はじめに
Gemini EnterpriseのCanvasでスライドを作る際に、スライドに自身で指定したイラストを入れたくなることがあります。今回は、指定したイラストをスライドに入れることができるのかを検証してみました。
結論から言うと、普通に指示を出した場合はCanvasが画像を検索してきて成功する一方、Nano Bananaでの画像生成を指定すると、現状はうまくいきませんでした。本記事では、その一部始終をまとめます。
本記事で行った3つの検証は以下の通りです。
| 検証 | やったこと |
|---|---|
| 検証1 | 画像の取得方法を指定せず、イラストの内容・スタイルだけを伝えて依頼する |
| 検証2 | 検証1と同じ内容に「Nano Bananaで生成して」という一文を追加して依頼する |
| 検証3 | 先にNano Bananaで画像を生成しておき、その画像ファイルを添付して依頼する |
検証1: 通常の指示で、指定したイラストを入れてもらう
まず、以下のプロンプトで、表紙に入れたいイラストの内容とスタイルを指定して送信しました。
新製品「クラウドAIアシスタント」の紹介スライドを3枚作成してください。
1. 表紙
「クラウドAIアシスタント 新製品紹介」というタイトルで、オフィスでビジネスパーソンが新製品のデモを行っている様子のイラストを、フラットデザインのスタイルで表紙に入れてください。2. 製品の特長
以下の3つの特長を紹介してください。
- 24時間365日対応の自動応答
- 既存システムとのシームレスな連携
- 導入後1ヶ月で問い合わせ対応時間を40%削減
3. 導入ロードマップ
以下のスケジュールで導入ロードマップを示してください。
- 2026年10月: PoC開始
- 2026年12月: 本格導入
- 2027年3月: 全社展開完了
結果: 指定した通りのイラストが入り、成功
「オフィスでビジネスパーソンが新製品のデモを行っている様子」という指定通りのイラストが、そのまま表紙に反映されました。指定したイラストをスライドに入れる、という目的はこの時点で達成できています。
ただし、裏側の挙動には注意が必要でした。表紙に使われたのはCanvasが自動的にWeb検索で見つけてきたストック画像で、"Slidesdocs"という透かし(ウォーターマーク)入りの画像がそのまま使われていました。Canvas自身も「Heads up: This deck may contain links or images from external sources. Please review them before clicking.」(このデッキには外部ソースのリンクや画像が含まれている可能性があります。クリックする前にご確認ください)という注意書きを表示していました。
スライドの最後には、公式ヘルプに記載のあった「Image Sources」(Create and edit documents and slides in Canvas | Gemini Enterprise – Business Edition Help)に相当する「画像出典」というスライドが自動的に追加され、以下のような出典情報が表示されていました。
Source: Business Office Flat Illustration Powerpoint Background For Free Download - Slidesdocs
https://image.slidesdocs.com/responsive-images/background/business-office-flat-illustration-powerpoint-background_1fbc1ec957__960_540.jpg
検証2: Nano Bananaでの画像生成を指定する
検証1の方法でも「指定した内容のイラスト」を入れることはできましたが、実際にはCanvasが検索で見つけてきた既存の画像に頼っている状態です。既存の画像では、細かい指示を出したり、後から「ここをこう直して」と修正を重ねたりすることはできません。もっと細かい指示や、生成後の微調整までできるようにしたいと考え、Nano Bananaでの画像生成を明示的に指定する方法を試しました。
検証1と全く同じプロンプトに、以下の一文だけを追加しました。
(表紙の指示に以下を追加)
このイラストは、既存の画像を検索して使うのではなく、Nano Banana Pro/Nano Banana 2の画像生成機能を使ってその場で新規に生成してください。
たった一文を追加しただけですが、結果は大きく変わりました。
Step 1: イラストの代わりにモックアップ風の図が生成された
出来上がった表紙スライドには、依頼したイラストの代わりに、**チャットUIを模したモックアップ図(「Live Demo Mockup」というラベル付き)**が配置されていました。指定したイラストは生成されず、テキストと図形だけで組んだデザイン要素に置き換えられていました。
Step 2: 指示が守られていないと指摘すると、生成自体は成功する
「指示通りになっていない」とフィードバックを送りました。
「このイラストは、既存の画像を検索して使うのではなく、Nano Banana Pro/Nano Banana 2の画像生成機能を使ってその場で新規に生成してください。スタイルはフラットデザインでお願いします。」という指示が守られていません。再作成をお願いします。
今度は「画像生成エージェントに処理を引き継ぎます。」という応答とともに、実際にNano Banana 2によるイラストが生成されました。チャット上には「Image generated by Nano Banana 2.」というクレジットとともに、狙い通りのイラストが表示され、「フラットデザインの表紙イラストを含むプレゼンテーションスライド3枚を作成しました」というテキストが返ってきました。
しかし、Canvasパネルの表紙には反映されなかった
右側のCanvasパネルに表示されているスライドは、Step 1のときと同じモックアップ図のままでした。チャットの応答は「イラストを含むスライドを作成した」と説明していましたが、実際のスライド内容はそれを反映していませんでした。
Step 3: 反映を再依頼しても、エラーで失敗する
作成された表紙イラストが表紙に反映されていません。表紙に反映してください。
「スライド生成エージェントへ処理を引き継ぎます。」という応答の後、以下のエラーが返され、最後まで表紙にイラストは反映されませんでした。
質問への回答中にエラーが発生しました。しばらくしてからもう一度お試しください。
検証3: 先に画像を生成してアップロードする
「Canvas内で生成を指示する」方法とは別に、先にNano Bananaで画像を生成しておき、その画像ファイルをプロンプトに添付してCanvasに渡すという方法も試しました。
結果1: 「アップロードした画像は含められない」と明言された
新規セッションで、生成済みの画像を添付して同様のプロンプトを送信したところ、応答の中に次の一文が英語で挿入されていました。
Note: I can't include images from your uploaded files in the slides.
