNsmf_PDUSession_ReleaseSMContext Responseメッセージで応答します。
Step5a. SMF ⇔ PCF : SM Policy Association Termination(条件付き)
dynamic PCC (Policy and Charging Control)がこのセッションに適用された場合、SMFは4.16.6項で定義されているSMポリシーアソシエーション終了手順を実行します。
Step5b,c. SMF ⇔ UDM : Nudm_SDM_Unsubscribe/Nudm_UECM_Deregistration(条件付き)
SMFが(DNN、S-NSSAIで)関連付けられたUEに対して処理している最後のPDUセッションである場合、SMFは、Nudm_SDM_Unsubscribeサービス操作を使用して、UDMによるセッション管理サブスクリプションデータ変更通知からサブスクライブ解除します。
SMFはNudm_UECM_Deregistrationサービス操作を呼び出し、UDMがSMF ID、SMFアドレス、および関連付けられたDNNとPDUセッションIDの間に保存していた関連付けを削除します。
Step6. AMF ⇔ PCF : AMF-initiated AM Policy Association Termination(条件付き)
UEとPCF間で関連付けがあり、UEがこれ以上他のアクセス手段で登録されていない場合、AMFは、4.16.3.2章で定義されているAMF-initiated AM Policy Association Termination手順を実行し、PCFとの関連付けを削除します。
Step7. AMF → UE : De-registration Accept(条件付き)
AMFは、登録解除タイプに応じてNASメッセージDeregistration AcceptをUEに送信します。
例えば、登録解除タイプがスイッチオフの場合AMFはDeregistration Acceptメッセージを送信しません。
Step8. AMF ⇔ (R)AN ⇔ UE : Signalling Connection Release(条件付き)
登録解除手順のターゲットアクセスが3GPPアクセスまたは3GPPアクセスと非3GPPアクセスの両方であり、NG-RANへのN2シグナリング接続がある場合、AMFはCauseをDeregistrationに設定してN2 UE ReleaseコマンドをNG-RANに送信し、N2シグナリング接続を解放します。
このステップの詳細は、4.2.6節で説明されているように、ANリリース手順のStep2~4でカバーされています。
登録解除手順のターゲットアクセスが非3GPPアクセスまたは3GPPアクセスと非3GPPアクセスの両方であり、N3IWFへのN2シグナリング接続がある場合、AMFは原因をDeregistrationに設定してN2 UE ReleaseコマンドをN3IWFに送信し、N2シグナリング接続を解放します。
このステップの詳細は、4.12.3節で説明されているように、「信頼されていない非3gppアクセスの登録解除手順」のStep2~5でカバーされています。
Network-initiated Deregistration
以下に示す手順は、ネットワークによって開始される登録解除手順を示しています。
AMFは、この手順を明示的(O&M介入など)または暗黙的(暗黙的な登録解除タイマーの期限切れなど)に開始できます。
UDMは、オペレーターが決定した目的でこの手順をトリガーして、加入者のRMコンテキスト(?)とUEのPDUセッションの削除を要求できます。
Step1. UDM → AMF : Nudm_UECM_DeregistrationNotification (条件付き)
UDMがサブスクライバーのRMコンテキストとPDUセッションの即時削除を要求する場合、UDMは登録されたAMFへのサブスクリプションの撤回に設定された削除理由とともにNudm_UECM_DeregistrationNotification(SUPI、アクセスタイプ、削除の理由)メッセージを登録されたAMFに送信します。
アクセスタイプは、3GPPアクセス、非3GPPアクセス、またはその両方を示す場合があります。
Step2. AMF → UE : De-registration Request
AMFがStep1で、サブスクリプションの撤回に設定された削除理由とともにNudm_UECM_DeregistrationNotificationを受信した場合、AMFはアクセスタイプが示すアクセスに対して登録解除手順を実行します。
AMFが開始する登録解除手順は、明示的(たとえば、O&M介入による)または暗黙的です。
AMFは、暗黙の登録解除のために登録解除要求メッセージをUEに送信しません。
UEがCM-CONNECTED状態にある場合、AMFは登録解除要求メッセージ(登録解除タイプ、アクセスタイプ)をUEに送信することにより、明示的にUEを登録解除することができます。
登録解除タイプは再登録に設定できます。この場合、UEは登録解除手順の最後に再登録する必要があります。
アクセスタイプは、登録解除手順が3GPPアクセスまたは非3GPPアクセス、あるいはその両方に適用されるかどうかを示します。
登録解除要求メッセージが3GPPアクセスを介して送信され、UEが3GPPアクセスでCM-IDLE状態にある場合、AMFはUEを呼び出します。
Step3. AMF → UDM : Nudm_UECM_DeregistrationNotificationAck/Nudm_SDM_Unsbscribe (条件付き)
