こんにちは、Nyagsic のKukoです。
本記事では、Gemini を使って営業資料を“ほぼコードライク”に生成するワークフローを紹介します。
普段は AIキャラクター周りの開発(LLM・音声・Live2Dなど)をしていますが、
今回は開発ではなく 「営業資料の生成そのものをシステム化する」 という観点で、
Gemini を 設計・運用可能なツール として扱ってみました。
対象読者
- 営業資料や提案書を AIで合理的に作りたいエンジニア/PdM
- 「AIに丸投げ」は嫌だけど、再現性あるフローを作りたい人
- Gemini や LLM を プロンプト設計レベルでちゃんと使いたい人
- “資料作りも開発対象” として見たい人
全体アーキテクチャ(と言うほどではない)
やっていることはシンプルで、概念的にはこうです:
LLM ↔ 人間の責務分離をざっくり言うと:
- AI:構成 / テキスト / 画像の「叩き台」を出す
- 人間:要不要の判断、微修正、スライドへの配置
Step0: 要求仕様をテキストで定義する
まず「資料に何を書きたいか」を仕様書的にテキスト化します。
(ここをやると後段のプロンプトが安定します)
例:AIキャラクター事業の営業資料
・ターゲット:IPを持つ企業、VTuber事務所、エンタメ系企業
・ゴール:AIキャラクター運用の相談をもらうこと
・伝えたいこと:
- AIキャラクター事業の概要
- なぜ1対1のアプリでなくYouTubeなのか
- 人件費 vs AIキャラのコスト比較
- 1枚イラストからLive2Dを生成できる技術を持っている
- 料金プラン
- 導入メリットと“ロマン”
・枚数イメージ:10〜15スライド
ここまでは単なるメモですが、
この仕様をそのまま Gemini に投げず、「システムプロンプトっぽく」整理して使うのがポイントです。
Step1: 構成案を Gemini に生成させる(Structure Prompt)
まず「テンプレ構造」を決めます。
雑に投げるのではなく、出力フォーマットを指定します。
あなたはB2B向け営業資料の構成を設計するアシスタントです。
以下の条件を満たすスライド構成案を作成してください。
- テーマ:AIキャラクター運用サービスの営業資料
- ターゲット:IPを持つ企業、VTuber事務所、エンタメ系企業
- 枚数:10〜15枚
- 形式:JSONライクなテキスト
- 各スライドについて
- "id": 連番
- "title": スライドタイトル
- "purpose": そのスライドの目的
- "points": 箇条書きで3〜5個
出力形式の例:
[
{
"id": 1,
"title": "タイトルページ",
"purpose": "サービス名と会社名を伝える",
"points": ["サービス名", "キャッチコピー", "会社名"]
},
...
]
返ってきた構成の一部イメージ:
[
{
"id": 1,
"title": "AIキャラクター運用サービス概要",
"purpose": "サービスの存在と全体像を伝える",
"points": [
"サービスコンセプト",
"ターゲット",
"提供価値の概要"
]
},
{
"id": 2,
"title": "従来のキャラクター運用の課題",
"purpose": "なぜ今AIキャラが必要なのかを認識してもらう",
"points": [
"人件費・稼働時間の制約",
"コンテンツ更新の負荷",
"ファンコミュニティ維持の難しさ"
]
},
...
]
技術的Tips
- JSON風にしておくと、後でスクリプトで加工する余地ができます(最初は手作業でもOK)。
-
"purpose"を入れておくと、本文生成時にブレにくいです。
Step2: 各スライド本文を生成する(Content Prompt)
次に、構成から 1スライドずつ本文を生成します。
このとき、Step1で得た構造をプロンプトに埋め込んで使います。
例:ID=3「なぜアプリではなくYouTubeなのか」の本文生成
あなたはB2B営業資料のコピーライターです。
以下のスライド情報に基づいて、
スライド1枚分の本文テキストを作成してください。
---
[スライド情報]
title: なぜ1対1アプリではなくYouTubeで運用するのか
purpose: AIキャラクターを「ひとりのIP」として共有し、
コミュニティや収益性を高めるためにYouTubeが適している理由を説明する
points:
- 1対1チャットは「個人に閉じた関係」になり、拡散性が低い
- YouTubeは「ひとりのキャラクター」を多人数で共有できる
- コミュニティ形成と文化醸成の土壌になる
- 広告・スパチャ・メンバーシップなど収益導線が豊富
---
制約:
- スライド用のテキストとして、300〜400文字程度
- 難しい専門用語は避け、ビジネス側にも伝わる言葉で書く
- 箇条書きではなく、段落テキスト2〜3個にまとめる
→ そのままスライドに貼れる本文が返ってきます。
ここは完全自動でもよいし、後から人間が軽くリライトしてもOK。
Step3: 画像生成プロンプトをパターン化する(Visual Prompt)
ここが「技術寄りポイント」です。
スライド背景は、用途ごとにテンプレートプロンプトを作ると運用が楽になります。
3-1. 汎用テンプレ(ビジネス系)
[汎用スライド背景テンプレート]
16:9 ratio.