実際に生成された表紙にも、添付した画像は使われておらず、代わりにロボットアイコンと機能バッジを組み合わせたグラフィック要素が配置されていました。
結果2: 別のセッションではエージェント転送時にエラー
同じプロンプトを別のセッションで試したところ、今度は「スライド生成エージェントへの転送(240ms)」の直後に、次のエラーが返されました。
質問への回答中にエラーが発生しました。しばらくしてからもう一度お試しください。
「先に画像を用意してアップロードする」方法でも、結果は一貫していました。あるセッションではCanvas自身が「アップロード画像はスライドに含められない」と明言し、別のセッションではエージェントへの処理転送時にエラーで失敗しました。
分かったこと
- Canvasに指示するだけなら、指定した内容のイラストを入れることは可能。ただしその実体はWeb検索で見つかった既存のストック画像で、透かし入り・権利関係が不透明という制約がある。
- 細かい指示や後からの修正までしたくてNano Bananaでの画像生成を指定すると、まずモックアップ風の図で代替される。
- 「指示が守られていない」と指摘すればNano Bananaでの生成自体は成功するが、生成した画像をスライドに反映する処理でエラーになるか、テキスト上は「反映した」と報告されつつ実際には反映されない、という結果になった。
- 先に画像をアップロードする方法でも同様に失敗する。「含められない」と明言されるか、エージェント転送時にエラーになるかのどちらかだった。
つまり、検索由来の画像で妥協すれば「指定した内容のイラスト」をスライドに入れることはできますが、Nano Bananaで生成した画像を使って、細かい指示や後からの調整までできるようにするという点では、今回の検証時点ではうまく機能しませんでした。
本検証のご留意点
以下の点についても、念のため補足しておきます。
- 試していない方法がある: プロンプトの言い回しを変える、Agent Designerでカスタムエージェントを作る、Googleスライド側で直接編集するなど、今回試していない方法は他にも考えられます。
- エラーが一時的な可能性がある: 「質問への回答中にエラーが発生しました」という汎用的なエラーメッセージは、サーバー側の一時的な不具合や負荷による可能性も否定できません。時間を置く、リトライするなどで成功する可能性は残っています。
- 今後のアップデートで改善される可能性がある: Canvasも画像生成も比較的新しい機能なので、今後のアップデートで連携が改善される可能性は十分にあります。
そのため、本記事の結論は「Canvasでは画像生成との連携が完全に不可能」ということではなく、今回試した方法・時点ではうまくいかなかったという限定的なものです。
まとめ
- Canvasに画像の内容・スタイルを指定するだけなら、Web検索由来の画像でスライドは問題なく完成する(ただし透かし入り・権利関係は要確認)
- 細かい指示や修正までしたくてNano Bananaでの画像生成を明示的に指定すると、モックアップ図で代替されたり、生成はできてもスライドに反映されなかったりする
- 生成した画像をスライドに反映するよう再依頼しても、エージェント転送時にエラーが発生し失敗する
- 先に画像を生成してアップロードする方法でも、「含められない」と明言されるか、同様のエラーになるかのいずれかで失敗する
- 現時点でNano Bananaによる生成画像をCanvasのスライドに確実に反映させる方法は見つからず、画像は別途生成してから手動でスライドに貼り付ける運用が現実的
社内でCanvasと画像生成を組み合わせた資料作成を検討している方は、現時点でのこの制約を踏まえて計画されることをおすすめします。
参考リンク
本記事は2026年9月時点の情報をもとに、実際の管理画面・チャット画面で検証しています。今回確認したエラーや挙動は一時的な不具合の可能性もあるため、実際に試される際は最新の状況をあわせてご確認ください。