Step1で登録解除手順がUDMによってトリガーされた場合、AMFはNudm_UECM_DeRegistrationNotificationをUDMに確認します。
AMFはNudm_SDM_Unsubscribeサービス操作を使用してUDMのサブスクライブ解除します。
Step4. ※UE-initiated DeregistrationのStep2~5と同じ(条件付き)
UEがStep2で示される登録解除のターゲットアクセスを介して確立されたPDUセッションを持っている場合、4.2.2.3.2項のUEが開始する登録解除手順のStep2〜5が実行されます。
Step5. AMF ⇔ PCF : AMF-initiated AM Policy Association Termination
UE-initiated DeregistrationのStep6と同じ
Step6. UE → AMF : De-registration Accept(条件付き)
Step2でUEがAMFから登録解除要求メッセージを受信した場合、UEはStep2の後どのような時も登録解除メッセージをAMFに送信します。
NG-RANは、このNASメッセージをTAIおよびUEが使用しているセルのIDとともにAMFに送信します。
Step7. AMF ⇔ (R)AN ⇔ UE : Signalling Connection Release(条件付き)
UE-initiated DeregistrationのStep8と同じ
PDU Session Establishment
PDU Session Establishmentは基地局とコアネットワークとの間のセッションを確立する手順です。
以下、資料の4.3.2章の和訳です。
4.3.2.1 General
PDUセッションの確立は、以下に対応します。
- UEがPDUセッション確立を開始する手順。
- UEが3GPPと非3GPPの間でPDUセッションハンドオーバーを開始する手順。
- UEがEPSから5GSへPDUセッションハンドオーバーを開始する手順。
- PDUセッション確立手順によってトリガーされるネットワーク。
この場合、ネットワークはデバイストリガーメッセージをUE側のアプリケーションに送信します。
デバイストリガー要求メッセージに含まれるペイロードには、UEセッション側のどのアプリケーションがPDUセッション確立要求をトリガーすると予想されるかに関する情報が含まれています。
その情報に基づいて、UE側のアプリケーションがPDUセッション確立手順をトリガーします。
詳細については、4.13.2項を参照してください。
UEが3GPPアクセスのPLMNとは異なるPLMNにあるN3IWFを介して非3GPPアクセスに同時に登録されている場合、次の手順の機能エンティティは、PDUセッションのためにNASをUEと交換するために使用されるアクセスのPLMNにあります。(?)
4.3.2.2 UE Requested PDU Session Establishment
4.3.2.2.1 Non-roaming and Roaming with Local Breakout
4.3.2.2.1章では、ローミングなし/ローミングあり/ローカルブレイクアウトケースのローミングでのPDUセッションの確立を指定しています。この手順は、次の目的で使用されます。
- 新しいPDUセッションを確立します。
- EPSのPDN接続をN26インターフェースなしの5GSのPDUセッションにハンドオーバします。
- 既存のPDUセッションを3GPP以外のアクセスと3GPPアクセスの間で切り替えます。この場合の特定のシステム動作は、4.9.2章で詳細に定義されます。
- 緊急サービスのPDUセッションを要求します。
ローミングの場合、AMFはLBO (Local Break Out) またはホームルーティングでPDUセッションを確立するかどうかを決定します。
LBOの場合、手順は非ローミングの場合と同様ですが、AMF、SMF、UPF、およびPCFが訪問先ネットワークに配置されている点が異なります。
緊急サービスのPDUセッションは、ホームルーティングモードでは確立されません。
注1:UEは、TS 23.501 [2]の5.15.5.3節で説明されているように、ホームと訪問先の両方のPLMN S-NSSAIをネットワークに提供します。
この手順では、UEがすでにAMFに登録されていることを前提としているため、UEが緊急登録されていない限り、AMFはすでにUDMからユーザーサブスクリプションデータを取得しています。
Step1. UE → AMF : PDU Session Establishment Request
UEからAMFにNAS Messageを送信します。
NAS Messageには以下が含まれます。
- S-NSSAI (Single NSSAI)
- DNN
- リクエストタイプ
- 新しいPDUセッションの確率の場合は
Initial request
を指定する - 緊急サービスが必要な場合は
Emergency Request
を指定する
- 新しいPDUセッションの確率の場合は
- 古いPDUセッションID
- N1 SM container (PDU Session Establishment Request)
- PDUセッションID
- 要求されたPDUセッションタイプ
- 要求されたSSC (Session and Service Continuity) モード
- SSC : 端末とサーバ間の距離に依存する遅延を短縮するために、MECとは別に遅延の原因となるハンドオーバ時の瞬断を防ぐ機能の改善、および最短経路での端末間通信を可能とするルーティング制御機能。
- 5GSM Capability PCO (?)