Clean minimal business slide background.
Soft gradient using deep navy and blue.
Subtle futuristic lines and abstract shapes.
No text.
3-2. 比較スライド用テンプレ(人 vs AI)
[人件費 vs AIキャラ 比較スライド用]
16:9 split-screen.
Left side: pale red minimal background with a simple human silhouette icon.
Right side: pale blue minimal background with an AI chat bubble icon.
Flat, modern SaaS design.
No text.
3-3. 技術アピール用(1枚イラスト → Live2D)
[1枚イラストからLive2D生成技術スライド用]
16:9.
Three-panel process illustration:
(1) single anime-style character illustration,
(2) illustration splitting into parts with glowing AI lines,
(3) rigged Live2D-style model with mesh/deformer lines.
Soft blue tech color palette.
Minimal, no text.
このように 用途別プロンプトテンプレ をいくつか用意しておくと、
「このスライドはパターンA、このスライドはパターンB」と
ほぼ関数呼び出しのように画像を生成できます。
また、nanoBananaのよくないところで生成しているうちに色が濃くなってきたり、デザインが雑になってきたりします。
そうならない対応策として、ロゴデザインを用意しておき、ロゴ画像と「ロゴに合わせたスライドにデザインを作り直したいです。」というプロンプトを合わせてリクエストすることでクオリティを担保したまま製作を進めることができます。
Step4: Slides / PowerPointに落とし込む
ここは現状手作業が多いですが、やっていることはルーティンです。
- スライドマスタでフォント/カラー/余白を事前定義
- 各ページに Gemini生成の背景画像を設定
- タイトル&本文を貼り付け
- 箇条書き・表・価格表を整形
※将来的には
- Google Slides API
- PowerPoint用のVBA or Python(python-pptx)
で自動投入もできますが、まずは**「人間の手作業でも苦じゃない量までAIで削る」**のが現実的です。
実際に入れた技術ネタの例
今回の営業資料では、以下のような 技術寄りコンテンツ も Gemini で生成しました。
1. 人件費 vs AIキャラ稼働コストの試算
-
人が対応:
- 月 25〜40万円、1日8時間、休みあり
-
AIキャラ:
- 月2万円〜、24時間365日稼働
-
この差をグラフ化する前提テキストを Gemini に書かせました。
2. 「1枚のイラストからLive2Dへ」の技術説明文
- 従来のLive2D制作フロー(手作業)
- それをAIでどこまで自動化しているか
- コスト・期間の削減インパクト
これらも人間が書くと地味に時間がかかる部分ですが、
「箇条書き→段落化」の流れで Gemini に任せるとかなり楽です。
プロンプトを“設計する”という感覚
技術寄りの話として一番大事なのは、
「プロンプト=設計書」であり、「出力=実行結果」 と捉えることでした。
- いきなり「それっぽい資料書いて」では再現できない
- 仕様・構造・出力形式・制約条件をコードっぽく記述する
- 生成物を後工程で機械処理しやすい形にしておく
このあたりは、
普段の開発でやっている「API仕様書を書く感覚」に近いです。
もう少しやるなら:自動化の方向性
Qiitaなので、今後の拡張案も書いておきます。
- 構成JSON → python-pptx でスライド自動生成
- 画像生成プロンプトもスライド種別ごとに テンプレファイル化
- CI的に、資料更新も半自動(仕様のmdを更新→新資料生成)
- ChatGPT API / Gemini APIを叩く**自前ツール(CLI)**を作り、
salesgen spec.yamlみたいな感じで営業資料生成パイプラインを作る
ここまで行くと、
**「資料作り=開発プロセスの一部」**として完全に組み込めます。
まとめ
Gemini を「ただの文章生成ツール」としてではなく、
- Step1: 構造を出す(Structure Prompt)
- Step2: 本文を書く(Content Prompt)
- Step3: 画像を作る(Visual Prompt)
- Step4: 人間がレイアウトする
という分業・責務分解されたコンポーネントとして扱うと、
営業資料づくりはかなり“技術的な領域”に落とし込めます。
資料作成を「根性作業」から「ワークフロー設計」に変える
という意味で、
エンジニアがまず最初に自分の仕事にAIを適用する対象として、
かなり相性が良いと感じました。
ここまでGeminiで頑張りましたがNotebookLMが最強です