- SM PDU DN Request Container
- パケットフィルター数
- パケットフィルター数は、確立されているPDUセッションで送信されたQoSルールでサポートされているパケットフィルターの数を示します。
UEが示すパケットフィルターの数は、PDUセッションの存続期間中有効です。
- パケットフィルター数は、確立されているPDUセッションで送信されたQoSルールでサポートされているパケットフィルターの数を示します。
新しいPDUセッションを確立するために、UEは新しいPDUセッションIDを生成します。
UEによって送信されたNASメッセージは、ANによって、ユーザーの位置情報とアクセスタイプ情報を含むAMFへのN2メッセージにカプセル化されます。
Step2. AMF : SMF selection
AMFは、その要求タイプが「初期要求」を示すことに基づいて、メッセージが新しいPDUセッションの要求に対応し、PDUセッションIDがUEの既存のPDUセッションに使用されていないと判断します。
UEが提供するDNNがネットワークでサポートされておらず、AMFがオペレーターポリシーに基づいてNRFをクエリすることによってSMFを選択できない場合、AMFは、適切なCauseでUEからのPDUセッション確立要求を含むNASメッセージを拒否します。
AMFは、TS 23.501 [2]の6.3.2節と4.3.2.2.3節で説明されているように、SMFを選択します。
要求タイプが「Initial Request」を示している場合、または要求がEPSまたは別のAMFによる3GPP以外のアクセスからのハンドオーバーによるものである場合、AMFはS-NSSAI(s)、DNN、PDUセッションID、SMF IDをPDUセッションのアクセスタイプと同様に保存します。
要求タイプが「Existing PDU Session」を示す場合、AMFはUDMから受信したSMF IDに基づいてSMFを選択します。
Step3. AMF → SMF : Nsmf_PDUSession_CreateSMContext Request
AMFからSMFへNsmf_PDUSession_CreateSMContext RequestまたはNsmf_PDUSession_UpdateSMContext Requestを送信します。
Nsmf_PDUSession_CreateSMContext Requestには以下が含まれます。
- SUPI
- DNN
- S-NSSAI(s)
- PDUセッションID
- AMF ID
- リクエストタイプ
- PCF ID、
- 優先アクセス
- N1 SMコンテナー(PDUセッション確立リクエスト)
- ユーザーロケーション情報
- アクセスタイプ
- PEI
- GPSI (Generic Public Subscription Identifier)
- LADNサービスエリア内のUEの存在
- PDUセッションステータス通知のサブスクリプション
- DNN選択モード
Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext Requestには以下が含まれます。
- SUPI
- DNN
- S-NSSAI(s)
- PDUセッションID
- AMF ID
- リクエストタイプ
- N1 SMコンテナ(PDUセッション確立リクエスト)
- ユーザー位置情報
- アクセスタイプ
- RATタイプ (RAT : Radio Access Technology)
- PEI
Step4 Registration / Subscription retrieval / Subsucription for updates (抜粋)
手順3の要求タイプが「緊急要求」または「既存の緊急PDUセッション」ではない場合、およびSMFがこのPDUセッションIDにまだ登録していない場合、SMFはNudm_UECM_Registration(SUPI、DNN、PDUセッションID)を使用してUDMに登録します。
Step5. SMF → AMF : Nsmf_PDUSession_CreateSMContext Response
Step3で受信した要求に応じて、SMFからAMFへ
Nsmf_PDUSession_CreateSMContext Response(Cause、SMコンテキストIDまたはN1 SMコンテナー(PDUセッション拒否(Cause)))
または
Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext Responseのいずれかを送信します。
SMFがStep3でNsmf_PDUSession_CreateSMContext要求を受信し、SMFがPDUセッション確立要求を処理できる場合、SMFはSMコンテキストを作成し、SMコンテキスト識別子を提供することによってAMFに応答します。
PDUセッションのU-Planeセキュリティポリシーで整合性保護が「必須」に設定されていると判断された場合、SMFはローカル構成に基づいて、UE整合性保護の最大データレートに基づいてPDUセッション要求を受け入れるか拒否するかを決定します。
SMFがPDUセッションの確立を受け入れないことを決定すると、SMFはNsmf_PDUSession_CreateSMContext ResponseでAMFに応答することにより、関連するSM拒否原因を含むNAS SMシグナリングを介してUE要求を拒否します。
また、SMFはPDUセッションIDが解放されたと見なされることをAMFに示し、SMFはステップ20に進み、PDUセッション確立手順が停止します。
Step6. PDU Session authentication/authorization
オプションの二次認証/認可。
Step3の要求タイプが「既存のPDUセッション」を示している場合、SMFは2次認証/認可を実行しません。
Step3で受信した要求タイプが「緊急要求」または「既存の緊急PDUセッション」を示している場合、SMFは二次認証/認証を実行してはならない。
TS 23.501 [2] 5.6.6節で説明されているように、SMFがDN-AAAサーバーによるPDUセッションの確立中に二次認証/認可を実行する必要がある場合、SMFは4.3.2.3節で説明されているPDUセッション確立認証/認可をトリガーします。
Step8. SMF : UPF selection
Step3の要求タイプが「初期要求」を示している場合、SMFは、TS 23.501[2] 5.6.9.3章で説明されているように、PDUセッションのSSCモードを選択します。
SMFは必要に応じて1つ以上のUPFも選択します。(TS 23.501[2] 6.3.3章)
PDUセッションタイプがIPv4/IPv6/IPv4v6のいずれかの場合、SMFはTS 23.501[2] 5.8.1章で説明されているように、PDUセッションにIPアドレス/プレフィックスを割り当てます。
PDUセッションタイプがIPv6またはIPv4v6の場合、SMFはUEにリンク識別子を割り当てて、UEがリンクローカルアドレスを作成するようにします。
Step3の要求タイプが「既存のPDUセッション」である場合、SMFは、ソースネットワークですでにUEに割り当てられているのと同じIPアドレス/プレフィックスを維持します。
Step3の要求タイプが「既存のPDUセッション」を示し、3GPPアクセスと非3GPPアクセスの間で移動した既存のPDUセッションを参照する場合、SMFはPDUセッションのSSCモード、現在のPDUセッションアンカー、およびIPアドレスを維持します。
要求タイプが「緊急要求」を示す場合、SMFはTS 23.501 [2]の5.16.4節で説明されているようにUPFを選択し、SSCモード1を選択します。
Step10. SMF ⇔ UPF : N4 Session Establishment/Modification Request/Response
要求タイプが「初期要求」を示す場合、SMFは選択されたUPFを使用してN4セッション確立手順を開始します。
それ以外の場合は、選択されたUPFを使用してN4セッション変更手順を開始します。
Step11. AMF ⇔ SMF : Namf_Communication_N1N2MessageTransfer
SMFからAMFへNamf_Communication_N1N2MessageTransferを送信します。
Namf_Communication_N1N2MessageTransferには以下が含まれます
- PDUセッションID
- N2 SM情報
- PDUセッションID
- QFI(s) (QFI : QoS flow ID)
- QoSプロファイル
- CNトンネル情報
- 許可されたNSSAIからのS-NSSAI
- セッション-AMBR(AMBR : Aggregated Maximum Bit Rate)
- PDUセッションタイプ
- ユーザープレーンセキュリティ実施情報
- UE Integrity Protection最大データレート
- N1 SMコンテナー
- (QoSルールに関連付けられたQoSフローに必要な場合)
- QoSルールおよびQoSフローレベルのQoSパラメーター
- 選択されたSSCモード
- S-NSSAI(s)
- DNN
- 割り当てられたIPv4アドレス
- インターフェース識別子
- セッションAMBR
- 選択されたPDUセッションタイプ
- リフレクティブQoSタイマー(利用可能な場合)
- P-CSCFアドレス (P-CSCF : Proxy Call Session Control Function)
- (QoSルールに関連付けられたQoSフローに必要な場合)
PDUセッションに複数のUPFが使用されている場合、CNトンネル情報にはN3を終端するUPFに関連するトンネル情報が含まれています。
Step12. AMF → (R)AN : N2 PDU Session Request(NAS msg)
AMFから(R)ANにN2 PDU Session Requestを送信します。
N2 PDU Session Requestには以下が含まれます。
- N2 SM情報
- NAS message
- PDUセッションID
- N1 SMコンテナー(PDU Session Establishment Accept)
Step13. (R)AN ⇔ UE : AN-specific resource setup (PDU Session Establishment Accept)
(R)ANは、SMFから受信した情報に関連するAN固有のシグナリング交換(?)をUE向けに発行します。
例えばNG-RANの場合、RRC (Radio Resource Control) 接続再構成は、UEがStep12で受信したPDUセッション要求のQoSルールに関連する必要なNG-RANリソースを確立するときに行われます。
(R)ANは、Step12で提供されたNASメッセージをUEに転送します。
(R)ANは必要な(R)ANリソースが確立され、(R)ANトンネル情報の割り当てが成功した場合にのみ、NASメッセージをUEに提供します。
Step14. (R)AN → AMF : N2 PDU Session Request Ack
(R)ANからAMFへN2 PDU Session Responseを送信します。
Responseには以下が含まれます。
- PDUセッションID
- Cause
- N2 SM情報
- PDUセッションID
- ANトンネル情報
- 承認/拒否されたQFIのリスト
- ユーザープレーン実施ポリシー通知
ANトンネル情報は、PDUセッションに対応するN3トンネルのアクセスネットワークアドレスに対応します。
NG-RANは、値がRequiredのユーザープレーンセキュリティ実施情報を実行できない場合、PDUセッションのUPリソースの確立を拒否します。この場合、SMFはPDUセッションを解放します。
NG-RANは、ユーザープレーンセキュリティ実施を優先の値で実行できない場合にSMFに通知します。
Step15. AMF → SMF : Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext Request
AMFからSMFにNsmf_PDUSession_UpdateSMContext Request(N2 SM情報、要求タイプ)を送信します。
AMFは、(R)ANから受信したN2 SM情報をSMFに転送します。
N2 SM情報のユーザープレーン実施ポリシー通知がユーザープレーンリソースを確立できなかったことを示し、ユーザープレーン実施ポリシーがTS 23.501 [2]の5.10.3章で説明されているように「必須」を示している場合、SMFはPDUセッションをリリースします。
Step16a. SMF → UPF : N4 Session Modification Request
SMFは、UPFを使用してN4 Session Modification手順を開始します。
SMFは、対応する転送ルールと同様にUPFに対してANトンネル情報を提供します。
Step16b. UPF → SMF : N4 Session Modification Response
UPFは、SMFにN4 Session Modification Responseを返します。
PDUセッションで複数のUPFが使用されている場合、Step16のUPFは、UPFがN3を終端することを指します。
このステップの後、UPFはこのPDUセッションのためにバッファリングされた可能性のあるダウンリンクパケットをUEに配信します。
Step17. SMF → AMF : Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext Response
SMFからAMFへNsmf_PDUSession_UpdateSMContext Response(Cause)を送信します。
SMFはこのステップの後に、5.2.2.3.2項で指定されているNamf_EventExposure_Subscribeサービス操作を呼び出すことにより、AMFからのUEモビリティイベント通知(例えばロケーションレポート、UEが関心領域に出入りする)にサブスクライブします。
LADNの場合、SMFはLADN DNNを関心領域のインジケーターとして提供することにより、LADNサービスエリアイベント通知に出入りするUEにサブスクライブします(TS 23.501 [2]の5.6.5および5.6.11を参照)。
この手順の後、AMFはSMFによってサブスクライブされた関連イベントを転送します。
おわりに
5GCの主要なシーケンス(Registration, Deregistration, PDU Session Establishment)の概要を勉強し、端末がインターネットに抜けられるようになるまでの流れを掴むことができました。
やっていることとしてはEPC(4G)のattach, detachと似ている印象を受けました。
概要を掴むために細かい部分については今回端折りましたが、引き続き理解を深めていきたいと思います!